窓ガラスの熱割れの見分け方は?ヒビの本数より始まりの場所を確認しよう

2025年11月28日 2026年09月08日 カテゴリー:窓・ガラスの基礎知識
窓ガラスの熱割れの見分け方は?ヒビの本数より始まりの場所を確認しよう
この記事の監修者

窓猿は、ガラス修理・交換サービスとしてSLS株式会社が運営するサービスです。 窓やドア、家具などのガラス割れやヒビ、交換に関するご相談に幅広く対応しており、現地調査からお見積もり、施工まで一貫して承っています。 これまでの施工経験や取扱いガラスの知識をもとに、設置場所や用途、ご希望に合わせたガラスをご提案しています。 また、一般的な板ガラスだけでなく、ペアガラスや防犯ガラス、防火ガラスなどの機能性ガラスにも対応し、暮らしの快適性や安全性を高めるためのご案内も行っています。 お客様に安心してご利用いただけるサービスを目指し、分かりやすい情報発信を心がけています。

この記事で分かること
  • 窓ガラスの熱割れが起きる主な原因
  • 熱割れと衝撃割れの見分け方
  • 熱割れした窓ガラスの応急処置
  • 窓ガラスの修理・交換にかかる費用相場
  • 熱割れを防ぐためにできる対策

窓ガラスにヒビが入っているのを見つけたとき、まず気になるのは「なぜ割れたのか」ではないでしょうか。

何かをぶつけた覚えがないのに割れているなら、熱割れかもしれません。熱割れは、日の当たる部分とサッシに隠れた部分の温度差で、ガラスが自分で割れる現象です。

熱割れかどうかを調べようとすると、「ヒビが1本なら熱割れ」という説明に行き当たることがあります。ところが自分の窓を見ると3本入っていて、かえって分からなくなる。そういうことが起きます。

この記事では、ガラスメーカーと業界団体が公開している資料をもとに、ヒビのどこを見れば判断できるのかをまとめました。あわせて、当社が網入りガラスを交換した10件でかかった費用も載せています。

この記事で分かること
  1. ガラスが熱割れしたかどうかを、ヒビのどこで見分けるか
  2. ぶつけた割れ・サビ割れ・自然破損との分かれ目
  3. 熱割れしやすい窓と熱割れしにくい窓
  4. 当社が網入りガラスを交換した10件でかかった費用
  5. 放置してよいか、保険は使えるかなどのよくある質問

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ガラスが熱割れしたかどうかはヒビの本数ではなく始まりの位置と角度で見る

網入りガラスの引き違い窓に、複数のヒビが入っている写真。ヒビはいずれも窓の端から入り、うねりながら伸びている

ヒビの本数を数えて判断しようとすると、行き詰まります。

熱割れのヒビは、1本のこともあれば、3本入ることもあります。本数だけでは決まりません。

見るところは2つです。ヒビの始まりがどこにあるか。そして、その立ち上がりがガラスの辺に対してどうなっているか。どちらも、窓の写真を撮って見るだけで見当がつきます。

ここで分かるのは「熱割れの特徴に当てはまるかどうか」までです。ガラスの端にもともと傷があった場合など、外からは分からない事情もあります。最後の判断は、実際に見た業者や管理会社が行うことになります。

ガラス2枚を並べた図。左は端から辺に直角に始まるヒビが1本、右は同じ形のヒビが3本。どちらも熱割れ。2通り ヒビが1本でも3本でも、熱割れのことがあります 直角 始まりは端 ヒビが1本 端から始まり、辺に直角に立ち上がってうねっていま 直角 始まりは端 ヒビが3本 3本とも端から始まり、辺に直角に立ち上がっていま す。本数が多いほど、ガラスの中の温度差が大きかっ たことになります 熱割れの割れ口については AGC株式会社「21. ガラスが割れる時 -3 熱割れ」と、一般社団法人 日本サッシ協会「ガラスの熱割れ」の説明 によります

