網戸で防犯対策はできる?網戸だけで過ごすリスクと鍵屋がすすめる対策
この記事でわかること
- 網戸に防犯機能はあるか
- 網戸に防犯対策が必要な理由
- 網戸の防犯対策は何が効果的なのか
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
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春が過ぎて梅雨が近づくと、湿気がこもりやすくなり、窓や玄関を開けて風を通したくなる日が増えます。エアコンを使うほどではない時や、雨の合間に換気したいときなど、網戸を活用される方も多いのではないでしょうか。
しかし、防犯の視点で見ると、網戸だけで過ごすことは決して安全とはいえません。網戸は虫の侵入を防ぎながら風を通すための建具であり、空き巣や忍込みなどの侵入を防ぐための設備ではないためです。
網戸で防犯対策を考えるときは、網戸そのものを過信するのではなく、網戸の奥にある窓や扉を簡単に開けられない状態にしておくことが重要です。本記事では、網戸だけで過ごすリスクや、鍵付きクレセント錠・窓用補助錠など、鍵屋目線で優先したい防犯対策について解説します。
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網戸は防犯対策になる?
網戸は虫の侵入を防ぎ、風を通すために使われる建具です。窓や扉とセットになっていることが多いため、住人からすると「閉めているもの」ですが、防犯性を備えた扉や錠前とは役割が全く異なります。
もちろん、一般的な網戸より破れにくい素材を使ったものや、ロックを取り付けられるものもあります。しかし、そもそも網戸は人の侵入を本格的に防ぐための設備ではありません。空き巣や忍込みの対策として考えるなら、網戸そのものを堅牢にするだけではなく、その奥にある窓や扉をどのように開けられない状態にするかが重要です。
網戸は虫や風通しのための建具
先述したように網戸の主な役割は、人の侵入を防ぐことではなく、虫の侵入を抑えながら風を通すことです。窓や扉を開けた状態でも室内に虫が入りにくくなるため、初夏や梅雨時期、湿気がこもりやすい日などに使われることが多くなります。
一方で、一般的な網戸には防犯性能はありません。網の部分はステンレス鋼のような素材でない限り、切られたり破られたりする可能性がありますし、窓用のものなどは枠ごと外される可能性もあります。つまり、網戸を閉めていても、侵入しようと思えば誰でも侵入できる、という状態です。
ですので、網戸を防犯対策の一部として考えたい場合、まず「網戸は通常、施錠できる扉ではない」という点を理解しておくことが大切です。
住人が思う網戸と、侵入者から見た網戸は違う
住んでいる人にとって、網戸は室内と屋外を隔てるものです。網戸を閉めていれば、外からの視線も多少は遮られますので、窓や玄関を開けていても、網戸があることで「一応閉めている」し「普通なら勝手に開けて入ってくることはない」と感じている住人は多いでしょう。
しかし、侵入窃盗の犯人から見ると、網戸は施錠された扉ではありません。犯罪者にとって網戸はただの薄い仕切りであり、施錠機能もありませんから、簡単に開けることができる建具ということになります。
それに施錠機能がある網戸でも、網の部分が一般的な素材であればカッターで切るなどして破ることができてしまいます。網を破り、腕を入れて窓のクレセント錠を開錠してしまえば、部屋に侵入するのは難しくありません。
防犯対策においてはこのような「認識の違い」が「隙」につながります。住んでいる人は「網戸を閉めているから大丈夫」と思っていても、外から見れば単に「窓や扉が開いている家」です。特に、1階の掃き出し窓、勝手口、集合住宅であれば共用廊下に面した部屋の窓や玄関など、人が近づきやすい場所は完全に開けてしまわないよう注意が必要です。
網戸を使うこと自体が悪いわけではありませんが、夜に窓を開けっ放しにして網戸だけで就寝するといったことは避けましょう。
