トイレが流れない原因は?症状で分かる見分け方と応急処置
「トイレの水が急に流れなくなった」と、突然トイレのトラブルに見舞われることは少なくありません。
しかし、原因や対処法を知らなければ、慌てて何度もレバーを回したり、無理にトイレを分解したりしてしまうと、事態を悪化させてしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、トイレの水が流れなくなった原因と、今すぐできる対処法について解説します。また、業者を呼ぶべきかどうかの判断基準も紹介しますので、参考にしてみてください。
この記事は約27分で読み終わります。
トイレのレバーを回した。水が流れない。あるいは、水は流れたのに便器の水がなかなか引かない。
いま知りたいのは原因の名前ではなく、目の前のトイレをどうすればいいか、だと思います。
トイレが流れないときは、先に症状を見分けてください。便器の水位が上がっているのか、タンクに水がたまっていないのか、レバーの手ごたえが無いのか。どれも「流れない」ですが、見るところがまったく違います。
見分けないまま水を足したり、レバーを何度も回したりすると、便器から汚れた水があふれます。あふれてしまうと、床を拭くところから始めることになります。
この記事で分かることは、次の4つです。
- あふれそうなときに最初にすること
- 症状から、どこを見ればいいかを分ける方法
- タンクとレバーで確かめる場所
- 自分で直すのをやめて業者に頼む目安
賃貸でトイレが流れなくなったときの連絡先も、あわせてご紹介します。
先にお伝えすると、トイレが流れない症状は、大きく「便器の側で止まっている」ものと「タンクの側で水が用意できていない」ものに分かれます。便器の水位が上がっていれば前者、タンクに水がたまっていなければ後者です。この2つは、やることが逆になります。

目次
トイレが流れないときにまずすること
原因を調べるより先に、被害を広げないことを優先してください。この章でやることは2つだけです。
順番があります。便器の水位が上がっているときは、1番目だけをやって、2番目はやらないでください。水を足すとあふれます。
- 便器から水があふれそうなら止水栓を閉める
- バケツにためた水を一気に流して用を足したものを押し流す
便器から水があふれそうなら止水栓を閉める
便器の水が縁の近くまで来ているときは、レバーに触らないでください。もう一度流すと、そのぶんの水が足されてあふれます。
先にやるのは、トイレへの水を止めることです。止水栓を閉めれば、誰かが誤ってレバーを回しても水は出ません。
止水栓は、便器の後ろか横の壁から出ている給水管の途中にあります。床から立ち上がっている家もあります。マイナスドライバーで回す溝が付いたものと、手で回せるハンドルのものがあります。どちらも、時計回りに止まるところまで回すと閉まります(閉めるときは時計回り、開けるときは反時計回りです)。
閉めたあとは、何回まわしたかを覚えておいてください。直ったあとに同じ回数だけ戻せば、水の勢いが元に戻ります。
止水栓が固くて動かないときは、力をかけないでください。長く動かしていない止水栓は中の部品が固まっていることがあり、無理に回すと壊れます。壊すと、その場で水を止める手段がなくなります。動かないときは、洗面所や台所と同じ家全体の元栓(水道メーターの横にある止水栓)を閉めてください。
床に水が広がってしまった場合は、温水洗浄便座の電源プラグを抜いてください。濡れたまま通電させないためです。
このとき、濡れた手でプラグに触らないでください。手をタオルでよく拭くか、乾いたゴム手袋をしてから抜いてください。コンセントそのものが水をかぶっているときは、プラグに手を伸ばさず、分電盤のブレーカーを落としてください。
抜いたプラグは、床とコンセントが乾いてから差し直してください。濡れたまま差すと、温水洗浄便座が壊れます。ブレーカーを落とした場合も、同じように乾いてからブレーカーを戻してください。
バケツにためた水を一気に流して用を足したものを押し流す
タンクに水がたまらないだけで、便器の中は詰まっていない。そういうときは、バケツの水で流せます。
