トイレ床がじわじわ水漏れする原因は?対処法と修理費用を解説
トイレ床の水漏れは、突然起こりやすいお家トラブルのひとつです。トイレのドアを開けると床が水浸しになっていたら、驚くのと同時にどう対処すれば良いかわからなくなってしまいますよね。
この記事では、トイレの床が水漏れしてしまう原因と対処法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事は約27分で読み終わります。
トイレの床が濡れているのを見つけると、まず「どこから漏れているのか」が気になります。ただ、それより先にやっておいたほうがよいことがあります。
床の水は、放っておくと床材の下へ入っていきます。表面を拭いても、下地の木が湿ったままになることがあります。集合住宅なら階下へ回ることもあります。しかも、濡れた床のすぐそばには、コンセントにつながった温水洗浄便座があります。
水猿では、2020年1月6日から2025年11月12日までのあいだに、トイレの水漏れを217件直してきました。この記事では、その217件が実際にいくらだったのかもお伝えします。
床が濡れる原因は、便器と床のすき間、給水管、タンク、温水洗浄便座と、いくつもあります。そして、そもそも水漏れではないこともあります。
最初にすること、どこから漏れているかの見分け方、自分で直せる範囲、修理を頼んだときの費用、賃貸のときの動き方まで、順にご紹介します。
目次
トイレの床が濡れていたら最初にすること

床の水を拭くより先に、水と電気を止めます。原因を探すのはそのあとです。
止水栓を閉めて給水を止める
トイレの止水栓は、便器の後ろか横の壁、または床から出ている給水管についています。マイナスドライバーで回すタイプと、手で回せるハンドルのタイプがあります。
時計回りに、止まるところまで回してください。固くて動かないときは、無理に力をかけないでください。長く動かしていない止水栓は、中の部品が固まっていることがあります。ここを壊すと、水を止める手段がなくなります。
止水栓が回らないときは、家全体の元栓を閉めます。場所は戸建てなら敷地内のメーターボックスの中、集合住宅なら玄関横のパイプスペースの中です。
元栓を閉めると、台所も風呂も洗面所も水が出なくなります。トイレも流せなくなります。閉める前に、飲み水と手を洗う分、それにトイレを流す分をやかんやバケツに汲んでおいてください。
タンクのないトイレでは、止水栓が本体の下や横のカバーの中に隠れていることがあります。見あたらないときは、無理に外さず元栓を閉めてください。
止水栓の場所と回し方は、別の記事でくわしくご紹介しています。
温水洗浄便座の電源プラグを抜いて感電を防ぐ
床が濡れているトイレには、コンセントにつながった電気製品があります。温水洗浄便座です。
コンセントが床の近くにあると、そこまで水が届いていることがあります。濡れた手でプラグを触るのは避けてください。
床の濡れが広がっているときは、先に分電盤でトイレの回路を切ってからプラグを抜いてください。分電盤でトイレの系統が分からないときは、家全体のブレーカーを落としてから抜きます。
温水洗浄便座の電源を切ると、便座の暖房や洗浄が使えなくなります。それでも、床が濡れているあいだは抜いたままにしておいてください。
抜いたプラグは、床に置かずに便器の上や棚など、水のかからない高さに上げておいてください。差し込み口が濡れていたら、乾いた布で水気を取ってから、しばらく乾かします。
電源を戻すのは、水漏れが止まって床が乾いてからです。修理の人に見てもらう場合は、そのままにしておいて、状況を伝えてください。
床の水を拭き取って転倒を防ぐ
水と電気を止めたら、床の水を拭きます。
トイレの床は面積が狭く、便器をまたいで体の向きを変える場所です。濡れたままだと足を滑らせます。手すりのない場所で転ぶと、便器やタンクに体をぶつけることになります。
拭くときは、雑巾より新聞紙や古いタオルのほうが扱いやすいです。汚水が混じっている可能性があるので、使ったものはそのまま捨てられるものにしておくと後が楽です。
拭いたあと、便器と壁のすき間や、便器の後ろ側も見てください。手が届きにくい場所に水がたまっていることがあります。
拭き終えたら、換気扇を回すか窓を開けて、風を通しておいてください。トイレは狭くて空気が動かないため、湿ったままにしておくとにおいとカビが出ます。
乾いた布を敷いてどこから濡れてくるかを見る
床を拭き終えたら、乾いた布や新聞紙を便器のまわりに敷いてください。
そのまま30分から1時間ほど置いて、どこが最初に濡れるかを見ます。便器と床の境目が濡れれば、その下から出ています。給水管の下だけが濡れれば、接続部です。全体がうっすら湿るなら、水漏れではなく結露のこともあります。