取り付ける場所や素材によって網戸の種類は変わる
網戸といっても、使われる場所や形状はひとつではありません。一般的な引き違い窓に使われる網戸のほか、掃き出し窓に使う大きな網戸、浴室やトイレなどの小窓に使う網戸、玄関用のロール網戸や折れ戸式網戸、勝手口に使われる採風タイプの網戸などがあります。
| 素材 | 特徴 | 普及度 |
| ポリプロピレン | 軽量・安価・最も一般的 | ◎ |
| ポリエステル | 軽量・ペット耐性あり | ◯ |
| グラスファイバー | 耐熱性あり、耐久性が高め | ◯ |
| ステンレス | 切断・燃焼に強い・防犯向け | △ |
また、網戸のネット部分には、ポリエステル、ポリプロピレンなどの樹脂製、グラスファイバー製、防犯用ステンレス製があります。安価で張り替えやすいもの、熱に比較的強いもの、ペットの引っかきに強いものなど、素材によって特徴は異なります。
ただし、どの種類や素材であっても、網戸の基本的な役割は虫よけや換気・風の通りを良くするためです。更に、網戸は戸枠と網の部分を分けて考えなくてはいけない建具でもあります。窓もそうですが、網戸ほどではないでしょう。
枠を固定していても、網部分を破られたり切断されたりすると、簡単に窓や扉の鍵も開けられてしまいます。そのため、最近では防犯性能も考慮したルーバー式の扉用などが登場してきています。
網戸だけで過ごすことが危険になっている理由
網戸だけで過ごすことに大きなリスクがある、と考えられるのは、やはり統計上でも侵入窃盗犯の好む「侵入口」が「無締り」の窓だからです。
| 発生場所 | 侵入口 | 総数 | 無締り | ガラス破り |
| 一戸建住宅 | 窓 | 6,519件 | 2,375件 | 3,732件 |
| 表出入口 | 2,336件 | 1,681件 | 115件 | |
| その他 ⁄ 不明 | 1,733件 | 947件 | 436件 | |
| 合計 | 11,772件 | 5,425件 | 4,391件 | |
| 3階建以下 共同住宅 |
窓 | 1,165件 | 668件 | 8件 |
| 表出入口 | 1,075件 | 565件 | 453件 | |
| その他 ⁄ 不明 | 240件 | 46件 | 4件 | |
| 合計 | 2,656件 | 1,402件 | 488件 | |
| 4階建以上 共同住宅 |
窓 | 399件 | 374件 | 1件 |
| 表出入口 | 865件 | 233件 | 123件 | |
| その他 ⁄ 不明 | 158件 | 17件 | 0件 | |
| 合計 | 1,437件 | 628件 | 127件 |
特に戸建てと3階以下の共同住宅では窓が最も狙われやすいわけですから、窓を大きく開けて網戸だけにしていると大変危ないということがわかります。
また、集合住宅では高層階になると窓からの侵入はそこまで気にしなくて良いものの、今度は表出入口(玄関)からの侵入に注意しなくてはなりません。網戸にしたままゴミ出しに行っていた、近所の人と話し込んでいたなど、高層階でも隙はたくさんあります。
ただ、ここで注目すべきポイントは「網戸にしたまま開けっ放しにしていると忍込みや居空きに狙われる」という点です。詳しく見ていきましょう。
網戸には鍵がついていない
なぜ網戸だけで過ごすと危険なのかについて、やはり真っ先に挙げられるのが「施錠能力のなさ」です。特に、鍵屋の目線からすると、網戸は窓用の補助錠でも「子鍵」や「暗証番号(ダイヤル)式」といった、錠前本体に接触できるだけでは開錠できないタイプの鍵が必要です。
これは先述したように、網戸が戸枠と網を別にして考えなくてはいけない性質の建具だからです。
侵入窃盗犯は網を破り、破れた箇所から手を入れて窓のクレセント錠などを開錠します。同じロック付きでもボタンを押すことで施錠しているクレセント錠は、犯罪者によって開錠されてしまうでしょう。しかし、子鍵などで施錠するタイプは、子鍵がないと開けることができません。