ヒビが1本でも3本でも熱割れのことがある

熱割れのヒビが何本になるかは、決まっていません。

1本だけのこともあります。2本、3本と入ることもあります。同じ窓の同じ端から、複数のヒビが出ていることもあります。

そのため「1本だから熱割れ」「3本だから熱割れではない」という判断はできません。

本数を数えても分からない、というのが出発点です。数えるのをやめて、ヒビのどこから始まっているかを見てください。

なお、ヒビが増えていくこともあります。気づいたときは1本でも、数日後に2本目が出ることがあります。写真を撮っておくと、あとで比べられます。

本数のほかに、長さで判断しようとする方もいます。こちらも決め手にはなりません。熱割れのヒビは、ガラスの端から数センチで止まっていることもあれば、対角線を越えて反対側の端まで届いていることもあります。

同じように、太さでも分かれません。細い線が1本だけ走っているものも、はっきりと開いて見えるものも、どちらも熱割れで起こります。

数えたり測ったりして分かることは、ここまでです。次の2つの節で、実際に何を見るかをお伝えします。

ヒビの本数が表しているのはガラスの中の温度差の大きさ

本数がまったく無意味かというと、そうではありません。

一般に、本数が多いほど、ガラスの中で大きな温度差が生じていた目安になるとされます。ヒビが3本入っていたなら、1本のときより強い力がかかっていた、という見方です。

ただしこれは「割れたあとに、どのくらいの力だったかが分かる」という話です。「何本だから熱割れ」という判定には使えません。

本数は、熱割れかどうかを決める材料ではなく、どのくらいの温度差があったかの目安だと考えてください。

温度差が大きくなる条件は、いくつか重なります。夜のあいだにガラスが冷え切っていたか。朝の日ざしが正面から当たる向きか。カーテンや家具が窓に近く、熱がこもりやすい状態だったか。

そのため、ヒビが3本入っていた窓では、同じことがもう一度起きる可能性も考えられます。交換するときに、窓のまわりの使い方を見直しておく手はあります。ただし、熱割れはガラスの端の状態にも左右されるため、使い方だけで防げるとは限りません。

反対に、1本だけで止まっている窓が「軽い」わけではありません。ヒビが1本でも、そこから割れが進むことに変わりはありません。放置してよい理由にはなりません。

ヒビの始まりがガラスの端にあるか

ヒビを目でたどって、どこから始まっているかを探します。

熱割れは、ガラスの端から始まります。一般社団法人 日本サッシ協会は「ガラスの端部(サッシ内部に隠れているエッジ部分)から始まり、まず直角に割れ、それから蛇行」すると説明しています(一般社団法人 日本サッシ協会「ガラスの熱割れ」)。

ここでいう端とは、ガラスの切り口にあたる部分です。窓に取り付けられた状態では、その多くがサッシの中に差し込まれていて、外からは見えません。

見えない部分を確かめようとしないでください。サッシを外したり、すき間をのぞき込んだりする必要はありません。

見るのは、サッシの外に出ている範囲だけで足ります。ヒビの始まりは「サッシのきわに消えていく」ように見えます。サッシに近づくにつれてヒビが細くなり、そのままサッシの中へ入っていくなら、始まりは端にあると考えられます。

反対に、ガラスの真ん中あたりに始まりがあって、そこから外へ広がっているなら、何かが当たった可能性があります。

ヒビの立ち上がりがガラスの辺に対して直角か

始まりの場所が分かったら、次はその角度を見ます。

AGC株式会社は「板ガラスの熱割れは、主にエッジにある傷など応力が集中する部分から始まり、必ず辺に直角に始まることが特徴です」と説明しています(AGC株式会社「21. ガラスが割れる時 -3 熱割れ」)。