止水栓を閉めた状態でも濡れてくるなら、タンクより先ではなく、便器の中や排水側から出ていることになります。
敷いた布が濡れた場所は、写真に撮っておいてください。乾いてしまうと、どこが濡れていたか分からなくなります。
なお、水を流さないあいだも濡れてくるか、流したときだけ濡れるかで、原因の側が分かれます。流したときだけなら排水側、何もしなくても濡れてくるなら給水側です。
この確認をしておくと、業者に電話したときに伝えられることが増えます。原因の場所が絞れていれば、持っていく部品も決めやすくなります。
濡れている場所でわかる水漏れの出どころ

どこが濡れているかで、原因の場所はかなり絞れます。上から順に見ていきます。
便器と床の境目から水がにじむ
便器と床の接する部分から、じわじわとにじんでくるパターンです。拭いてもしばらくすると、また同じところが湿ってきます。
便器は、床下の排水管に差し込む形で据えられています。そのつなぎ目にはパッキンやパテが使われていて、これが劣化すると、流したときの水が少しずつ外へ回ります。
据え付けたときの施工に問題があった場合も、同じ症状になります。便器を設置してから間もないのに漏れているときは、工事をした業者に連絡してください。保証の対象になることがあります。
水に色や濁りがあるときは、排水側から出ている可能性が高くなります。この場合、便器を一度外さないと原因を確かめられません。
このつなぎ目の部品は、便器の下に隠れていて外からは見えません。そのため、何年もったかを目で確かめる方法はありません。設置から15年、20年とたっている家では、ここが原因になることが増えます。
床がタイル張りで目地から水がしみ出しているときも、出どころは同じ場所です。タイルの下に回った水が、目地の細い道を通って出てきます。
給水管や止水栓の接続部から水がにじむ
タンクへ水を送る給水管、その途中の止水栓、それぞれの接続部から漏れるパターンです。
つなぎ目のナットがゆるんでいるか、中のパッキンが劣化しているかのどちらかです。管をつたって床まで落ちるので、床の濡れ方は線のような形になります。
止水栓を閉めても濡れてくるなら、止水栓より手前の壁側で漏れています。閉めると止まるなら、止水栓より先です。この切り分けだけでも、原因の範囲がかなり狭まります。
給水管まわりのつなぎ目は1か所ではありません。止水栓と給水管、給水管とタンク、それぞれにナットがあります。どちらから落ちているかは、乾いた紙を巻きつけて確かめられます。
漏れている量が少ないと、管を伝う途中で乾いてしまい、床まで届かないことがあります。床は濡れていないのに、管に白い粉のような跡がついているときは、そこから少しずつ出ています。
ここは自分で直せることがある、数少ない場所です。あとの章でご紹介します。
タンクのまわりから水が伝う
タンクの表面や底、レバーのつけ根から水が伝ってくるパターンです。
タンクの中には、水位を保つための部品がいくつも入っています。ゴム製の部品が多く、10年ほどで硬くなります。硬くなると水を止めきれなくなり、あふれた水がタンクの外へ回ることがあります。
タンクと便器をつなぐ部分のパッキンが劣化しても、同じように床まで水が落ちます。タンクを一度外す作業になるため、自分で直すのは難しい場所です。
タンクのふたを開けると、水位が見えます。あふれそうなところまで来ていたり、いつまでも水の流れる音がしていたりするなら、中の部品が水を止めきれていません。ふたは陶器で重く、落とすと割れます。両手で持ち上げて、便器の上ではなく床のタオルの上に置いてください。
タンクからの水漏れは、症状の見分け方が細かく分かれます。別の記事にまとめています。
温水洗浄便座から水がにじむ
便座の下や、便座へつながる細い給水ホースの根元から漏れるパターンです。
温水洗浄便座は、内部に貯湯タンクやバルブ、基板が入った電気製品です。分岐金具やホースのつなぎ目から漏れているだけなら部品交換で直りますが、本体の内部から漏れている場合は、ご自身では直せません。
このとき考えるのは、修理か交換かです。製造から10年以上たっているもの、本体にひびが入っているもの、メーカーの修理受付が終わっているものは、交換になることが多くなります。
製造年は、便座の側面か裏側に貼られたシールに書かれています。品番と一緒に印刷されているので、写真に撮っておくと問い合わせのときに早く進みます。
なお、電源プラグを抜いても水が出続けるなら、電気で動く部分ではなく、給水側のつなぎ目から漏れています。この場合は本体の故障ではありません。
交換したときにいくらかかるかは、別の記事にまとめています。
便座交換の費用はどれくらい?費用相場や安くする方法を解説!