この方法が使えるのは、便器の水位が低く、あふれる気配がないときだけです。水位が上がっているときにやると、足した水がそのまま外に出ます。
やり方は次のとおりです。
- バケツに水をためる。洗面所や浴室の蛇口から入れる
- はじめにコップ1〜2杯ぶんだけ注いで、水位の上がり方を見る。すぐに上がるなら、そこでやめる
- 上がらなければ、便器の水がたまっているところをねらって、便器の縁の少し上から一気に注ぐ
- 流れたら、もう一度ゆっくり注いで便器の中に水を残す
はじめに少しだけ注ぐのは、便器の中がどれくらい通っているかを確かめるためです。ここで水位が上がるなら、バケツの水を足しても流れません。
一気に注ぐのは、勢いで押し流すためです。ちょろちょろ注ぐと、水位が上がるだけで流れません。
高いところから落とさないでください。落差が大きいと便器の中の水が跳ね返り、汚れた水を浴びたり、床や壁に飛んだりします。便器の縁の少し上から、まっすぐ落としてください。
最後にゆっくり注いで水を残すのは、便器の中の水が下水のにおいをふさぐふたになっているからです。空にしたままにすると、下水管の空気が上がってきます。

床が濡れないように、便器のまわりに新聞紙や古いタオルを敷いてから始めると安心です。終わったら、床にかかった水を拭き取ってください。
トイレが流れない症状はどれに当てはまるか
ここからは、見るところを決めます。この章では原因の説明はしません。自分の症状がどれかを決めて、そのあとの章へ進んでください。

見るのは3か所です。便器の水位、タンクの中、レバーの手ごたえ。まずこの3か所を見てください。ここで、次に読む章が決まります。
タンクのふたは陶器で重く、落とすと割れます。開けるときは両手で持ち上げて、床に平らに置いてください。機種によっては、ふたの内側に洗浄ボタンの配線がつながっています。引っ張らず、まっすぐ持ち上げてゆっくり外してください。
次の5つのうち、いまの状態に近いものを選んでください。
便器の水位が上がってなかなか引かない
流したあと、便器の水がいつもより高いところで止まっている。数分待つとゆっくり下がるが、また流すと同じことになる。
これは、便器から先で水がせき止められている状態です。タンクは正常に働いています。水は用意できているのに、その先が受け取れていません。
いつもの水位が思い出せないときは、家の中に別のトイレがあればそちらを見てください。無ければ、便器の底のほうに水がたまっていて、便器の内側の面が広く見えている状態がふつうです。水面が便器のくびれたところより上にあれば、上がっています。
流したあとに水位がゆっくり下がっていくなら、完全にふさがってはいません。少しずつ通っています。まったく下がらないなら、ふさがっています。この違いは、あとの章で待つか待たないかの判断に使えます。
このときは「便器の水位が上がるときに疑う原因」へ進んでください。水を足すこともレバーを回すことも、いまはしないでください。
タンクに水がたまらない
レバーを回しても水が出ない。タンクのふたを開けると、中が空か、底のほうにしか水がない。
これは、便器ではなくタンクに水が用意できていない状態です。便器の中は詰まっていません。
たまっているかどうかは、ふたを開けなくても分かることがあります。流したあとに「シャー」という水を入れる音がしばらく続き、やがて止まるのがふつうです。音がまったくしない、あるいは細い音がいつまでも止まらないなら、タンクの側で何か起きています。
ふたを開けたときは、水面の高さも見てください。タンクの内側に、ここまで入るという線や、水を入れる部品の位置で分かる目安があります。そこまで届いていなければ、流す水の量が足りません。
このときは「タンクに水がたまらないときに確かめること」へ進んでください。
水は出るが勢いが弱くて紙が残る
水は流れる。けれども勢いが足りず、紙が便器に残る。何度か流すと最後には流れる。
この症状は、タンク側と便器側のどちらでも起こります。先にタンクを見てください。水が規定の高さまでたまっていなければ、流す水の量そのものが足りていません。
