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鍵屋鍵猿鍵トラブルトピックその他玄関の防犯グッズで十分?鍵屋が解説する足りる対策・足りない対策

更新日:2026/03/02

玄関の防犯グッズで十分?鍵屋が解説する足りる対策・足りない対策

玄関の防犯グッズで十分?鍵屋が解説する足りる対策・足りない対策

この記事でわかること

  • 玄関ドアが侵入窃盗の主要な侵入口である理由

  • 玄関ドアに後付けできる防犯グッズとその費用相場

  • 鍵まわりはグッズでは対策が不十分なこともある
  • 戸建て・賃貸を問わず取り入れられる防犯対策のポイント

記事監修者

田口季良(たぐちのりよし)
田口季良(たぐちのりよし)SLS株式会社 マネージャー

「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。

玄関ドアは住宅の印象を決めるだけでなく、住人が出入りするために毎日数回使われる重要な建具です。そして空き巣などの侵入者にとっても重要な出入口だったりします。

空き巣、忍込み、居空きといった住宅への侵入窃盗は年間を通じて発生しており、警察庁の令和6年の統計では前年の令和5年よりも減少してはいるものの、依然として1万件以上の認知件数を記録しています。

しかも、そのうちの半数近くが「無締り」、いわゆる鍵をかけていない出入口からの犯行、と報告されています。賃貸・戸建てを問わず、玄関ドアまわりの防犯対策をしっかり行うことは、家族や財産を守るための基本です。少しの油断が被害につながることもあるため、玄関ドアまわりの防犯対策は欠かせません。

この記事では、玄関ドアが狙われる理由や犯行の傾向を解説し、賃貸・戸建てを問わず取り入れられる防犯対策や鍵の見直し方法をご紹介します。

玄関の防犯対策が重要な理由

住宅への侵入経路は、窓や勝手口、ベランダなど多岐にわたります。しかし、統計データを見ると、玄関も決して例外ではありません。玄関は日常的に出入りする場所であるため施錠を徹底していると思われがちですが、実際には「無締り」による侵入が一定数存在しています。

防犯性能の高いディンプルキーの普及により、かつて頻発していたピッキングなどの手口は激減しましたが、鍵をかけ忘れたままの窓や玄関を狙った「無締り」や、合鍵を悪用した「施錠開け」は依然として多くの割合を占めています。警察庁の統計データを見てみましょう。

(警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」より)
侵入手段 件数
無締り 7,455件
ガラス破り 5,006件
合かぎ 931件
特殊開錠用具関係 36件
その他の施錠開け 308件
ドア錠破り 372件
戸外し 113件
その他 438件
不明 1,206件
合計 15,865件

令和6年の侵入窃盗の認知件数を侵入手段別に見ると、「無締り」が全体の47%を占めています。およそ半数が、鍵のかかっていない玄関や窓から侵入されているということです。

さらに発生場所別に見ると、住居形態によって傾向が異なることがわかります。戸建住宅では窓からの侵入が多いものの、表出入口の無締りも上位に位置しています。一方、集合住宅では階数が高くなるほど窓からの侵入は減少し、玄関からの侵入割合が高くなります。特に4階以上では「表出入口の無締り」が侵入手段の半数以上を占めています。

発生場所 侵入口 無締り ガラス破り
一戸建住宅 2,375件 3,732件
表出入口 1,681件 115件
その他の出入口 947件 436件
認知件数総数 5,425件 4,391件
3階建以下共同住宅 表出入口 668件 8件
565件 453件
不明 46件 4件
認知件数総数 1,402件 488件
4階建以上共同住宅 表出入口 374件 1件
233件 123件
不明 17件 0件
認知件数総数 628件 127件

戸建住宅では最も多い経路は窓で、侵入手段もガラス破りがトップの数字で目立つ一方、表出入口の無締りも「窓の無締り」に続いて3番目に多い侵入口・手段となっています。犯罪者はターゲットにした住宅の住人をよく観察しており、鍵をかけない習慣があったりするとうまく利用されてしまう、ということを裏付けるデータです。

また、「施錠していれば安心」とも言い切れません。侵入窃盗の手段別認知件数では、「施錠開け」のうち、表出入口を狙ったものの7割以上が合鍵による開錠です。サムターン回しやピッキングが減少する一方で、合鍵を悪用する手口が一定数存在していることがわかります。

特に近年心配なのが合鍵犯罪です。統計の侵入窃盗の手段別認知件数では「施錠開け」の一種として「合い鍵」という項目がありますが、表出入口を狙った「施錠開け」のうち、7割以上が合い鍵なのです。

集中的に対策されてしまったサムターン回しやピッキングは完全に鳴りを潜めてしまっている現実がよくわかるかと思います。

発生場所 施錠開け総数 うち表出入口 うち合い鍵
一戸建住宅 343件 231件 204件
3階建以下共同住宅 373件 350件 276件
4階建以上共同住宅 370件 356件 332件