便座交換の費用はどれくらい?普通便座から温水洗浄便座・高機能モデルまでの本体価格や工事費の相場、追加 ... [続きを読む]
結露や尿と水漏れを見分ける
床が濡れていても、水漏れではないことがあります。
便器やタンクの表面に細かい水滴がびっしりついていて、それが伝って落ちているなら結露です。冬や梅雨どきに起きやすく、便器の中の水と室内の温度差が大きいほど出ます。結露なら、水を止めても濡れ方は変わりません。
便器の根元だけが黄色く湿っていて、においがあるなら、尿が落ちて乾かずに残っているものです。この場合は掃除で解決します。
見分けがつかないときは、床を完全に乾かしてから、便器の表面をタオルで拭いてください。表面を拭いた直後にまた水滴がつくようなら結露です。
結露は、室内と便器の中の水の温度差で出ます。冬に暖房をつけたときと、夏に冷えた水道水が入ったときの両方で起きます。1年のうち特定の時期だけ濡れるなら、結露を疑ってください。
尿の場合は、便器の根元のうち、前側か横側だけが濡れます。ぐるりと一周濡れているなら尿ではありません。
色をつけた水で便器の中から出ているかを確かめる
どこから出ているか、どうしても分からないときの方法です。
食紅や、水に溶ける絵の具を少し用意して、便器のたまり水に落として色をつけます。そのまま10分ほど置いて、便器と床の境目ににじんでくる水を見てください。ここで色が出たら、便器そのものにひびが入っています。
にじんでこなければ、そのまま一度レバーを回して水を流します。流したあと数分待って、もう一度境目を見てください。
流したときだけ色が出るなら、便器と床のつなぎ目から漏れています。便器の下は普段は水が通らず、流したときにだけ水圧がかかるためです。だからこそ、垂らして待つだけで終わらせると、この漏れは見つかりません。
どちらでも色がつかなければ、便器の中の水ではありません。給水側か、タンクの外側を伝ってきた水か、結露です。
使うのは、水に溶けて跡が残らないものにしてください。油性のインクや、色の濃い染料は、便器の陶器やタンクの部品に色が残ることがあります。
確かめ終わったら、何度か流して色を抜いてください。色のついた水を残したままにすると、次に濡れたときにどこから出たのかが分からなくなります。
この方法は、業者を呼ぶ前に一度やっておくと役に立ちます。電話で色水が出たと伝えられれば、床下側の作業が必要になることが先に分かります。
自分で直せるのは給水まわりのゆるみとパッキンの劣化だけ

道具があれば手が届くのは、給水側の接続部までです。便器を外す作業や床下側は、範囲が変わります。
ナットのゆるみをスパナで締め直す
給水管の接続部から漏れているとき、まず試すのはナットの締め直しです。
止水栓を閉めた状態で、モンキーレンチかスパナをナットにかけて、時計回りに少しだけ締めます。少しというのは、手で回して止まったところから4分の1回転ほどです。
力いっぱい締めないでください。トイレの給水部品には樹脂製のものが多く、締めすぎると割れます。割れると、ゆるんでいたときより激しく漏れます。
締めるときは、もう片方の手で管を押さえてください。押さえずに回すと、管ごとねじれて、締めたつもりが反対側をゆるめていることがあります。
締め直したら止水栓を開けて、水を流して確かめてください。まだ漏れるなら、ゆるみではなく中のパッキンが原因です。
なお、樹脂のナットには手で締めるように作られたものがあります。そこに工具をかけると割れます。手で回して止まるところまで来たら、それ以上は締めないでください。
給水管のパッキンを交換する
ナットを締めても止まらないときは、中のゴムパッキンが硬くなっています。
止水栓を閉め、タンクの水を流して空にしてから、ナットを外します。中に入っている平たいゴムの輪がパッキンです。これをホームセンターで同じサイズのものに替えます。
外したパッキンを持って買いに行ってください。サイズが少しでも違うと水が止まりません。トイレの給水管まわりでは13ミリのものがよく使われますが、現物と並べて同じ大きさかを見てから買ってください。