そこで「タンクに水がたまらないときに確かめること」を先に読み、タンクの水位に問題がなければ「便器の水位が上がるときに疑う原因」へ進んでください。便器の側が少しずつ狭くなっている場合があります。
レバーが軽くて手ごたえがない
レバーを回すと、いつもより軽い。手ごたえが無く、空回りする感じがする。タンクには水がたまっている。
これは、レバーの動きが便器へ伝わっていない状態です。タンクにも便器にも問題はなく、そのあいだの部分だけが働いていません。
いつもとの違いは、手の感触で分かります。ふつうは、回したときにゴム栓を持ち上げる重さが指に伝わり、離すとカチッと戻ります。この重さが無く、そのまま止まらずに回ってしまうなら、つながっていません。
大と小のレバーがある機種では、片方だけ手ごたえが無いこともあります。両方を試して、どちらの向きで空回りするかを覚えておいてください。
このときは「レバーやボタンで流れないときに確かめること」へ進んでください。
ボタンや手かざしに反応しない
壁のボタンを押しても、センサーに手をかざしても反応しない。表示のランプが消えている。
タンクレスや一体型のトイレは、電気で水を流しています。電気が来ていなければ動きません。
このときも「レバーやボタンで流れないときに確かめること」へ進んでください。電池と停電の確かめ方をご紹介しています。
便器の水位が上がるときに疑う原因
便器の水位が上がって引かないときは、便器の中か、その先の配管でせき止められています。疑うのは次の3つです。
- トイレットペーパーを一度に流しすぎている
- 水に溶けないものを落として奥で引っかかっている
- 排水管や屋外の汚水桝までふさがっている
上から順に、自分でどうにかできる可能性が高い順です。
トイレットペーパーを一度に流しすぎている
紙は水に溶けますが、溶けるまでに時間がかかります。一度に大量に流すと、溶けきる前に固まりのまま曲がったところへ行き、そこで止まります。
この状態は、時間をおくと自然に直ることがあります。溶けるのを待つということです。1時間ほどそのままにして、水位が下がっていれば、少しずつ流れています。
待つあいだは、家族にもトイレを使わないよう伝えてください。ひとりが待っているあいだに別の人が流すと、そのぶん水が足されます。
節水のために風呂の残り湯で流している場合や、水の勢いを絞りすぎている場合も同じことが起きます。止水栓を絞りすぎていないか確かめてください。タンクの中にペットボトルやレンガを入れて水量を減らしている場合も、流す力が足りなくなります。
海外製の水に溶けにくい紙や、ティッシュペーパーを流したときも同じです。ティッシュは水に溶けない紙なので、流すと残ります。
水に溶けないものを落として奥で引っかかっている
ポケットから落ちたスマートフォン、おむつ、生理用品、掃除用のシート、子どものおもちゃ。こうしたものは水に溶けないか、溶けるとしてもとても時間がかかります。「流せる」と書かれたシートも、トイレットペーパーのようにはほぐれません。奥で引っかかったまま、そこに紙がからんでいきます。
落としたことに心当たりがあるなら、時間をおいても直りません。むしろ、流そうとするほど奥へ入り、取り出しにくくなります。
落としたものが見えているなら、ゴム手袋をして取り出してください。見えないところまで入ってしまったら、それ以上は流さないでください。
排水管や屋外の汚水桝までふさがっている
トイレだけでなく、お風呂や洗面所の排水も悪い。流すと別の場所からゴボゴボと音がする。屋外の汚水桝のふたを開けると水があふれそうになっている。
こうなっている場合は、便器の中ではなく、家の外へ向かう配管でふさがっています。便器の側をいくら触っても変わりません。
汚水桝は、家の外の地面にある丸や四角のふたです。玄関からトイレの外壁沿いに歩くと見つかることが多く、開けると配管の中が見えます。ふたを開けたときに水が満ちていれば、そこから先が流れていません。
ふたを開けるときは、手袋をして、片側から少しずつ持ち上げてください。長く開けていないふたは縁が固まっていることがあります。重くて持ち上がらないときは無理をせず、そのままにしてください。指をはさむと大けがになります。