ガラスの辺と、ヒビの立ち上がりが、直角に交わっているかどうかです。

ガラスの辺そのものはサッシに隠れています。見えるのは、サッシのきわに沿って走る線です。多くの窓ではこの2つがほぼ平行なので、サッシの線を目安にできます。ただし、窓によっては平行でないこともあります。

写真を撮るときは、サッシの線が画面の縦か横と平行になる位置から撮ると見比べやすくなります。まっすぐな線が一緒に写っていれば、ヒビの傾きが分かります。

ヒビの入ったガラスに、定規などの硬いものを当てないでください。わずかな力でも、ヒビが伸びることがあります。スマートフォンもガラスに近づけすぎないようにしてください。

直角に立ち上がったあと、ヒビが向きを変えてうねっていくことがあります。一般社団法人 日本サッシ協会は「まず直角に割れ、それから蛇行している」ことが特徴だと説明しています。始まりだけが直角で、その先は曲がっている、という形です。

ただし、その先で蛇行するかどうかには個体差があり、すべてがそうなるとは限りません。見ていただきたいのは、あくまで始まりの角度です。

確かめた形を写真に残しておく

ヒビは時間とともに伸びます。伸びてしまうと、どこが始まりで、どんな角度だったかが分からなくなります。

撮っておきたいのは次の4枚です。

  • 窓の全体が入った1枚(どの窓かが分かるもの)
  • ヒビの始まりがサッシに入っていくところに寄った1枚
  • サッシの線とヒビを一緒に入れて、角度が分かるようにした1枚
  • 網入りガラスであれば、サッシのきわに沿った線が写った1枚

いずれも、ガラスに触れずに撮れる範囲で構いません。

日付が記録される設定にしておくと、いつからあったヒビかを説明しやすくなります。

寄って撮るときは、ガラスに手をつかないでください。カメラを構えたときに窓へ体重をかけると、ヒビが動くことがあります。

ヒビが細くて写りにくいときは、ガラスの向こう側が明るくなる位置から撮ると線が出やすくなります。日中に、室内側から外の明るさを背景にして撮る形です。暗い時間に外へ出てまで撮る必要はありません。足元の見えない場所やベランダの手すり際での撮影は避けてください。サンダルなど滑りやすい履物でベランダに出ないでください。

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熱割れとぶつけた割れ・サビ割れ・自然破損との分かれ目

黄色いふせんの上に置かれた2つの虫めがねの中に、原因という文字が見えている写真

ガラスが割れる理由は、熱割れだけではありません。

何もしていないのに割れたように見えても、原因が別のことがあります。割れ方を見れば、ある程度は分かれます。

割れ方から原因を4つに分ける分岐図。枝は4本。1本目は端から辺に直角に始まって蛇行しているもので、熱割れ。2本目は1つの点から放射状に広がっているもので、ぶつけた割れ。3本目はガラスの中の金属線が茶色く変色しているもので、サビ割れ。4本目はガラス全面が粒状に砕けているもので、強化ガラスの自然破損 割れ方から、原因の見当をつける ヒビは、どんな形をしていますか 端から始まり、辺に直角に立ち上がってうねっている 日の当たる部分とサッシに隠れた部分の温度差で、ガラスの端に力が集まったもの 熱割れ。本数は1本のことも複数のこともあります 1つの点から放射状に広がっている その点に物が当たっています。小さな欠けやえぐれが残っていることがあります ぶつけた割れ。端からは始まりません ガラスの中の金属線が茶色く変色し、線に沿ってヒビが出ている 網入りガラスのエッジに雨水がたまり、中の線が錆びて膨らんだもの サビ割れ。熱割れの元にもなります ガラス全面が粒状に砕けている 1本や2本のヒビではなく、面全体が細かく割れています 強化ガラスの自然破損。日射の熱によるものではありません 強化ガラスについて AGC株式会社は「熱応力に対する強度も高く、日射熱で割れることはありません」と説明しています。自然破 損は日射の熱とは別の原因です。

