ドアスコープは外から外せる?ドアスコープを狙った犯罪の手口や防犯対策をご紹介!
この記事でわかること
- ドアスコープが外から開けられる理由
- ドアスコープを使用した犯罪
- ドアスコープを悪用されないための対策
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
皆さんはご自宅のドアについている小さな「のぞき穴」、いわゆる「ドアスコープ」が防犯リスクになりうることをご存知でしょうか?
本来は住人が安全に訪問者を確認するためのものですが、構造的に室外側からも取り外すことができるため、空き巣や不審者に悪用される可能性があります。
本記事では、ドアスコープを狙った犯罪の手口や防犯対策について詳しく解説し、安心できる住まいを守る方法をご紹介します。
目次
ドアスコープは外から外せるって本当?
ドアスコープ(のぞき穴)は、ドアを開けずに訪問者を確認できる便利な設備です。最近ではモニター付きインターホンがついている住宅が増えたため、その存在意義が段々と薄れていっている、と言われていますが、モニター付きインターホンがない戸建てや賃貸物件などにお住まいだと『頻繁に利用する』という方が多いのではないでしょうか。
基本的にドアスコープはドアの室外側にドアの外を見渡すためのレンズがあります。室内側は「レンズ受け」という筒になっていて、外側からこのレンズ受けに差し込むことでドアにレンズが固定されている形になります。
レンズ受けにはネジ切り加工がしてあり、ドアスコープを交換する際は室内からレンズ受けを回転させてレンズ部分と分離させて取り外し、新しいものを外側から入れてまたレンズ受けをネジのように回転させて締めます。
このレンズ受けを取り外すための「切れ込み」は室内側にしかありませんが、回転させて締めるという構造上、ペンチなどの工具を使用してレンズ側を回転させれば、外からも簡単に取り外せるというのがご理解頂けるかと思います。
ドアスコープに防犯対策が必要な理由
ドアスコープは、先述の通り外から取り外しが可能ですし、ドアスコープレンズと逆の機能を持つレンズを使用して室内を覗くことも可能です。ドアスコープに防犯対策が必要とされる具体的な理由を詳しく見ていきましょう。
ドアスコープを外されて室内をのぞき見される
ドアスコープが外から簡単に取り外せるとなると、不審者に室内を覗かれるリスクが高まります。防犯対策がされていないドアスコープだと、取り外すのに数分しかかからないでしょう。
女性の一人暮らしを狙った覗き見や盗撮のためなのか、ドアスコープがいつの間にか取り外されていた、という話もありますし、実際に不審者にのぞき見されていることに気づいてしまった、という女性もいます。
また、住人がドアスコープそのものが取り外されている、と気づきにくいのも事実です。ドアスコープの径は10~14mm と小さいものが多く、レンズがついていてもついていなくてもレンズ受け側に何も変わったところがなければあまり外見的な違いが生じないうえ、サイズが小さいので気づきにくいのでしょう。
不審者による覗き見や盗撮のために外されることもありますが、侵入を企んでいる空き巣が住人の様子を伺うために取り外す可能性もあります。
特殊なレンズで室内をのぞき見される
特殊なレンズを使うことで、ドアスコープを外さずに室外側から室内を覗き見する手口も報告されています。ここ数年で新聞やネットニュースで取り上げられた盗撮事件では、単眼鏡というバードウォッチングや美術館で使用する望遠レンズが用いられています。
ドアスコープは、内側から外側を広い視野で確認できるよう設計されています。魚眼レンズあるいは広角レンズと呼ばれる類のレンズが使用されていますので、遠くのものを拡大してくれる単眼鏡を使えばドアスコープのレンズと単眼鏡の光の屈折が打ち消され、室内が綺麗に見えるようになるわけです。
実は似たような機能を持つ防犯アイテムのなかに「リバースドアスコープ」というものがあります。上記のような原理を利用して、ドアスコープを外から覗き込んで室内の安全を確認するためのものでした。
このリバースドアスコープと同じ使い方をされているのが単眼鏡です。単眼鏡にスマホのカメラを押し付け、録画ボタンを押せば動画を録画できますし、写真を撮ることもできます。
何よりも恐ろしいのは、スマホなどで動画を撮影されてしまうと、拡散も容易になるということです。盗撮動画が犯人だけでなくネット上で公開されたり、拡散される可能性を考えると、のぞき・盗撮対策をすることはかなり重要です。
サムターン回しなどで不正開錠される
ドアスコープを取り外し、そこから特殊な工具を差し込んで「サムターン回し」と呼ばれる手口でドアを解錠することもできます。