オートロック付きマンションであっても、共連れや住人を装った侵入により建物内に入られる可能性は否定できません。実際にマンションに侵入したストーカーによる殺傷事件も起ってしまっています。建物内部に侵入された場合、最終的に侵入を防ぐのは各住戸の玄関ドアです。

こうしたデータからも、玄関は住宅防犯の中でも重点的に対策すべき場所であることがわかります。特に集合住宅では、窓よりも玄関が侵入経路になりやすい現実を踏まえた防犯対策が求められます。

ただし、マンションなどの集合住宅での防犯対策は、住戸単位の対策共用部の対策を分けて考える必要があります。マンションの防犯対策について詳しくは別記事で解説しています。

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玄関の防犯対策は3つに分けられる

玄関の防犯対策といっても、やみくもにグッズを追加すればよいというものではありません。対策は大きく分けて3つの方向性があります。それぞれ役割が異なるため、住まいの状況や予算、工事の可否に応じて組み合わせることが重要です。

ひとつ目は、鍵そのものの防犯性能を高める方法です。シリンダーの構造や鍵違い数、登録制の有無などによって、不正開錠や合鍵リスクへの耐性は大きく変わります。玄関の防犯性を根本から高める方法といえるでしょう。

ふたつ目は、補助錠などによるドアの物理的な強化です。ワンドア・ワンロックの状態からツーロックにするだけでも、侵入にかかる時間や手間は増えます。こじ破り対策やサムターン回し対策もこの分類に含まれます。

そして3つ目が、後付けできる防犯グッズによる対策です。工事を伴わずに導入できるものが多く、比較的手軽に始められるのが特徴です。ただし、あくまで抑止や補助的な役割であることを理解したうえで選ぶ必要があります。

次のセクションでは、玄関に設置できる主な防犯グッズの種類と、その具体的な役割について見ていきます。

玄関に使える主な防犯グッズとその役割

玄関の防犯グッズにはさまざまな種類がありますが、重要なのはどの侵入リスクに対応するためのものかを理解して選ぶことです。ここでは、玄関ドアに設置できる代表的な防犯グッズと、その役割を整理します。いずれも比較的導入しやすいものですが、目的と限界を踏まえて検討することが大切です。

サムターン回し対策グッズ

NLSのサムターンカバー
NLS公式カタログより

玄関ドアの内側にあるサムターン(つまみ)を外部から操作されることを防ぐためのグッズです。サムターンカバーや脱着式の防犯サムターンなどが該当します。

ドアスコープやドアポストから工具を差し入れてサムターンを回す手口への対策として有効です。特に築年数の古い物件では、サムターン回しへの対策が施されていない場合もあります。

ただし、鍵そのものの防犯性能が低い場合は、これだけで十分とはいえません。あくまで特定の手口への対策であることを理解しておく必要があります。

費用の目安は数千円台からですが、防犯サムターンに交換したりする場合は、1万円近くなることもあります。

玄関ドア用の補助錠

「留守わからん錠」 ガードロック公式サイトより

既存の鍵とは別にもうひとつ鍵を設けることで、ツーロック化するための防犯グッズです。穴あけ工事が不要なタイプと、固定式でしっかり取り付けるタイプがあります。

ツーロックにすることで、侵入にかかる時間や手間が増え、犯行を諦めさせる効果が期待できます。特にワンドア・ワンロックの住宅では、防犯性を高める有効な選択肢です。

ただし、賃貸住宅では原状回復の問題や管理規約を確認する必要があります。

ガードプレート

ガードロック公式サイトより

ドアと枠の隙間を補強する金属製のプレートで、バールなどによるこじ破りを防ぐためのグッズです。古い玄関ドアや、ラッチ周辺が弱い構造のドアに有効です。

外観上は目立ちにくい対策ですが、物理的な強度を高める意味があります。

ドアスコープカバー

100均ののぞき見防止カバー

ドアスコープ(のぞき穴)から室内を覗かれることを防ぐためのカバーです。在宅確認や室内の盗撮などを防ぐ効果があります。

直接的な解錠対策ではありませんが、住人の生活パターンを読まれにくくするという点で、防犯上の抑止効果が期待できます。

100均で販売されていることがあるほか、ホームセンターなどでも購入可能です。100〜1,000円あたりが相場のようです。

また、戸建て限定にはなりますが、玄関まわりの防犯対策としてはセンサーライトや防犯カメラの設置も有効です。これらは侵入そのものを物理的に防ぐものではありませんが、犯行を躊躇させる抑止効果が期待できます。特に夜間に人の出入りが少ない環境では、照明や録画機器の存在が心理的なハードルとなります。

