ホテルの鍵を紛失したらどうすれば良い?対処方法や弁償費用などについて解説!
この記事でわかること
- ホテルの客室キーを紛失したときにすべきこと
- ホテルの客室キーを紛失した場合の弁償金額
- 弁償しなくてはならなくなったときに使える保険
- 客室キーをなくさないための対策
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
ホテル滞在中に「鍵を紛失してしまった!」という経験はありませんか?
最近では客室の鍵がカードキーになっているホテルも多く、外出時にフロントに鍵預けすることも少なくなった反面、ホテルに戻ったらカードキーが見つからない、と慌てる人も増えたかもしれません。
しかしホテルの客室というものは、金属の鍵を使用していた時代から「鍵をなくしてもフロントに連絡すれば開けてくれる」ということで知られています。
おそらく、マスターキーシステムが組まれた施設の代表とも言えるのがホテルなどの宿泊施設だからでしょう。
そのようなことから、我々鍵屋もホテルに宿泊中の方から「鍵開けをしてほしい」という依頼を受けることはありません。ただ、マスターキーがあるからといって、鍵を無くした事実がなくなるわけではありません。
この記事ではホテルのようなマスターキーシステムのキープランが組まれた施設で客室の鍵をなくしてしまった場合、どんなことが起こり得るのか、弁償の義務はあるのか、といった心配ごとについて解説します。
目次
ホテルの鍵を紛失したらどうすれば良い?
ホテルの鍵は、基本的にチェックイン時にフロントで受け取ります。
物理的な子鍵(シリンダーキー)の場合、目印として比較的大きな、部屋番号が刻印されたキーホルダーがついていることが多いでしょう。カードキーはよく部屋番号が記載されたカード入れに入れられて手渡されます。
どちらのタイプの鍵であろうと、紛失したことが判明したらまず、フロントのスタッフなど、ホテルの従業員に知らせなくてはなりませんが、その他にもぜひ確認しておきたいことがあります。ここで詳しくみていきましょう。
もう一度鍵を探す
鍵を紛失したと感じても、実はすぐ近くにあったりします。まずは自分の部屋や荷物、ポケットの中などを入念に確認してみましょう。部屋に入れているのであれば、鍵は部屋の中にあるはずですよね。普段は置かないところに置いていたり、バスルームやベッド近くなど、思わぬところから見つかることもあります。
外出から戻ったときになくしたことに気づいた場合は、部屋を出たあとどこへ鍵を入れたのかなどを思い出すよう努めましょう。また、鍵を入れる可能性がある手荷物や衣服のポケットなどを入念にチェックしましょう。
食事や観光で訪れた場所が思い当たる場合は、スマートフォンで訪れた場所を探して電話してみると良いでしょう。
外出中、観光やイベントなどであちこちに立ち寄ったので細かいことを覚えていない、ということもあると思います。そのような場合は、Googleマップの「タイムライン」で確認してみてください。タイムラインに履歴を残す設定にしておく必要がありますが、その日どこへ行ったのか、立ち寄った場所などが大まかにわかるようになっています。
フロントに連絡する
どれだけ探しても鍵が見つからない場合は、速やかにホテルのフロントに報告をしましょう。ホテルのルールとして、本人確認のために身分証明書のコピーを取られることがありますが、カードキーであれば再発行をしてくれるはずです。
再発行には費用がかかる場合が多いため、その点も確認しておくことをおすすめします。
物理的な鍵の場合、部屋自体はマスターキーで開けることができますが、鍵を拾った人が悪用する恐れがあるため、不安がつきまといますよね。
ホテルの客室に余裕があったり、ホテルの方針によっては違う部屋へ移動させてくれることもあります。
ただ、物理的な鍵の場合は、シリンダー交換が必要になりますので、交換費用を支払わなくてはならない可能性があります。
もしホテルが一定の額を弁償金額として設定している場合は、「宿泊約款」などに記載されていることがあります。いずれにせよ、鍵を無くすことを前提に約款まで確認している人は少ないと思われますので、鍵を紛失したら弁償費用がいくらなのか、スタッフに確認しましょう。