網戸にも同じような鍵が必要なのですが、現時点でこういった「しっかりとした鍵」がついた網戸はまだまだ少ないと言えるでしょう。
網戸は切る・破る・燃やすといった手段を想定していない
一般的な網戸は、強い力や刃物、熱などによる破壊を前提に作られているわけではありません。特に最も安価なグレードのものはポリプロピレン製で、火をつけると穴が開いてしまいます。また、ステンレス鋼以外のものは力任せの破壊やカッターによる切断などに弱く、すぐに穴が開いてしまいます。
「でも網戸を焼いたり切り取ったりしてまで盗みに入るかな……?」
という疑問もあるでしょう。しかし、先日埼玉県では勝手口の網戸を焼くという手段で侵入した忍込みが立て続けに発生しました。
窓がついた勝手口の網戸などを熱して焼き切ってしまうことで穴を開け、そこから手を入れて勝手口の鍵を開けたと考えられています。
これまで網戸は、「そこから勝手に入ってこないでほしい」という生活上の境界として扱われ、この暗黙のルールは守られてきました。そのため、通常は網の素材が何かといったことは考えずに済んでいた、と言えるかもしれません。
ポリエステル製のものにしても、ペット対策という側面が強く、意図的に破ったり、燃やすといった行為を想定していないと言えます。犯罪で網戸が壊されることもあることを前提としているのはステンレス鋼の網戸だけです。
在宅中でも窃盗被害にあうおそれがある
網戸だけで過ごしていると、在宅中に住人が気づかないうちに侵入する居空きの被害に遭う可能性もあります。さきほど紹介したのは就寝中に侵入される忍込みの被害でしたが、居空きは日中、住人のいない部屋などに忍び込んで犯行に及びます。
網戸を開けっ放しにしていると、室外の音が聞こえてきます。線路や高速道路に近いなど環境によっては室内に誰かがいてもよくわからない状態になっていることも多いでしょう。また、テレビやエアコンの音で周囲の物音に気づきにくいとき、2階で過ごしていて1階の様子がわからないときなどは居空き犯にとって絶好のチャンスです。
無論、夜間に網戸だけにして窓を開けたまま寝ていると、忍込み被害に遭う可能性がかなり高くなってしまいます。侵入窃盗は空き巣だけではありません。地域によっては、忍込みのような犯罪者側にもリスクの高い手口の方が認知件数が多いところもあります。
網戸まわりで優先したい鍵屋目線の防犯対策
網戸の防犯対策を考えるときは、網戸だけを強くするのはもちろんのこと、網戸と一緒に使っている窓や扉をどう守るかも考えなくてはなりません。網戸には掃除や張り替えのために取り外せるようになっているものも多くあります。そのため、網戸を破られないようにすることだけを考えるのではなく、網戸を外されたりしても、奥にある窓や扉を簡単に開けられない状態にしておく必要があります。
ここでは、網戸を使う場所に合わせて、鍵屋の視点から優先したい防犯対策を解説します。
窓の網戸は鍵付きクレセント錠や補助錠と併用する
窓の網戸を使う場合は、網戸そのものと、網戸と同じレールにある窓の防犯対策を強化することが基本です。特に、1階の掃き出し窓やベランダに面した窓は、人が出入りできる大きさがあるため、網戸だけにしておくと侵入されるリスクが高くなります。
通常のクレセント錠は、窓を密着させるための金具として使われることが多く、外から手を入れられると解錠されるおそれがあります。鍵付きクレセント錠に交換しておくと、網戸やガラスを破られた場合でも、すぐに窓を開けられにくくなります。

また、窓用補助錠を併用することで、窓を複数箇所で固定できます。換気のために少しだけ窓を開けたい場合は、開口幅を制限できる補助錠を使うことで、人が入れるほど窓が開くのを防げます。網戸も同じように網戸を閉めたままキープできるような後付けのロックがあります。

ただし、網戸は取り外すことができてしまうということはよく覚えておきましょう。窓やドアはしっかりとしたシリンダー錠つきの製品で管理しておくのがベストです。
勝手口の網戸はドアの錠前や補助錠を見直す