1つの点から放射状に広がっていたらぶつけた割れ

物が当たったガラスには、当たった場所に小さなえぐれや欠けが残ります。

そこを中心にして、線が外へ放射状に伸びます。クモの巣のような形になることもあります。

この形があるなら、熱割れではありません。ガラスの端からは始まっていないはずです。

まず、無理をして見ようとしないでください。ベランダの手すりから身を乗り出したり、脚立や踏み台に乗ったりする必要はありません。

そのうえで、室内から見て当たった跡が見つからず、かつ安全に近づける窓であれば、外側も見てみてください。当たった跡が外側だけに残っていることがあります。

心当たりがないのに当たった跡がある、ということもあります。飛んできた小石や、風で倒れた物が当たっていることがあるためです。ベランダに置いていた物の位置が変わっていないか、下に何か落ちていないかを見ておくと、思い当たることがあります。

なお、当たった跡が小さいと見つけにくいことがあります。ガラスの表面を指でなぞって探すのはやめてください。欠けの縁は鋭くなっています。明るいほうから見て、光の反射が変わるところを探すほうが安全です。

ガラスの中の金属線が茶色く変色していたらサビ割れの可能性

網入りガラスには、中に細い金属の線が入っています。この線が錆びて割れることがあります。

AGC株式会社は、網入・線入板ガラスのエッジ部に雨水が滞留すると「線材を錆びさせ、その体積膨張によってガラスエッジ付近に微小なクラック(ひび割れ)を生じさせることがあります。このクラックは、熱割れの原因になります」と説明しています(AGC株式会社「ガラスを安全に末永くお使いいただくために」)。

ここでいう線とは、ガラスの中に入っている金属の線のことです。前の章で目安にした「サッシのきわに沿った線」とは別のものです。

サッシの外に出ている範囲で、この金属線が茶色く変色していないか、線に沿って短いヒビが出ていないかを見てください。サッシに隠れた部分を確かめる必要はありません。

ただし、茶色く見えたからといってサビ割れと決まるわけではありません。汚れや、まわりの部材の色が映っていることもあります。ここで分かるのは「サビ割れの可能性がある」までです。

サビ割れは、熱割れと切り離せない関係にあります。錆びてできた小さなヒビが、熱割れの始まりになることがあるためです。そのため、どちらか一方に決めなくても構いません。

全面が粒状に砕けていたら強化ガラスの自然破損

ヒビが1本や2本ではなく、ガラス全面が細かく砕けている場合があります。

これは強化ガラスの自然破損です。強化ガラスは割れると粒状になるように作られているため、他の割れ方とは見た目がはっきり違います。

熱割れやぶつけた割れでは、ヒビが線として残り、ガラスは枠の中にとどまります。自然破損では、面全体が一度に細かくなります。見た目がかなり違うので、区別しやすいほうです。

自然破損は、日射の熱で起きるものではありません。強化ガラスを作るときにガラスの中に残った、ごく小さな異物が原因とされています。そのため、日当たりや窓の向きとは関係なく起こります。

自宅の窓に強化ガラスが使われているかどうかは、外からは分かりにくいことがあります。浴室の扉、テーブルの天板、店舗の入口などによく使われています。

割れたガラスには素手で触らないでください。粒状になっていても角はあります。破片が落ちている場合は、その部屋にお子さんやペットを入れないようにしてください。

足元の破片は踏むと滑りやすく、危険です。安全が確保できないときは、その場を離れてください。

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熱割れしやすい窓と熱割れしにくい窓

熱割れが起こる仕組みを4つの図で示した資料。太陽光の直射、温度上昇と膨張、温度差の発生、ひび割れの順に並んでいる

同じ日差しを受けていても、熱割れしやすい窓と、しにくい窓があります。

起きやすい時期もあります。一般社団法人 日本サッシ協会は「冬期の晴れた日の午前中」に起きやすく、「建物の東面や南面への日射量が大きくなる一方、サッシ周辺の温度は低下」する条件で起こると説明しています。