鍵を盗難された場合は部屋の荷物を確認する
鍵を盗まれた可能性がある場合は注意が必要です。どんな種類の鍵であっても、盗まれたことがわかったらすぐにホテルに連絡してください。これは、ホテル側はホテル側で怪しい人物が入ってきていないかなどを監視し、宿泊客が安心して滞在できるように努める義務があるからです(安全配慮義務)。
それからできるだけ早急にホテルに戻り、客室に残した荷物を確認しましょう。カードキーの場合は盗まれたカードキーの情報をすぐに削除することで、窃盗犯が不正に客室を解錠することを防げます。それでも、盗まれてから気づくまで時間がかかることもありますので、ホテルに部屋の鍵を開けて貰って自分の荷物が無事であるか確認する必要があります。
シリンダーキーの場合も、ホテルに事情を説明してマスターキーで客室の鍵を開けて貰い、荷物を確認することが大事です。そして可能であれば部屋を変えて貰うのが安心でしょう。
遺失届を出す
旅先や出張先では土地に不案内であることが多いですが、最寄りの警察署や交番で遺失届を出すことも考えましょう。特に長期滞在中であるという場合、ホテルに宿泊しているあいだに連絡が来るかもしれません。
鍵が見つかったからといって、ホテル側としても鍵交換をしないというわけにはいきませんが、紛失したままよりは安心です。
ホテルの鍵を紛失したときの弁償費用の相場は?
ホテルの鍵を紛失した場合、「再発行費用」が発生するのが一般的です。先述したようにホテルや旅館などは必ず宿泊約款を提示する義務がありますが、この宿泊約款に客室キーを紛失した場合、いくら弁償すべきかという具体的な記載があるホテルもあります。
宿泊約款ではなく、利用規則や宿泊規則と呼ばれるものに紛失時の対応が書かれていることも多いようです。宿泊施設によって文言は多少変わりますが、だいたい「お部屋の鍵は、当ホテルをご出発のとき必ずフロントにご返却ください。紛失などによりご返却のないときは、鍵代金の実費をお支払いいただきます」といった記載があります。
カードキーとシリンダーキーを併用しているところは、シリンダーキーのみ実費としていることもあります。
よくものを無くすという人は、約款、利用規則どちらにも目を通しておくと良いでしょう。最近ではネットからの宿泊予約が増えたこともあって、サイト上で約款や規則を確認することができるようになっています。
さて、ホテルの客室キーを紛失した時にかかる「再発行費用」や「鍵代金の実費」は鍵の種類によっても大きく異なります。シリンダー錠の場合は高額な費用が発生する可能性がある一方、カードキーは比較的軽い負担で済む場合が多いです。
カードキーの場合は、基本的には無くしてしまったカードの登録を削除してしまえばいいだけなので、あまり高額になることがありません。だいたいの相場としては1,000円〜4,000円ほどですが、稀にカードキーであろうとシリンダーキーであろうと、再発行料金として安くはない金額が設定されていることもありますので、カードキーだからといって一概に安価だと決めつけず、紛失したことをフロントデスクに報告して再発行料金について確認するようにしてください。
よく「カードキーは記念にお持ち帰りください」と明記しているホテルがありますが、だからといって再発行料金が0円とは限りません。紛失時には再発行料金が必要、としているところもあります。勝手に決めつけず、宿泊しているホテルに必ず再発行料金について確認しましょう。
一方で、建物の都合などでまだシリンダーキーを使用しているホテルや旅館では、客室キーを紛失されるとシリンダーやドアノブの交換が必要になってしまいます。
ですので、シリンダーキーを紛失してしまった場合は、基本的に「鍵交換費用などの実費を請求」されると考えてください。ホテルによっては、顧客満足などを考慮して請求しない、というところもあるようですが、もし代金を請求される場合は10,000円以上はかかると考えておいたほうが良いでしょう。