ただし、鍵の構造的な弱点や無締りといった問題を直接解決するものではありませんので、あくまで補助的な対策として、他の防犯方法と組み合わせて検討することが重要です。

防犯グッズで防げる範囲と限界

玄関用の防犯グッズは比較的手軽に導入できる対策ですが、すべての侵入リスクを解決できるわけではありません。役割を正しく理解しないまま導入すると、十分な効果が得られないこともあります。ここでは、防犯グッズで対応できることと、対応が難しいケースを整理します。

防犯グッズが有効なケース

サムターン回し対策やこじ破り対策など、特定の手口に対しては防犯グッズが有効です。ワンドア・ワンロックの住宅で補助錠を追加するだけでも、防犯性は一定程度向上します。

また、ドアスコープカバーやセンサーライトの設置は、先述したように侵入そのものを防ぐというよりも抑止効果を高める対策として有効です。犯行に時間がかかる、あるいは目立つ状況を作ることは、防犯上の意味があります。

防犯グッズだけでは不十分なケース

一方で、鍵自体の防犯性能が低い場合や、子鍵の管理に問題がある場合は、防犯グッズだけでは十分とはいえません。

侵入窃盗の統計では「施錠開け」のうち多くが合鍵によるものです。この場合、サムターンカバーやガードプレートでは防ぐことができません。正規の鍵で開けられてしまうため、鍵そのものの見直しが必要になります。

さらに、築年数の古い物件ではシリンダーが廃番になっていることもあり、メーカーに純正キーの発注ができない場合もあります。こうした場合は、防犯グッズの追加ではなく、シリンダー交換や補助錠の増設といった根本的な対策を検討する段階といえます。

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シリンダーの交換という選択肢

防犯グッズでは対応できないケースでは、鍵そのものの見直しが必要になります。現在主流となっているディンプルキーやウェーブキーは、従来型のシリンダーに比べて不正開錠への耐性が高く、防犯性能の向上が期待できます。

特に築年数の古い住宅では、ピン配列の少ない旧式シリンダーが使用されていることもあります。そのまま補助的なグッズを追加するよりも、シリンダーを交換するほうが合理的な場合もあります。

鍵の性能や構成を含めて考えることが重要

玄関の防犯対策は、単体のグッズで完結するものではありません。鍵の構造、錠前の数、住居形態などを踏まえて総合的に判断する必要があります。

防犯グッズは有効な選択肢のひとつですが、それだけで安心できるとは限りません。状況によっては、鍵の交換や錠前の追加を含めた見直しが、より現実的な対策となります。

本格的に玄関の防犯性を高めたい場合

防犯グッズの追加は有効な対策のひとつですが、玄関の防犯性を根本から高めるには、鍵や錠前の構成そのものを見直すことも重要です。築年数の古い住宅や、ワンドア・ワンロックの状態が続いている住まいでは、グッズだけでは十分な対策とはいえない場合もあります。

ここでは、防犯性を本格的に高めたいと考えたときに検討したい対策について整理します。

シリンダーを防犯性能の高いタイプに交換する

玄関の防犯性を根本から高める方法のひとつが、シリンダーの交換です。従来型の鍵から、ディンプルキーやウェーブキーなど、防犯性を考慮した構造のシリンダーに変更することで、不正開錠への耐性を高めることができます。

ディンプルキーシリンダーの仕組み
ディンプルキーの複雑な構造

特に築年数が経過している住宅では、旧式のシリンダーが使われている場合もあります。見た目が新しくても、内部構造が古いままというケースもあるため、防犯性能の確認は重要です。現在の鍵がどのタイプに該当するのかを把握したうえで、必要に応じて交換を検討するとよいでしょう。

登録制シリンダーを選ぶ

合鍵による侵入リスクが気になる場合は、登録制シリンダーの導入も選択肢になります。登録制では、子鍵を複製する際に所有者であるという確認が必要となるため、第三者が鍵番号だけで勝手に合鍵を作ることを防ぎやすくなります。

集合住宅や家族の出入りが多い住宅では、子鍵の管理が複雑になりがちです。子鍵の本数や管理方法に不安がある場合は、登録制シリンダーのように管理面から防犯性を高める方法も有効です。

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補助錠を増設してツーロックにする

既存の鍵を交換せずに防犯性を高めたい場合は、補助錠を追加するという方法もあります。ツーロックにすることで、侵入にかかる時間や手間が増え、犯行を諦めさせる効果が期待できます。

防犯対策の基本は、侵入に時間をかけさせる仕組みをつくることです。警察庁の防犯情報でも、侵入に手間取り「5分」かかると侵入者の約7割があきらめ、10分以上かかるとほとんどがあきらめると説明されています。

この考え方は、防犯性能の高い建物部品(CP部品)の基準にも反映されています。CP部品では、攻撃開始から建物内へ侵入可能になるまでの「抵抗時間」を指標としており、試験で「5分以上」の抵抗性能が確認されたものが防犯建物部品として認められます。

ワンドア・ワンロックの住宅では、補助錠の追加は比較的効果的な対策です。ただし、賃貸住宅の場合は原状回復が可能かどうかをよく考える必要があります。

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