鍵開けのために鍵屋を呼んだことがある方はご存知かもしれませんが、我々鍵屋もディンプルキーなどがついたドアはドアスコープからの「オープナー解錠」を使用します(※鍵屋が使用する工具は、一般の方が所持・所有することはできません)。
防犯対策されていないサムターンはこの技法で簡単に開けることができてしまいます。
ドアスコープを狙った犯罪の例
近年、ドアスコープを利用した犯罪として知られているのはやはり「のぞき」や「盗撮」です。
上記で説明したような、単眼鏡やリバースドアスコープのようなものを使用して、室内を覗けると知った人たちが実際にスマートフォンなどを併用して盗撮し、逮捕起訴され、有罪判決を受けるといった事件が新聞を賑わせました。ここ数年のもので代表的なものをご紹介します。
①2020年9月京都府 ドアスコープから室内で着替えていた女性を盗撮
ドアスコープに単眼鏡を取り付け、スマートフォンのカメラで動画を撮影。別のマンションも巡ってのぞきを繰り返していた。女性は男と面識がなく、被害に気づいていなかった。
2022年1月、懲役2年保護観察付執行猶予4年の有罪判決。
②2021年7~8月大阪府 マンションで9回単眼鏡を使い、女性の着替え姿を撮影
犯人の男は当時、居住していたマンションで繰り返し女性の着替えをのぞき見・撮影していた。懲役8ヶ月、執行猶予3年付きの有罪判決。
③2024年1月長野県 アパートでドアスコープ越しに女性の裸を覗き見
2022年11月から23年7月の間、玄関ドアのポストにスマートフォンを入れて20代の女性2人の裸を盗撮した他、玄関のドアスコープから別の女性の裸を覗き見。自分の部屋で練習してから犯行に及んだという。被害者から「玄関の外で物音がする」と通報があった。
これらは近年特有の犯罪で、逮捕された人々は各都道府県の迷惑防止条例違反で起訴されています。高性能化したスマートフォンをはじめ、ネットショップなどから購入しやすくなった単眼鏡、そしてそういった「ハック」があると情報拡散する動画投稿サイトなど、数十年前にはなかった環境がこのような犯罪を助長していると言えるでしょう。
一方でドアスコープを悪用した犯罪は昔からあったと考えられています。サムターン回しという不正解錠方法があったことからもわかるように、犯罪者のあいだではドアスコープが外から取り外せる、といったことは周知のことだったに違いありません。
空き巣などの侵入窃盗は検挙数が認知件数の半数ほどですし、そもそも認知されないものもあると考えると、我々が思っているよりもドアスコープは悪用されているかもしれません。
盗撮などで捕まるのとは違って侵入窃盗は「ドアスコープを利用した犯罪」として報じられることが少ないですが、ちょっとした工夫で簡単に室内を伺い知れるため、住人の生活パターンを把握したり、留守かどうかを調べるのに利用されていても不思議はないでしょう。
ドアスコープを狙った犯罪に遭わないための防犯対策
ここからは、ドアスコープを狙った犯罪に対抗するための具体的な防犯対策を紹介します。これらの対策を施すことで、ドアスコープを悪用しにくくなり、不審者の標的から免れることができます。
テープでドアスコープをふさぐ
最も簡単で誰でもできる対策として、テープを使って内側からドアスコープをふさぐことが挙げられます。ドアスコープを日常的に使用する際には剥がす必要がありますが、使用していないときはテープでふさぐことで、外部からの覗き見を防ぐことができます。
夜間にドアスコープから室内の光が漏れるのを防ぎたい場合も、黒いテープなどでドアスコープを塞いでおくと良いでしょう。
玄関に暖簾を掛ける
集合住宅では玄関から居室が丸見えになってしまうことが多く、玄関からリビングなどに至る廊下の先にはドアが設置されていることが殆どなのですが、ワンルームマンションでは玄関から直接、部屋の中を見られてしまいます。
そこである程度有効なのがこの暖簾を掛ける、という手法です。
日本家屋の玄関には通常、靴を脱ぐ「三和土(たたき)」あるいは「土間」と呼ばれる場所があり、境界線のように上がり框が設置されています。この上り框のあたりに暖簾を掛けておくと、ドアスコープが取り外されてしまっても、室内を覗き見ることは難しくなります。
ワンルームの居室全体が丸見えになるのを防ぎ、配達員などが来たときもプライバシーを守ることができます。
ドアスコープを接着剤で固定する
これはおそらく空転式のものが販売されるより前に対策のひとつとして知られていた方法かと思いますが、室内側のレンズ受けにレンズを入れるとき、ネジ山に少量の接着剤をつけて固定してしまうという対策方法です。
要するに、ネジのような構造で固定されているから外からでも取り外せてしまうわけで、ネジ構造が機能しないようにしてしまえば外からいくらレンズを回してもレンズ受けが一緒に回るだけ、ということになります。