鍵屋の料金からだいたいの相場を予測できる
弊社の場合、交換の作業料金が11,000円、それにプラスして部品代がかかりますから最も安価なお見積りでも最低16,500円ほどかかってしまいます。相場としては10,000〜50,000円あたりの支払いになると考えておくと良いでしょう。
シリンダーキーの場合、請求額が高額になりがちな理由のひとつに、先述したマスターキーシステムが関わっています。
マスターキーシステムのようなプランは特殊なキープランです。通常、ひとつの鍵で全客室が開けられるプランを想像すると思いますが、もっと複雑なプランを組むことも可能で、各階ごとにマスターキーがあったり、ホテル側の要望に合わせて錠前メーカーが設計し、特別なシリンダーを製造します。
このため、各部屋のシリンダーも特殊なシリンダーで、新しいシリンダーが必要になったらメーカーへ発注しなくてはならず、手間と時間がかかります。特殊シリンダーを取り寄せるのに時間がかかるとなると、その場しのぎのために仮のシリンダーが必要になりますし、鍵交換の作業のために鍵屋を呼ぶことになりますので、鍵屋の作業料金も発生します。
我々のような出張専門の鍵屋は即日解決をモットーとしていますので、ホテルや旅館からの依頼があればその日のうちに鍵交換を済ませることが多いですが、もし交換までに時間がかかってしまうとなると、その客室はそのあいだ使えません。ホテルとしては稼働していない客室が1つあることになるため、売上に影響が出ます。
無論、そういったリスクも含んでの宿泊業ですので、鍵紛失にまつわる全ての料金を宿泊客に請求するホテルは少ないかもしれませんが、再発行料金を払わなくて済んだ場合は「幸運だった」と考えたほうが良いでしょう。
ちなみに民泊や全国に展開する「スーパーホテル」では暗証番号キーが使用されていることがあります(スーパーホテルは全店舗が暗証番号キー)。
物理的な子鍵がないので、鍵の紛失は起こりませんが、暗証番号を忘れてしまった、フロントでもらった紙を無くしてしまった、番号を入れているのに開かないなどのトラブルが起こり得ます。そのようなこともあって、多くの場合は管理者やホテルスタッフに連絡ができるようになっています。
暗証番号が宿泊者以外に漏れてしまっても、登録情報を削除し、新たな暗証番号を発行するだけで済むので、弁償金のようなものは必要ないことが多いでしょう。
ホテルの鍵を紛失したときに使える保証がある?
ホテルの鍵を紛失した場合、鍵をなくしたことで被った被害が旅行保険やクレジットカード付帯の保険で補償される可能性は低いです。物品の紛失は所有者など管理していた人の過失と見なされ、旅行保険に含まれる携行品損害保険の補償の対象外となる場合がほとんどです。
しかし、「弁償した費用」については、個人賠償責任保険が対応できるかもしれません。
個人賠償責任保険は、他人に損害を与えた場合の賠償金を補償する保険です。鍵の紛失によりホテルが被る損害(例えばシリンダー交換やカードキー費用や再発行手数料)を宿泊者が弁償した場合、この費用が補償の対象になる可能性があります。
また、一部のクレジットカードには旅行時の損害賠償金をカバーする保険が付帯しています。これが鍵紛失による弁償費用を補償してくれるかもしれません。
出張時にホテルキーをなくし、交換費用などを支払った場合、個人賠償責任補償特約が対応できるかどうかは、少し不明瞭で「補償できる」との断言はできません。個人賠償責任補償は通常、「業務中」や「業務遂行上」の事故などは補償の対象外としているからです。
会社が法人向けの賠償責任補償に加入していることもありますので、勤めている会社に確認してみるのも良いでしょう。
鍵交換費用というものは、決して安価なものではありません。鍵交換費用の本体はどちらかというと「部品代」ですので、防犯性能が高い鍵や、特殊なシリンダーであればあるほど高額です。
ホテルが使用しているシリンダー(鍵)の種類によっては、かなりの高額負担となる可能性もあります。支払いが難しい場合はホテルと話し合ったり、保険会社に相談してみるなどしましょう。
ホテルの鍵を紛失しないための予防策はある?