買うときは、水道用と書かれたものを選んでください。同じ大きさでもガス用や耐熱用があり、材質が違います。
外す前に、ナットのまわりに雑巾を巻いておくと、残っていた水が床に落ちません。バケツか洗面器も下に置いておいてください。
戻すときは、パッキンを溝にまっすぐ収めてからナットをかけます。斜めに噛むと、締めても漏れ続けます。
便器と床のすき間は水漏れが止まる前に埋めない
便器と床の境目からにじんでいるとき、そこをコーキング材で埋めてしまいたくなります。
ただ、水漏れが止まっていないうちは埋めないでください。にじんでいるところが見えなくなるだけで、水そのものは止まりません。行き場をなくした水は、床材の下へ入っていきます。
床の下は乾きません。下地の木が湿ったままになり、時間がたつと柔らかくなります。表面からは分からないため、気づいたときには床板ごと交換になっていることがあります。
すき間を埋めるのは、原因を直して水漏れが止まったあとです。順番が逆になると、被害だけが見えなくなります。
すでに全周が埋められている家もあります。その場合、便器の下に回った水は出口を探して、便器から離れた場所や、隣の部屋との境目からしみ出します。濡れている場所と原因の場所が離れているときは、これを疑ってください。
掃除のときの水がすき間に入るのを防ぐために埋めることはあります。ただ、それは水漏れが無い状態でやることです。
止まっていなければ床の下に水がたまり続ける
自分で手を入れたあとは、水が止まっているかを確かめてください。
止水栓を開けて水を流し、便器のまわりに乾いた紙を敷いて、数時間そのままにします。紙が湿らなければ止まっています。少しでも湿るなら、直っていません。
トイレの水漏れは、1回に出る量が少ない場所です。流すたびに少しずつなので、その日のうちには気づけません。少し濡れる程度だからと置いておくと、床の下に水がたまり続けます。
紙で分からないときは、水道メーターを見てください。家じゅうの蛇口を閉め、トイレも使わない状態で、メーターの中の小さな羽根が回っていれば、どこかで水が流れ続けています。10分ほど置いて、数字が動くかを見ても分かります。
一度直したのにまた濡れてきた場合も、同じです。何度も再発するときは、その場所ではないところに原因があります。
業者に頼むときは症状と場所と写真を伝える
自分の手に負えないと分かったら、連絡します。そのとき伝えられると早いのは、次のことです。
どこが濡れているか、いつから濡れているか、止水栓を閉めたかどうか、閉めたら止まったかどうか。この4つです。濡れている場所は、便器と床の境目、給水管の下、タンクの下のように、位置で伝えてください。
あわせて、写真を3枚ほど撮っておいてください。トイレ全体が写ったもの、濡れている場所に寄ったもの、給水管と止水栓が写ったものです。
便器やタンクの品番も見ておいてください。タンクの側面か、便器の側面の低い位置に、アルファベットと数字の組み合わせで書かれています。ここが分かると、合う部品を先に用意できます。
これがあると、行く前に必要な部品の見当がつきます。部品を持たずに行って、後日出直しになる回数が減ります。
トイレの水漏れを修理した217件の費用

ここからは、実際にいくらかかったのかをお伝えします。
なお、この217件はトイレの水漏れ全体の件数で、床の水漏れだけに絞ったものではありません。便器と床の境目、給水管、タンク、温水洗浄便座のいずれかから漏れていた案件が入っています。
217件の真ん中の金額は21,000円だった
217件の真ん中の金額は21,000円でした。半数は11,000円から38,500円のあいだに入っています。
真ん中の金額を出しているのは、平均だと一部の高額な案件に引っぱられるからです。トイレの水漏れは、部品を1つ替えて終わる案件と、床を解体する案件が、同じ水漏れという言葉に入ります。
金額の分かれ方は次のとおりです。
いちばん多いのは1万円未満の24.4%で、次が1万円から2万円の23.5%です。2万円未満で終わった案件は、全体の47.9%にあたります。