開けたら顔を近づけないでください。中の空気には硫化水素などが含まれます。においが強いときや気分が悪くなったときは、すぐにふたを戻してその場を離れてください。小さなお子さんやペットも近づけないでください。中に手を入れる必要はありません。見るだけで判断できます。
集合住宅では、上下の階を通る共用の縦管が原因のこともあります。同じ時間帯に他の部屋でも水の流れが悪くなっていれば、その可能性が高くなります。共用の配管が原因のときは、自分の部屋の中で何をしても変わりません。自分で手を出さず、管理会社へ連絡してください。
便器の中のつまりを自分で直す具体的な手順は、別の記事にまとめています。ラバーカップの使い方や、それでも取れないときの順番までご紹介しています。
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つまりを取る道具を持っていない場合は、無理に代用品を作らないでください。ハンガーの針金や割り箸を突っ込むと、便器の内側に傷が付き、そこに汚れがたまってつまりやすくなります。
タンクに水がたまらないときに確かめること
タンクに水がたまらないときは、タンクへ水が来ていないか、タンクが水をためられていないかのどちらかです。確かめるのは次の4つです。

- 止水栓が閉まっていないかを見る
- 断水や水道工事で家に水が来ていないかを確かめる
- タンクのふたを開けて浮き球の位置を見る
- タンクに水を入れる部品が動いているかを見る
タンクの中は、次のようになっています。部品の名前が分からなくても、位置が分かれば見比べられます。
止水栓が閉まっていないかを見る
いちばん先に見るのはここです。掃除のときに動かした、家族の誰かが触った、業者の作業のあとに戻していない。これで水が来ていないことがあります。
止水栓は、便器の後ろか横の壁から出ている給水管の途中にあります。反時計回りにゆっくり回して、開いてみてください。

開けるときは、一気に全開にしないでください。急に水が流れ込むと、タンクの中の部品に負担がかかります。少し開けて水が入り始めるのを確かめ、そこから少しずつ開けてください。
断水や水道工事で家に水が来ていないかを確かめる
トイレだけを見ていると分かりません。台所や洗面所の蛇口をひねってください。そこでも水が出なければ、トイレの故障ではありません。
近所で水道工事をしている、集合住宅で貯水槽の清掃がある、凍結している。こうした理由で家全体に水が来ていないことがあります。
集合住宅では、掲示板やポストに事前の案内が入っていることがあります。心当たりがなければ、管理会社に確かめてください。
タンクのふたを開けて浮き球の位置を見る
タンクの中には、水面に浮いて上下する浮き球があります。水がたまると持ち上がり、いっぱいになると水を止めます。
この浮き球が、タンクの壁や他の部品に引っかかって下がったままになっていることがあります。下がったままだと「まだ水が足りない」と判断され続け、逆に上がったままだと水が入ってきません。
指で軽く上下させて、引っかからずに動くかを見てください。動きが渋いときは、まわりに何か当たっていないかを確かめます。
浮き球が水を吸って沈んでいる場合もあります。持ち上げたときに重い、中で水の音がするなら、部品そのものが寿命です。
なお、丸い浮き球ではなく、筒に沿って上下する部品が付いている型もあります。上の写真のタンクがその型です。形は違っても、水面の高さを伝えて水を止めるという役目は同じです。上下に動くかどうかを見てください。
タンクに水を入れる部品が動いているかを見る
浮き球の腕がつながっている柱が、水を入れる部品です。浮き球が下がると水を出し、上がると止めます。
浮き球を手で押し下げたときに水が出てくれば、この部品は生きています。押し下げても水が出てこなければ、部品の中で詰まっているか、寿命です。
この部品はゴムのパッキンで水を止めています。ゴムは年数がたつと硬くなり、止まらなくなったり出なくなったりします。使い始めてから十年ほどたっているなら、部品ごとの交換を考える時期です。
タンク側の症状をもっと詳しく確かめたい場合は、タンクに水がたまらないときの原因と対処だけをまとめた記事があります。