いくつかの習慣や便利なガジェットを導入することで鍵をなくしてしまうリスクを大きく減らすことができます。
部屋を出るときは必ず鍵を持って出る
まず、部屋を出る前に鍵を持っているか確認する習慣をつけましょう。ホテルの客室は多くが機械的なオートロック(自動施錠)ドアになっていて、ドアが閉まると同時に施錠されます。
ふとしたことで、閉め出しに遭ってしまったという人も多いと思いますが、普段からちゃんと部屋の鍵を持って出るようにしていれば、そのような事故も防げます。
鍵を置く場所やなおす場所を決めておく
客室内においては鍵をどこに置くか、テレビの前やデスクの上など、わかりやすい場所に決めておくと良いでしょう。そこに鍵がなければ、どこかへ移動させたということがすぐにわかります。
そして外出しているときに持ち歩くことにしたのであれば、なおしておく場所も決めておいた方が良いでしょう。財布の中と決めたのであれば、必ず財布の中に収納するようにし、そこになければ紛失した可能性があることを自分自身にわかりやすくしておけば、「無くしてから何時間経つのかわからない」といったことにならずに済むかもしれません。
外出するときはフロントに鍵を預ける
フロントデスクがあるホテルなら外出時にはフロントに鍵を預けておきましょう。最近はカードキーの採用が多くなったり、セルフチェックアウトのシステムが導入されたりしつつあるため、「カードキーはフロントに鍵を預けなくてもいい」と思い込んでいる人が多いようですが、実にかなりの数のホテルが外出時はカードキーであれシリンダーキーであれ、フロントに預けるように促しています。
これは、やはり一定数の宿泊客が紛失したと報告してくるという背景があるからなのでしょう。ホテル側としては、宿泊客が外出した先で紛失するよりはフロントデスクで管理しておいた方がリスクが少ないわけです。
携行品の管理にあまり自信がない方や、大人数での飲食・飲酒の場に向かう予定のある方は特に、フロントに預けることを検討したほうが良いでしょう。
スマートタグ類をつけておく
どうしても心配という場合、スマートタグをつけておくのも一つの手です。
スマートタグには持ち主から一定範囲を離れると警報音などを出して持ち主に盗難や置き忘れを知らせる機能がついているものも多いので、「紛失防止」「置き忘れ防止」機能があると謳うものを使用すると良いでしょう。
無論、紛失してしまった場合でも、GPSやBluetoothでどこにあるのかがわかるようになっているので、鍵をなくした場所まで辿り着ける可能性もあります。
暗証番号を採用しているホテルにする
国内には「スーパーホテル」チェーンのように、全ての施設で暗証番号制の鍵を使用している、と明言しているホテルもありますので、鍵をよくなくして困っているという方はそういった暗証番号錠を採用しているホテルを選ぶというのも、旅行先で悲しい思いをしないようにするための施策といえるでしょう。
暗証番号はメモを取る
逆に暗証番号を忘れやすい、といった方は必ずメモを取るようにしましょう。スマホのメモ帳機能などを活用したり、テキストで入力するのが不安な場合は暗証番号が書かれた紙を撮影したり、メールで送られてきた場合はスクリーンショットを残しておくなど、自分にあった方法で記録しておくと万一のときに焦らずに済みます。
ホテルの鍵交換や鍵開けなどのトラブルも鍵猿にお任せください!
さすがにホテルの鍵を紛失したからといって鍵屋を呼ぶ宿泊客はいません。「ホテルにはマスターキーがある」と知っている方が殆どだからです。
しかし、ホテルで使用している鍵や錠前にトラブルが生じ、修理や交換にお伺いするということはよくあります。多くのホテルは様々な施設が入った「複合施設」でもありますので、様々な場所に錠前トラブルが潜んでいるものなのです。
プールや大浴場近くの扉についている錠前などは湿気が多く、人の出入りも激しい場所にある鍵なので、サビ・錠前内の汚れが原因のトラブルを起こすこともあります。
ロッカーや客室内金庫の鍵も紛失されやすい類ですが、長く使用されていると何の前触れもなく回らなくなったり、開かなくなったりします。
そういった鍵特有のトラブルが生じた際は、ぜひ鍵猿にご相談ください。その日のうちの対応も可能な場合がありますし、深夜早朝でもスタッフが駆けつけます(※深夜早朝料金を頂戴しております)。何かお困りごとがございましたら、気軽にお電話ください。