半数が11,000円から38,500円というのは、残りの半数はその外側だったということです。それより安く終わった案件も、高くなった案件も、同じくらいの数だけあります。
なお、この217件は2020年1月6日から2025年11月12日までに対応した分です。いまの金額とは多少ずれる場合があります。
1万円未満で終わった24%は何をしたか
当社の217件のうち、いちばん安く終わった帯の真ん中の金額は8,800円でした。
この帯に入るのは、給水管の接続部のパッキンを替えた、ナットを締め直した、止水栓の中の部品を替えた、といった作業です。便器やタンクを外さずに済んだ案件が中心になります。
水猿の料金表では、トイレの軽度の水漏れを8,800円からとし、これに部品代が加わる形にしています。実際に払われた金額の真ん中も、この起点と同じところに来ています。
つまり、便器を外さずに給水側だけで直る状態なら、当社の実績では1万円を超えずに終わった案件があります。早く見つけて、早く連絡するほど、この帯に入りやすくなります。
反対に、同じ症状でも長く放っておくと、この帯から外れます。にじんだ水が下地まで届いてしまえば、部品を替えるだけでは終わらないからです。
10万円を超えた12%は水漏れ以外の工事もしている
一方で、10万円を超えた案件が12.0%あります。
この多くは、便器や温水洗浄便座の交換、給水管の工事、床を解体する工事などをあわせて行ったものです。床の水漏れを止める作業だけで10万円になったわけではありません。
長いあいだ漏れていて下地まで傷んでいた場合や、便器そのものにひびが入っていて交換になった場合が、ここに入ります。
同じトイレの水漏れでも、部品を1つ替えて終わるものと、床まで手を入れるものでは、金額が10倍以上変わります。幅が広いのは、そのためです。
見積もりが高いと感じたら、何の作業が入っているかを聞いてください。便器の脱着や床の解体が入っているのか、部品の交換だけなのかで、金額の意味が変わります。
費用は部品代ではなく便器をどこまで外すかで決まる
トイレの水漏れで使う部品は、パッキンなら数百円、タンクの内部部品でも数千円です。部品代そのものは、総額の中で大きな割合になりません。
金額を決めているのは、どこまで外すかです。
給水管のつなぎ目だけなら、便器はそのままで作業が終わります。タンクの中なら、水を抜いてふたを外します。便器と床のつなぎ目なら、便器を一度外して、据え直します。床下の排水管なら、床を開ける工事になります。
見積もりを見るときは、部品の値段ではなく、どこまで外す作業が入っているかを見てください。同じ水漏れ修理でも、そこが違えば金額が違って当然です。
原因が見えていない段階では、どこまで外すかも決まりません。電話で総額をお答えするのが難しいのは、そのためです。現場で中を見てから、作業の範囲と金額をお伝えすることになります。
賃貸では自分で修理せず管理会社に連絡する

借りている家のトイレで床が濡れたときは、動き方が変わります。自分で業者を呼ぶ前に、連絡です。
まず管理会社か大家に水漏れを連絡する
賃貸住宅の設備は、貸している側のものです。トイレも、便器もタンクも温水洗浄便座も、部屋についてきた設備なら借りている人の持ち物ではありません。
そのため、修理をどうするかを決めるのは貸している側になります。契約書には、水まわりの不具合を管理会社へ連絡する決まりが書かれています。書かれていない契約でも、設備の持ち主は貸している側なので、先に連絡してください。
連絡するときは、いつから濡れているか、どこが濡れているか、止水栓を閉めたかを伝えてください。写真を送れるなら送ってください。
止水栓を閉めることと、床の水を拭くことは、連絡の前にやって構いません。被害を広げないための行動だからです。
連絡先が分からないときは、契約書か、入居のときに渡された書類を見てください。夜間や休日の窓口が別の番号になっていることもあります。分譲マンションを借りている場合は、管理組合ではなく、貸してくれている持ち主か、その仲介をした会社が窓口になります。