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なお、タンクの中の部品を交換するときは、必ず止水栓を閉めてからにしてください。開いたまま外すと、水が噴き出します。
レバーやボタンで流れないときに確かめること
タンクには水がたまっているのに流れない。この場合は、レバーの動きが便器へ伝わっていません。確かめるのは次の3つです。

- レバーとゴム栓をつなぐ鎖が外れていないかを見る
- タンクの底のゴム栓が持ち上がるかを見る
- タンクレスや一体型は電池の残量と停電を確かめる
レバーとゴム栓をつなぐ鎖が外れていないかを見る
レバーの軸とタンクの底のゴム栓は、鎖でつながっています。レバーを回すと鎖が引かれ、ゴム栓が持ち上がり、便器へ水が流れます。
この鎖が外れると、レバーは何にもつながっていない状態で回ります。手ごたえが無く、空回りするのはこのためです。
タンクのふたを開けて、鎖がレバーの軸とゴム栓の両方につながっているかを見てください。外れているだけなら、掛け直せば直ります。
鎖には長さの余裕が必要です。張りすぎているとゴム栓が閉まりきらず、水が便器へ流れ続けます。たるみすぎているとゴム栓が持ち上がりません。指1本ぶんほどのたるみが目安です。
タンクの底のゴム栓が持ち上がるかを見る
鎖がつながっているのに流れないときは、ゴム栓そのものを見ます。
鎖を手で持って、まっすぐ上に引いてみてください。ゴム栓が持ち上がって便器へ水が流れれば、ゴム栓は動いています。動かないなら、ゴム栓が底に貼り付いているか、変形しています。
ゴム栓は消耗品です。年数がたつと表面が溶けたようにベタつき、触ると手が黒くなります。この状態になると、閉まりも開きも悪くなります。
引いても動かないときに、力任せに引っ張らないでください。鎖が切れると、レバー側からゴム栓を動かす手段がなくなります。
タンクレスや一体型は電池の残量と停電を確かめる
タンクの無いトイレや、便座と便器がつながった一体型のトイレは、電気で水を流します。
壁のリモコンで流すタイプは、リモコンの電池が切れると反応しません。まず電池を新しいものに換えてください。
便器側のランプが消えている場合は、本体に電気が来ていません。コンセントが抜けていないか、漏電しゃ断器が落ちていないかを見てください。停電のときは、本体に付いている手動レバーで流します。位置は機種で違うので、取扱説明書で確かめてください。
レバーが空回りする症状だけをもっと詳しく知りたい場合は、鎖とゴム栓の見方をまとめた記事があります。
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電池を換えても、コンセントを差し直しても反応しないときは、本体の基板が壊れている場合があります。ここから先は分解になるため、業者に連絡してください。
トイレが流れないときにしてはいけないこと
よかれと思ってやったことで、状態が悪くなることがあります。ここに挙げた5つは、しないでください。
- 熱湯を便器に注がない
- レバーを何度も回して水を足さない
- あふれそうなときにラバーカップを使わない
- 市販の薬剤を続けて流さない
- 便器の奥に手や棒を入れて押し込まない
熱湯を便器に注がない
紙を溶かそうとして熱湯を注ぐ方がいます。便器は陶器です。陶器は急な温度の変化に弱く、ひび割れることがあります。
便器が割れると、修理ではなく交換になります。つまりを直すより、はるかに大きな工事です。
お湯を使う場合でも、手で触れる程度の温度までにしてください。給湯器の設定でいえば、風呂の湯より熱くしないという目安です。
温度だけでなく、注ぎ方にも気をつけてください。高いところから一気に落とすと、便器の一点だけが急に温まります。低い位置から、便器の内側の面をつたわせるように入れてください。
便器の中だけでなく、便座にも熱湯をかけないでください。温水洗浄便座は電気製品です。中に水が入ると壊れます。
レバーを何度も回して水を足さない
流れないときに、もう一度レバーを回したくなります。ですが、流れない状態でレバーを回すと、行き場のない水がそのぶん便器にたまります。