夜のあいだに冷え切ったガラスへ、朝の日ざしが当たる。そのときガラスの中の温度差がいちばん大きくなります。

引き違い窓の図。ガラスの真ん中とガラスの端の2か所に番号がついている。2か所 網入りガラスの窓で、見ておく2か所 1 2 1 ガラスの中の線 格子状か縦方向に細い線が入っていれば網入 りガラスです。表面をなでても凹凸はありま せん 2 サッシのきわのガラスの端 線が茶色く変色していないか、線に沿って短 いヒビが出ていないかを見ます 網入板ガラスについて、一般社団法人 日本サッシ協会は「金網とガラスの熱膨張の差」と「ガラス周辺部の強度がおよそ半分」 であることを挙げています。

熱割れしやすい窓

■ 網入りガラス・線入りガラス

ガラスの中に細い金属の線が入ったものです。賃貸の住まいやベランダに面した窓、共用廊下に面した窓によく使われています。

日本サッシ協会は、網入板ガラスが一般の板ガラスに比べて熱割れが発生しやすい理由として、「金網とガラスの熱膨張の差」と「ガラス周辺部の強度がおよそ半分」であることを挙げています。

熱割れの力はガラスの端に集まります。網入りガラスは、その力が集まる端の強さが、ふつうのガラスの半分ほどしかないことになります。

AGCも「網入板ガラスや線入板ガラスは切断面に欠けが残ることが避けられず」、そのため「熱割れのリスクが増してしまう」と説明しています(AGC株式会社「21. ガラスが割れる時 -3 熱割れ」)。

■ 色の濃いガラス・熱線を吸収するガラス

日射を吸収しやすいガラスは、温度が上がりやすくなります。

AGCは「日射によって温度が上昇しやすい(日射吸収率の高い)ガラスは高リスク」としています。色の付いたガラスや、熱線を吸収する働きを持たせたガラスがこれにあたります。

自分の窓がどの種類かは、外から見ても分かりにくいことがあります。管理会社や大家さん、建てたときの書類で確かめられる場合があります。

見分けの手がかりになるのは、色味です。透明なガラスに比べて、うっすら青や緑、灰色がかって見えるものがあります。屋外から見ると鏡のように映り込むガラスもあります。

こうしたガラスは、日射を遮って室内を涼しく保つために選ばれているものです。役目を果たしているぶん、ガラス自身の温度は上がります。

窓の内側にさらにフィルムを貼ると、熱がこもって条件が重なります。貼る前に、いま入っているガラスの種類を確かめてください。

■ 東や南を向いた窓

朝の日を正面から受ける向きです。

冷え切ったガラスに短い時間で日が当たるため、温度差が大きくなります。日本サッシ協会もAGCも、東と南を向いた窓で起きやすいと説明しています。

自分の窓がどちらを向いているかは、朝日が入るかどうかで見当がつきます。

ただし、向きだけで決まるわけではありません。同じ東向きでも、前に建物があって朝日が遮られている窓と、正面から日を受ける窓では条件が違います。

また、窓の一部にだけ日が当たる状態もよくありません。隣の建物の影、ベランダの手すりの影、室内に置いた家具の影などで、1枚のガラスの中に日なたと日陰ができると、そこで温度差が大きくなります。

朝、窓に影の線がくっきり出ていないかを見てみてください。日が当たっている部分と当たっていない部分が、はっきり分かれている窓は条件が厳しいほうです。

熱割れしにくい窓

■ 強化ガラス

強化ガラスは、日射の熱による熱割れは起こしません。

AGCは「熱応力に対する強度も高く、日射熱で割れることはありません」と説明しています。ここで言っているのは、日射の熱による熱割れについてです。

ただし、強化ガラスがまったく割れないわけではありません。前の章で書いた自然破損があります。これは日射の熱とは別の原因で起きるもので、熱割れではありません。

「強化ガラスなら熱割れの心配はない」と「強化ガラスは絶対に割れない」は、別の話です。この2つが混ざると、粒状に砕けた窓を見て「熱割れだ」と考えてしまうことになります。