連絡がつかないときは止水栓を閉めて写真で記録を残す
夜間や休日で連絡がつかないこともあります。
そのときは、止水栓を閉めて水を止め、床を拭いて、状況を写真に撮っておいてください。撮るのは、濡れている場所、便器のまわり全体、止水栓を閉めた状態の3つです。
写真には日時が残ります。あとで、いつから漏れていたのか、どう対応したのかを説明するときの材料になります。
連絡した記録も残してください。電話がつながらなかったなら、留守番電話にメッセージを入れるか、メールを送っておくと、連絡した時刻が残ります。
階下に水が回っている可能性があるときは、待たずに下の部屋の方へ声をかけてください。天井にシミが出ていないかを見てもらうだけでも、その後の話が変わります。
自分で業者を呼ぶと修理費用を自分で払うことがある
急いでいるからと、先に業者を呼んでしまうことがあります。
このとき、修理代を貸している側が負担してくれるとはかぎりません。契約で連絡先が決められているのに、そこを通さずに手配した場合、その費用は頼んだ人の負担になることがあります。
貸している側にも、付き合いのある業者や、決まった手配の流れがあります。そこを飛ばすと、精算のときに話が合わなくなります。
どうしても水が止められず、被害が広がっている場合は別です。その場合でも、業者を呼ぶ前に連絡を試みた記録を残しておいてください。
やむを得ず自分で手配したときは、作業前に「あとで貸主に請求する可能性がある」と業者へ伝えておいてください。作業の内容と金額が分かる書面をもらっておくと、話し合いのときの材料になります。
ガイドラインにおける費用負担の考え方を知る
国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を出しています。退去するときに、どこまでを借りた人が負担するかの考え方をまとめたものです。
この中では、時間がたって設備が古くなったことによる傷みは、借りた人が元に戻す義務の対象ではないとされています。部品の寿命による水漏れは、貸している側の負担が原則ということです。
一方で、水が漏れているのを知りながら貸している側に知らせず、放置して床や壁を傷めた場合は、扱いが変わります。ガイドラインは、結露が出ているのに知らせず拭き取りもせずに壁を腐らせた例を、通常の使い方を超えたものとして挙げています。
ですから、見つけた時点で連絡することが、いちばんの備えになります。ただし最終的にどちらの負担になるかは、契約の内容と実際の状況によって決まります。ガイドライン自体が、個別に判断されるべきものだと書いています。
出典:国土交通省 住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月(2026年9月8日に確認)
床が濡れたまま放置するリスク

少しの濡れだからと置いておくと、直す範囲が広がります。
床材が膨らんで下地の木が腐る
トイレの床によく使われるクッションフロアは、水に強い素材です。ただ、強いのは表面だけで、継ぎ目や壁ぎわからは水が入ります。
下に入った水は乾きません。合板の下地が湿ったままになり、少しずつ柔らかくなります。歩いたときに沈む感じがしたり、便器のまわりだけ床がへこんできたりしたら、下地まで傷んでいます。
そうなると、床材を張り替えるだけでは終わりません。下地の板を剥がして入れ替える工事になります。便器も一度外すことになります。
床が沈む、便器がわずかに動くといった変化は、下地が弱っているときに出ます。気づいたら、その時点で見てもらってください。
傷みが進んでいるかどうかは、便器のまわりを踏んで、他の場所と感触が違うかで分かります。柔らかい、きしむ音がする、壁ぎわの巾木が浮いている。こうした様子があれば、表面より下まで来ています。
カビが生えてにおいが残る
湿ったままの場所にはカビが出ます。トイレは面積が狭く、ドアを閉め切っていると空気が動かないため、においがこもります。