2回、3回と繰り返すと、水位は縁まで上がります。そこからは、少し押しただけであふれます。
1回流して変わらなければ、そこで止めてください。次にやるのは、水を足すことではなく止水栓を閉めることです。
便器の水位が上がっているときは、タンクの中に手を入れてゴム栓を持ち上げるのも同じです。レバーを使っていなくても、便器へ水を送っていることに変わりはありません。タンクの中を確かめる作業は、便器の水位が下がってからにしてください。
小さなお子さんがいるご家庭では、トイレのドアを閉めておくか、貼り紙をしておくと安心です。事情を知らない人が流してしまうのを防げます。
あふれそうなときにラバーカップを使わない
ラバーカップは、押し引きして便器の中の水を動かす道具です。水位が高い状態で使うと、動かした水が便器の外に出ます。
出るのは、用を足したものが混ざった水です。床とスリッパと壁に飛びます。
使えるのは、水位が下がってからです。次の図の左のように、便器の底のほうに水がたまっている高さまで戻ってから始めてください。
右のように縁の近くまで水が来ているときは、ラバーカップも、水を足すことも、レバーを回すこともしないでください。止水栓を閉めて、水位が下がるのを待ってください。
市販の薬剤を続けて流さない
排水管用の薬剤は、髪の毛や油汚れを溶かすものです。トイレのつまりの多くは紙か、水に溶けないものです。溶けないものには効きません。
効かないからと続けて注ぐと、薬剤が便器の中にたまります。そのあとに業者が作業をするとき、たまった薬剤を浴びる危険があります。
種類の違う薬剤を混ぜないでください。塩素系のものと酸性のものが混ざると、有害な気体が出ます。使う場合は1種類だけにして、容器に書かれた使い方を守ってください。
使ったのに変わらなかったときは、業者へ連絡するときに「何をどれだけ入れたか」を伝えてください。
便器の奥に手や棒を入れて押し込まない
見えないところに引っかかったものを、棒で押し込もうとしないでください。押し込むと、便器の中の曲がったところを越えて、その先の配管まで進みます。
便器の中にあるうちは、便器を外せば取り出せます。その先の配管まで進むと、床や壁を開ける工事になることがあります。
素手を入れるのも避けてください。便器の内側には、割れた陶器の縁や、落とした物の鋭い部分が隠れていることがあります。
針金のハンガーを伸ばして入れる方法も同じです。先端が便器の内側の釉薬を削り、そこが傷になります。傷が付いたところには汚れがたまり、次からつまりやすくなります。
腕を深く入れて抜けなくなる事故も起きています。届かないところにあるものは、道具を持った人に任せてください。
自分で直すのをやめて業者に頼む目安
自分でやれることには線があります。その線を越えて続けると、直せたはずのものが直せなくなります。目安は2つです。
水に溶けないものを落としたときは自分で取り切れない
スマートフォン、おもちゃ、掃除用のシート、生理用品。落としたことがはっきりしているなら、そこで手を止めてください。
これらは待っても無くなりません。流そうとすれば奥へ進みます。便器の中にあるうちなら取り出せますが、その先へ進むと工事の規模が変わります。
とくに、落としたものが水に浮かない硬いものだった場合は、時間を置いても状況は良くなりません。紙なら待てば溶けますが、こうしたものは翌日も同じ場所にあります。
落としたかどうか自信が無いときも、同じように扱ってください。ポケットに入れていたものが手元にない、掃除のときに使ったシートの枚数が合わない。こうした心当たりがあれば、無理に流さずに相談してください。
業者に連絡するときは、落としたものの名前と大きさを伝えてください。取り出す方法が変わります。便器を外さずに取れるか、外す必要があるかも、そこで見当がつきます。
1つの方法を3回試して変わらないならやめる
同じ方法を3回試して結果が変わらないなら、その方法では届いていません。4回目も同じです。
時間の目安もあります。半日たっても水位が下がらない、翌朝になっても同じなら、待って直るものではありません。