なお、住まいの窓すべてが強化ガラスというケースは多くありません。浴室の扉や、大きなはめ殺しの窓など、限られた場所に使われるのが一般的です。

■ 透明なふつうの板ガラス

色が付いておらず、中に線も入っていない透明なガラスは、網入りガラスや色の濃いガラスに比べれば熱割れしにくい種類です。

それでも割れないわけではありません。カーテンをガラスに密着させる、窓際に家具を置く、フィルムを貼るといったことが重なれば、温度差は大きくなります。

日本サッシ協会は、防ぐための注意点として、庇や外付けスクリーンの設置、冷暖房の風を直接当てないこと、シャッターの半開きの状態を避けること、カーテンの密着を避けること、ガラス面への紙や熱反射フィルム・ペンキの使用を避けることを挙げています。

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窓猿が網入りガラスを交換した10件

熱割れの多くは、網入りガラスで起きます。当社が実際に網入りガラスを交換した記録から、費用と中身をお伝えします。

10件の交換費用を1本の帯で示した図。帯の左端が最小の33,000円、中央が中央値の64,900円、右端が最大の200,000円 窓猿が網入りガラスを交換した10件の費用 いちばん安かった1件 33,000円 いちばん高かった1件 200,000円 10件の中央値 64,900円 問合せ記録342,875行のうちガラス434件を、全112列のうち個人情報を含む10列を除いた102列で調べ、「網入・ワイヤー・ 線入」に当たる10件を集計しました(2020年1月〜2024年4月に受け付けたもの)。年ごとの件数が偏っているため、いまの相 場ではなく、この期間の実績です。

10件の交換費用は33,000円から200,000円

当社の作業記録342,875件のうち、ガラスに関するものは434件です。そのうち網入りガラスに当たる記録は10件でした。

10件の交換費用は、いちばん安かった1件が33,000円、いちばん高かった1件が200,000円です。10件の中央値は64,900円でした。

金額の帯で見ると、3万〜5万円が3件、5万〜10万円が5件、10万円以上が2件です。3万円を下回った案件はありませんでした。

受け付けたのは2020年1月から2024年4月までです。年ごとの件数に偏りがあるため、いまの相場ではなく、この期間の実績としてご覧ください。

なお、この10件はすべて交換まで行ったものです。見に行っただけ、お見積りだけで終わった案件は含んでいません。

金額が動くのはガラスの大きさ・種類・入っている場所

10件の記録には、ガラスの大きさが書かれているものがあります。幅813ミリ×高さ740ミリのもの、縦180センチのもの、横178センチのものなどです。

ガラスは大きくなるほど材料の値段が上がり、運ぶのも取り付けるのも手間がかかります。同じ網入りガラスでも、掃き出し窓とトイレの小窓では金額が変わります。

種類でも変わります。10件には網入り型板ガラス、網入り磨きガラス、大板の網入磨板硝子といった記録がありました。網入り型硝子から網入り磨きガラスへ替えた案件もあります。

入っている場所も金額に効きます。足場が要る高さか、室内側から手が届くか、扉に入っているかで作業の手間が変わるためです。

なお、ここに書いた金額はガラスの代金だけを指すものではありません。作業やお伺いにかかる費用を含んだ、10件それぞれの総額です。

交換になった窓はトイレ・玄関扉・開き戸

10件で交換した窓の記録には、トイレのすべり出し窓、玄関の扉、開き戸、サッシといった場所が出てきます。

網入りガラスは、火災のときに炎が燃え広がるのを抑える目的で使われます。そのため、ベランダや共用廊下に面した窓、道路に近い窓、扉のガラスなどに入っていることが多くなります。