床材の下や、便器と床のすき間に入り込んだカビは、表面を拭いても取れません。においだけが残り、原因が分からないまま消臭剤を使い続けることになります。
汚水が混じっていた場合は、においがさらに強くなります。便器の中を通った水が外へ出ているときは、見た目にきれいでも菌が含まれます。
拭いたあとは、消毒用のアルコールやトイレ用の除菌シートで拭き上げてください。
このとき、塩素系のものと酸性のものを一緒に使わないでください。混ざると有害なガスが出ます。掃除用の洗剤を使う場合は、1種類だけにして、換気をしながら作業してください。
拭き上げたら、床が完全に乾くまで換気を続けてください。表面が乾いて見えても、目地や継ぎ目には水が残っています。
集合住宅では階下に水が漏れる
マンションやアパートで床が濡れているときは、急いでください。
床の下に入った水は、階下の天井へ回ります。天井にシミが出たり、照明器具のまわりから落ちてきたりします。ここまでいくと、自分の部屋だけの話ではなくなります。
階下の内装や家財を傷めた場合、その分の負担を求められることがあります。修理する範囲も、自分の部屋の床だけでは済みません。
また、水漏れが続いているあいだ、水道の使用量は増え続けます。流し続けているのと同じなので、水道料金は上がります。いつもより請求が高いときは、目に見えていない場所での水漏れが疑われます。
階下への被害については、契約している保険で対応できることがあります。金額の話をする前に、保険会社にも連絡して、使えるかどうかを確かめてください。
床材の張り替えは水漏れを止めたあとの別の工事
床が傷んでしまったあとの話です。ここは水を止める作業とは分かれています。
水漏れを止める工事と床を直す工事は分かれている
水漏れを止める作業と、傷んだ床を直す作業は、別のものです。パッキンを替える、便器を据え直す、配管を直すというのが前者で、床材を張り替えたり下地の板を入れ替えたりするのが後者になります。
同じ日に続けて行うことはありますが、順番は決まっています。水が止まっていない状態で床を張り替えても、また濡れます。
まず水を止める。乾かす。そのうえで床を直す。この順です。
乾かす期間は、どこまで濡れたかで変わります。表面だけなら数日ですが、下地まで入っていれば、扇風機や除湿機を当てて1週間以上かかることもあります。乾ききる前に新しい床材を張ると、内側にカビが出ます。
床材の張り替えにかかる一般的な費用を見る
トイレの床を張り替えるときの一般的な費用の目安です。
クッションフロアなら2万円から4万円程度、フローリングなら3万円から6万円程度が目安になります。タイルなど機能のある材料を選ぶと、10万円を超えることもあります。
下地の板まで傷んでいる場合は、それを入れ替える工事が加わります。10万円から20万円程度になることがあります。工事の日数も、1日では終わりません。
金額が変わるのは、張り替える広さ、選ぶ材料、下地まで手を入れるかどうか、便器を外す必要があるかどうかの4つです。見積もりを取るときは、この4つがどうなっているかを確かめてください。
とくに便器の脱着は、見積もりに入っているかどうかで金額が変わります。便器を置いたまま、そのまわりだけを張り替える方法もありますが、便器の下に残った古い床材との境目が見えます。
床の張り替えまで水猿で承ることもできる
水漏れを止めたあとの床の張り替えは、水猿でもお受けしています。便器を外して据え直すところと、その下の床を張り替えるところを、同じ日にまとめて行った例もあります。
ただし、お住まいの地域や、傷んでいる範囲によっては、お受けできないことがあります。下地の板まで入れ替える工事になると、日数も職人の手配も変わるためです。
まずは水漏れを止めるところまでを見せていただいて、床がどこまで傷んでいるかをお伝えします。そのうえで、そのまま張り替えまで承れるか、内装の業者へお願いする形になるかをご相談ください。
賃貸にお住まいの場合、床は部屋の一部なので、工事を手配するのは貸している側です。ご自身で業者を探す前に、管理会社へご相談ください。