勝手口に網戸を使っている場合は、勝手口ドアそのものの防犯性を見直すことが大切です。勝手口は玄関よりも人目につきにくい位置にあることが多く、古い住宅ではガラス入りのドアや、簡易的な錠前が使われていることもあります。
勝手口を開けて網戸だけにしていると、風は通しやすくなりますが、防犯上はかなり無防備な状態になります。勝手口では主錠の交換や補助錠の追加、ガラス部分の対策を優先しましょう。
特に、勝手口ドアに古い錠前が使われている場合や、鍵のかかりが悪い場合は注意が必要です。網戸の素材を丈夫にするよりも、ドアを閉めたときに確実に施錠できるか、1つの鍵だけでなく補助錠で侵入に時間をかけさせられるかを確認した方が現実的です。
補助錠のなかには室内側のサムターンを回すために子鍵が必要なのものがあります(家研「安心錠」、ドルマカバ「セーフティーサムターン」)。また、サムターン部分を取り外してしまえるものもあります(美和ロック「ND2S-1」など)。


勝手口のドアにガラス部分があり、網戸やガラスを突破されてしまうと鍵を開けられかねない場合は、こういった補助錠を取り付けて対策するのがベストです。
玄関網戸は玄関ドアの代わりにしない
玄関用の網戸は、玄関を開けたまま風を通したいときに便利です。ロール式や折れ戸式など、後付けできるタイプもあります。しかし、玄関の網戸は窓や勝手口よりトリッキーです。というのも、玄関扉を開けているということは、ドアチェーンやドアガード、或いはドアストッパーのようなものしかドアを固定できるものがない、ということでもあるからです。
このため、防犯を考慮してルーバー式玄関網戸のようなものが開発されており、鍵付きでポスト口を備えるなど、第二の玄関ドアのような様式のものもありますが、玄関を開けたまま網戸だけで過ごす時間が長いと、外から在宅状況がわかりやすくなったり、家族構成などのプライバシー情報が漏れるおそれもあります。
また、マンションや集合住宅では、玄関ドアが共用廊下に面していることが多いため、侵入者にとって楽にアクセスできると言えます。実際に高層階になると侵入窃盗は「無締りの表出入口」での認知件数が高くなりますので、網戸を利用中は注意が必要でしょう。
いずれにせよ、玄関用の網戸を使う際には玄関ドアは開放しなくてはならない、ということをよく考える必要があります。
小窓の網戸は面格子や補助錠と併用する
浴室、トイレ、洗面所、キッチンなどの小窓は、換気のために開けたままにされやすい場所です。小窓であっても、人が通れる大きさがある場合や、外に足場がある場合は侵入経路になるおそれがあります。
このような窓では、網戸だけでなく面格子や補助錠を併用することが大切です。面格子がある窓でも、古いものや固定が弱いものは外される可能性があるため、ぐらつきやビスの状態を確認しておきましょう。
小窓は「大きな窓ではないから大丈夫」と思われがちですが、外から人目につきにくい場所にあることも多いです。網戸を使って換気する場合でも、窓のサイズ、設置場所、周囲の足場、面格子の有無を確認し、必要に応じて面格子などを追加しましょう。
窓や勝手口の防犯対策は鍵猿へご相談ください

本記事では、網戸周辺の防犯対策について紹介しました。
昔はマンションなどでも玄関のドアを少しだけ開けてドアチェーンをかけ、折戸の網戸だけにしていた住人も多かったものですが、昨今では治安上のことを考えて窓だけ網戸にして換気している、といった住宅が多いようです。
確かに数十年前より防犯意識が向上している昨今ですが、それだけ我々の暮らす環境が昔のような長閑さを失っているとも言えるのかもしれません。侵入窃盗の件数は減少傾向にありますが、強盗や合鍵による不法侵入・侵入窃盗などは増えています。窓だけでなく、網戸にも防犯対策が必要でしょう。
鍵屋の鍵猿では、窓に取り付けられているクレセント錠を鍵付きのものに交換したり、勝手口に補助錠を取り付ける、といった防犯対策ができます。特に玄関や勝手口の防犯対策でお悩みの方は、ぜひ鍵屋の鍵猿にご相談ください。
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