交換と一緒に行った作業も記録に残っています。サッシの調整、パテの施工、網戸の張り替えなどです。ガラスだけを替えて終わるとは限らない、ということです。

金額の目安をもう少し詳しく知りたい場合は、窓ガラス交換の費用はいくら?種類別の目安と安く抑える3つのことにまとめています。業者の選び方については窓ガラス修理業者の選び方!悪質業者を避けるポイントや依頼の流れをご覧ください。

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窓ガラスの熱割れについてよくある質問

FAQと書かれた青い立方体が並び、まわりにクエスチョンマークが描かれている写真

ヒビが1本だけでも熱割れですか

本数では決まりません。1本でも3本でも、熱割れのことがあります。

見ていただきたいのは、ヒビの始まりがガラスの端にあるかどうかと、その立ち上がりがガラスの辺に対して直角かどうかの2つです。

本数が多いほど、ガラスの中の温度差が大きかったことを表します。ただしそれは、割れたあとに分かることで、熱割れかどうかの判定には使えません。

熱割れしたガラスはそのまま使えますか

そのままにしておくことはおすすめできません。

ヒビは時間とともに伸びます。伸びると、窓を開け閉めしたときや風が当たったときに割れやすくなります。

連絡が付くまでのあいだは、その窓を動かさないでください。網戸やカーテンレールを触るときも、窓ガラスに手をつかないようにしてください。

あわせて、ガラスに物をぴったり付けないでください。カーテンを少し離し、暖房の風の向きも変えてください。ヒビが入っている窓では、こうした使い方が割れを進めることにつながります。

その部屋でのボール遊びや、ドアを強く閉めることも控えてください。衝撃や風圧が、ヒビの入った窓にかかります。

ベランダ側や共用廊下側の窓であれば、割れた破片が落ちてほかの方に当たるおそれがあります。気づいた時点でご相談ください。連絡する順番については窓ガラスが割れたらどこに連絡する?今夜しのぐ応急処置と伝えることにまとめています。

熱割れの修理に火災保険は使えますか

契約の内容によります。この記事だけでは決まりません。

適用されるかどうかは、ご契約のプランと、保険会社の判断によって変わります。窓ガラス修理に火災保険は使える?適用されるケースや申請の流れに、確認していただきたい点をまとめています。

保険を使うかどうかにかかわらず、割れた状態の写真は、手をつける前に撮っておいてください。あとからでは、どんな割れ方だったかを示せなくなります。

なお、割れた破片をご自身で片づける必要はありません。離れた場所から撮っていただければ十分です。片づけ方については、業者や管理会社の指示に従ってください。

賃貸で熱割れしたら費用は誰が払いますか

賃貸での負担は、契約の内容と、割れた原因によって変わります。

大きく分けると、入居者がぶつけたなど過失で割れた場合は入居者、建物側の事情で割れた場合は貸主、という分け方が基本になります。

管理会社や大家さんへの伝え方は、賃貸の窓ガラスが割れた・ひび|熱割れの見分け方と伝え方にまとめています。了解を得ないまま自分でガラス業者を手配すると、あとで費用の話がこじれることがあります。

まとめ

窓ガラスのヒビが熱割れかどうかは、本数では決まりません。1本でも3本でも、熱割れのことがあります。

見ていただきたいのは、ヒビの始まりがガラスの端にあるかどうかと、その立ち上がりがガラスの辺に対して直角かどうかです。1つの点から放射状に広がっていればぶつけた割れ、ガラスの中の金属線が茶色ければサビ割れの可能性、全面が粒状に砕けていれば強化ガラスの自然破損です。

網入りガラスは端の強さがふつうの半分ほどで、熱割れしやすい種類です。当社が網入りガラスを交換した10件では、費用の中央値は64,900円、幅は33,000円から200,000円でした。

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