すぐに防犯性の高い取替用ドアスコープが手配できないときなどに有用です。
ドアスコープカバーを設置する
ドアスコープカバーは室内側のレンズ受けに取り付けてドアスコープに蓋をする便利なアイテムです。
ドアスコープカバーには様々な形態がありますが、根本的に「使用しないときはレンズをカバーで覆う」ものになっており、外からの視線を簡単に遮断できます。
最近では100円ショップでも後付けできるものが販売されていますが、交換用のドアスコープにカバーがセットされていることもあります。3COINSではインテリアとしてもおしゃれなものが販売されていますので、女性の方は探してみてはいかがでしょうか。
スチールドアに有効なマグネット式と、どんな素材のドアにも使える両面テープ式の二種類があります。
ドアスコープカメラを設置する
より高い防犯性を求める場合には、ドアスコープカメラを導入するのも一つの方法です。ドアスコープカメラもモニター付きインターホンに淘汰されつつあるのかもしれませんが、ドアスコープの室内側に取り付けてドアスコープから見える光景をワイヤレスで送信し、手元のモニター(スマホやタブレットなど)で確認することができるカメラです。
今では安価になってきたモニターつきのインターホンですが、それらより安価で購入でき、ドアスコープがあれば設置できるうえ、後付けや取り外しが簡単なので原状回復が必要な賃貸物件でも使いやすい、という利点があります。
ちなみに、スマートフォンのカメラをドアスコープに当てると、外の様子がよく見えるようになるため、スマホを臨時的なドアスコープカメラとして利用することも可能です。
近年増加している強盗事件では犯人たちによる下見と思しき怪しい業者の姿がよく見られたと言います。空き巣などの侵入窃盗犯も必ず下見をすることで知られています。モニター付きインターホンがない場合は、スマートフォンを利用するという代替案も検討してみてください。
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防犯性の高いドアスコープにする
ドアスコープには、外から簡単に外せない防犯仕様のものもあります。ノムラテックの「超広角NEWドアスコープ」などは120°あるいし160°見渡せる広角レンズがついており、室外側から取り外そうとしても空転するだけの構造になっているうえ、覗き込み防止のカバーもついています。
サムターンカバーを取り付ける
ドアスコープからのサムターン回しを防ぐためには、サムターンカバーを取り付けることが有効です。サムターンカバーを使うことで、不審者が工具を使用してサムターンを回そうとしても、カバーが妨げになり解錠が難しくなります。
原状回復が義務づけられている賃貸物件では特に便利なアイテムで、ペットボトルのキャップなどで自作している人もいます。
最近では身近な商品となりつつあり、簡易的なものから本格的なものまで、ホームセンターなどで比較検討することも可能です。
▼関連ページ防犯サムターンにする
防犯サムターンを設置することで、ドアスコープ越しの不正解錠を防ぐことができます。防犯サムターンは従来のツマミ部分にボタンがついているなど、人の手で操作しないと解錠しにくい造りになっています。見た目があまり変わらないので、防犯サムターンがついているのを知らない方も多いかもしれません。
ドアスコープからのサムターン回しでは、工具を操作することでツマミを回転させるため、工具で押したり、突いたくらいでは回転しないようになっているのが防犯サムターンの特徴です。サムターンカバーと併用すると更に効果的でしょう。
防犯対策でお困りでしたら鍵猿が解決します!
ドアスコープは我々鍵屋にとっても大事な設備です。鍵開けのときに必ずといっていいほどお世話になるぶん、ドアスコープが壊れていたり、取り外されたままだったりすると防犯上リスクが高いということをよく理解しています。
中には鍵交換のついでに破損していたものを取り替えさせて頂いたお客様もいらっしゃいますが、ドアスコープからのサムターン回しという手法がよく知られている一方で、具体的な対策をされていない方も多いのが現状です。
ドアスコープの防犯対策はちょっとした工夫で自力でできますが、サムターン回し対策や、侵入されない家造りとなると、個人の力ではなかなか難しい部分もあります。玄関や住宅の防犯についてお困りごとがある場合は、ぜひ「鍵猿」にご相談ください。鍵猿では、シリンダーだけでなく防犯サムターンのご提案といった防犯対策もサポートしています。
ドアスコープを交換しただけでは不安、もう少し安心できる鍵にしたい、補助錠を追加したい、室内にも鍵をつけたいなど、防犯に関するお悩みがございましたら気軽にご相談ください。
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