水漏れを繰り返さないために見ておく場所

直したあとに、また同じところから漏れることがあります。見ておく場所は決まっています。
便器と床の境目を月に一度見る
いちばん見てほしいのは、便器と床が接している部分です。
月に一度、掃除のついでで構いません。乾いたティッシュを便器の根元にあてて、湿るかどうかを見てください。湿らなければ問題ありません。
ここは、じわじわとしか漏れない場所です。量が少ないぶん、気づくのが遅れます。そして気づくのが遅れるほど、床の下に水がたまります。
あわせて、給水管のつなぎ目と、止水栓のまわりも見てください。白い粉のようなものがついていたら、少しずつ漏れて乾いた跡です。
床を拭いたときに、便器の根元だけ雑巾の汚れ方が違うことがあります。そこに水が回っている合図です。掃除のついでに気づけるので、月に一度は根元まで拭いてください。
結露しやすい時期は換気と除湿をする
冬と梅雨どきは、便器やタンクの表面に水滴がつきやすくなります。これが伝って床に落ちると、水漏れと同じように床を湿らせます。
換気扇を回したままにする、窓のあるトイレなら少し開けるといった方法で、湿気を外へ出してください。ドアを閉め切ったままにしないことが基本です。
タンクにカバーをつける方法もあります。ただ、カバー自体が湿気を含むと、かえって乾きにくくなります。定期的に外して乾かしてください。
タンクの中の水が冷たいほど結露します。冬に暖房の効いた家では、便器のまわりだけ空気が冷えず、差が大きくなります。トイレのドアを少し開けておくだけでも変わります。
結露そのものは故障ではありません。ただ、放っておくと床材やカビの問題になるのは、水漏れと同じです。
トイレの部品の寿命は10年前後だと知っておく
トイレの中で先に傷むのは、ゴムやプラスチックの部品です。
パッキン、タンクの中のフロートやゴムフロート、給水のバルブといった部品は、10年ほどで硬くなったり、ひび割れたりします。使う頻度や水質によって前後します。
設置から10年を超えていて、一度どこかから漏れた場合は、ほかの部品も同じくらい古くなっていると考えてください。1か所を直しても、しばらくして別の場所から漏れることがあります。
設置した年は、便器やタンクの側面のシールか、タンクのふたの裏に書かれていることがあります。分からない場合は、家を建てた年やリフォームした年からおよその見当がつきます。
修理を頼むときに、ほかの部品の状態もあわせて見てもらうと、繰り返しを減らせます。
トイレの水漏れはどこから?濡れた場所でわかる原因と修理費用を解説
トイレの水漏れは濡れている場所で原因が変わります。まず止水栓を閉める手順、賃貸とマンションで先に管理 ... [続きを読む]
まとめ
トイレの床が濡れていたら、拭くより先に止水栓を閉めて、温水洗浄便座の電源プラグを抜いてください。水と電気を止めてから、原因を探します。
どこから漏れているかは、濡れている場所で絞れます。便器と床の境目、給水管の接続部、タンクのまわり、温水洗浄便座の4つです。表面に水滴がついているだけなら結露のこともあります。
自分で直せるのは、給水管のナットの締め直しと、パッキンの交換までです。便器を外す作業や床下側は、範囲が変わります。すき間をコーキングで埋めるのは、水漏れが止まってからにしてください。
水猿が2020年1月6日から2025年11月12日までに直したトイレの水漏れ217件では、真ん中の金額は21,000円でした。2万円未満で終わったのが全体の47.9%です。10万円を超えた12.0%は、交換や床の解体をあわせて行ったものです。
賃貸にお住まいの場合は、自分で業者を呼ぶ前に管理会社か大家へ連絡してください。見つけた時点で知らせることが、費用の負担を分けるうえでいちばんの備えになります。
床が濡れたまま置いておくと、下地の木まで傷みます。そこまでいくと、水を止める工事とは別に、床を直す工事が必要になります。早く見つけて、早く止めてください。