途中でやり方を変えた場合は、数え直してください。バケツで3回、そのあとラバーカップで3回というように、方法ごとに区切って考えます。同じ方法を何度も繰り返すことに意味はありません。
トイレが1つしかない家では、使えない時間が長くなるほど困ります。早めに切り替えたほうが結果として楽です。試した回数と時間を伝えれば、業者の側も状況をつかみやすくなります。
修理を頼むときの費用の目安は、作業の内容ごとに別の記事でご紹介しています。
トイレつまりの料金相場!便器脱着や高圧洗浄など作業別の費用を解説
トイレのつまりを業者に頼むといくらかかるのか、実際に対応した870件からお伝えします。いちばん多いの ... [続きを読む]
連絡する前に、いつから流れないか、どの症状か、何を試したかの3つを書き出しておくと、電話でのやり取りが短くなります。
賃貸でトイレが流れないときの連絡先
賃貸のアパートやマンションでトイレが流れなくなったときは、自分で業者を呼ぶ前に、管理会社か大家へ連絡してください。順番が逆になると、費用の話がこじれます。
賃貸の建物では、設備の修理を誰が負担するかが契約で決まっています。建物側の設備が古くなって壊れた場合と、住んでいる人の使い方で詰まった場合とで、扱いが変わります。どちらに当たるかは、契約書と管理会社への確認で決まります。
先に自分で業者を呼んでしまうと、その費用を自分で払うことになる場合があります。管理会社が契約している業者が決まっていることも多く、そちらに頼めば手配も支払いもまとめてもらえます。
夜間や休日で管理会社につながらないときは、まず止水栓を閉めて水を止めてください。そのうえで、緊急時の連絡先が契約書や掲示板に書かれていないかを確かめます。書かれていれば、そこが窓口です。
分譲マンションの一室を借りている場合は、窓口が管理組合ではなく部屋の持ち主になることがあります。社宅や寮であれば、勤め先の総務が窓口です。契約書の最初のほうに、修理の連絡先が書かれています。
留守番電話につながったときは、部屋番号と症状と、止水栓を閉めたかどうかを残してください。折り返しの電話で説明し直す手間が減ります。
連絡するときは、次の3つを伝えると話が早くなります。
- いつから流れないか(何日の何時ごろからか)
- どの症状か(便器の水位が上がる/タンクに水がたまらない/レバーが空回りする)
- 何を試したか(止水栓を閉めた/バケツで流した/薬剤を入れた)
3つ目はとくに大切です。薬剤を入れたことを伝えないまま作業をしてもらうと、作業する人が薬剤を浴びる危険があります。
上下の階からも同じ苦情が出ている場合は、その建物の共用の配管が原因かもしれません。自分の部屋だけの問題ではないので、その事実もあわせて伝えてください。
トイレのつまり全体については、原因の見分け方から直し方までをまとめた記事があります。
管理会社への連絡がついたあとも、直るまでは水を流さないでください。連絡した時点の状態のままにしておくほうが、原因が分かりやすくなります。
まとめ
トイレが流れないときは、原因の名前を当てるより先に、症状を見分けてください。
見るのは、便器の水位、タンクの中、レバーの手ごたえの3か所です。便器の水位が上がっていれば便器から先、タンクに水がたまっていなければタンクの側、レバーが空回りするなら鎖とゴム栓を見ます。
あふれそうなときにやることは1つだけです。止水栓を閉めることです。水を足すことも、レバーを回すことも、ラバーカップを使うこともしないでください。
水に溶けないものを落としたときと、1つの方法を3回試して変わらないときは、そこで自分の作業をやめてください。続けるほど、取り出せる場所から遠ざかります。
賃貸にお住まいなら、業者を呼ぶ前に管理会社か大家へ連絡してください。順番を守るだけで、費用の話が変わることがあります。
この記事では、症状の見分け方と、その場でできることまでをご紹介しました。便器の中のつまりを取る具体的な手順や、修理を頼んだときの費用の目安は、それぞれ別の記事にまとめています。自分の症状が決まったら、そちらへ進んでください。
水猿は水まわりの修理業者です。トイレが流れない状態が続いてお困りのときは、いつからどの症状かをお聞かせください。
