クレセント錠は自分で鍵交換できる?DIYのリスクと交換方法

この記事でわかること
- クレセント錠の役割とは
- クレセント錠の交換方法
- クレセント錠の種類について
記事監修者

「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
クレセント錠は、窓の鍵として我々にもっとも馴染みのあるものです。とはいえ、古いものは防犯性が低いことで知られているため、鍵付きなどの防犯性の高いものに交換したい、と考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、クレセント錠の交換方法や自分で取り替えるリスク、安全性の高い方法などについて詳しく説明します。
窓の鍵が壊れてしまっている・早急に防犯性の高いクレセント錠に取り替えたい等、急を要する場合は、年中無休の弊社にご依頼ください。

目次
クレセント錠とは?

窓枠のアルミサッシに付いている鍵、というと、大方は取っ手を回転させて窓の動きを固定させる錠を思い浮かべるのではないでしょうか。このよく見かける半円形の鍵をクレセント錠といいます。取っ手を持って回転させる動きが三日月(英語で Crescent)を想起させることから、この名が付けられました。
クレセント錠は鍵としてとらえられていますが、本来は窓ガラス同士の密閉度を高めるために付けられているものです。防音性、気密性を向上させることはできますが、もともとセキュリティ面を考慮したものではないため、防犯性はあまり高くありません。
実際、空き巣がクレセント錠の周囲のガラスを割り、そこから手を入れて開錠し、部屋に侵入する事例は後を絶ちません。これを防ぐためには、クレセント錠を回せないように鍵でロックしたり、補助錠を組み合わせたりすることが必要です。
昨今ではこのような方法で防犯性を高め、クレセント錠を使用するケースが増えています。
クレセント錠の鍵交換をする際に必要な寸法は?

クレセント錠はドライバーが1本あれば、自分で交換することも可能ですが、そのためにはきちんと寸法を測り、サイズの合ったものを選ぶ必要があります。必要な寸法は下記3つです。
- ビスピッチ
- 高さ(厚み)
- 引き寄せ幅
ビスピッチとは、クレセント錠を固定している2つのビスの中心から中心の長さを指します。
高さとは、鍵本体が窓枠の取り付け部分からどれだけ離れているか(立ち上がり)です。
引き寄せ幅は、クレセント錠を固定しているビスの中心から、半円状の留め具のもっとも距離の長い部分に向けて水平に測った長さ(奥行き)のことです。
この3つの寸法が分かれば、交換用のクレセント錠が選べます。
クレセント錠の鍵交換をする前に知っておきたいこと
クレセント錠の交換にあたっては、注意すべきポイントが2点あります。それは、クレセント錠が取り付けられているサッシのタイプと、既存のクレセントの受けのままでよいのかどうか、です。
サッシには「ネジ切りタイプ」と「裏板タイプ」の2種類があります。ネジ切りタイプはサッシそのものにネジ穴が開いているタイプです。直接ネジを入れて回せば取り付けられるため、クレセントの交換もそれほど難しくありません。裏板タイプは、サッシには丸い穴が開いているだけで、裏板にねじ切りがあるため、ネジを挿し込むのは『裏板に対して』になります。これからクレセント錠を交換しようとするサッシが背板タイプだった場合、機械的に2本ともネジを外すと裏板がサッシ内部に落ちてしまいます。
ネジ切りがある裏板がなければ、クレセント錠を取り付けられません。サッシ内部に落ちてしまうと、分解して板を取り出したうえで定位置に戻さなければならず、大変な手間がかかります。裏板タイプの場合は、2本のビスを一度に外さず、常に片方は付いている状態にしましょう。なお、素人が自力でクレセント錠を交換する際にもっともよくある失敗がこの背板の落下です。慣れていない、自信がないといったときは、鍵屋に任せるのが無難です。

クレセント受け(「受け金具」とも言います)は、クレセント錠の取っ手を引っ掛ける金具です。もともとサッシについていたクレセントに「後付け」することが前提になっているクレセント錠は『万能型』と呼ばれるものが多く、ビスピッチや高さなどが可変となっています。
しかし、稀に既存のクレセント受けのサイズやビスピッチを知っておかなくてはいけない商品があります。ですので、新しいクレセント錠を購入する際には、クレセント受けが既存のもののままで良いのか、しっかりと確認しておきましょう。
特に、商品の説明などにクレセント受けについての記述がある場合は、しっかりと説明を読んで別売の交換用クレセント受けを手配する必要がないか、確認しておいて下さい。
自分でクレセント錠を交換する手順
クレセント錠の交換は、基本的にビスを2本同時に抜いてしまわないよう、どちらかをサッシに留めたまま作業します。これは先述のとおり、サッシが裏板タイプであったときのことを考慮しているわけですが、サッシがどちらのタイプであるのかがわかりくい、という理由もあります。また、交換を検討するようなクレセント錠がついているサッシは、そこそこの年数を経たサッシだと考えると裏板タイプである可能性が高いのです。ですからビスは必ず片方をサッシに残すようにしましょう。



- 下部のビスを外し、上部を緩める
- 古いクレセント錠を邪魔にならないように横に回転させておく
- 下部のビス穴に上下逆さ向きにしたクレセントを仮留めする
- 上部のビスを外して古いクレセント錠を取り外す
- 上下逆さに仮留めした新しいクレセントを180度回転させて正しい方向に戻し、上部ビスを緩く締める
- 動作確認をしてクレセントとクレセント受けの位置や高さを調整してからビスをしっかり締めて固定する
まずクレセント錠を留めているビスのうち、下部を外します。上部は完全には外さず緩めるだけにします。
下のネジを外したら古いクレセント錠をずらしてネジ穴を確認します。ここでサッシがネジ切りタイプであると判断がついた場合は、もう一方のネジも外して構いません。新しいクレセント錠のネジ穴の位置を調整して、固定すれば交換完了です。
しかしクレセント錠をずらして裏板があると判断できたとき、もしくはどちらのタイプか判断できなかったときは、上の古いクレセント錠はそのまま邪魔にならないよう回転させて固定しておきましょう。
次に、新しいクレセント錠を上下逆さにして下に仮留めし、上部に留めたままの古いクレセント錠を外します。
これで上部が空きましたので、新しいクレセント錠を180度回転させて上部のネジ穴に緩く固定し、高さやクレセント受けとの位置を調整します。
新しいクレセント錠が問題なく動くか、動作確認をしたら上下のビスをしっかりと締めて固定します(※きつく締めすぎると破損の原因になります)。
クレセント錠のDIYにはリスクもある
クレセント錠の自力交換を成功させるためには「ビスピッチ」「高さ(厚み)」「引き寄せ幅」の3点の寸法の正確な計測が不可欠です。曖昧な採寸をしているとしっかりと取り付けできない可能性があります。しかしながら、高さや引き寄せ幅が測りづらいデザインのものも少なくありません。
また、キー付きやダイヤル錠付きなどの防犯性の高いクレセント錠は、複雑な構造をしているうえに重く、取り付け手順自体は変わらなくても作業難易度が上がります。DIYではうまく取り付けられないリスクがあることを十分に留意しておきましょう。
そしてハードルが高いのが裏板の扱いです。窓がどこにあるのかによっては、自分だけで作業を完遂するのがなかなか難しいかもしれません。
下手をすると間違えてサッシ内部に裏板が落下してしまい、業者によるサッシの分解や交換が必要となります。
うまく取り付けられた、と思っていても、取り付け時のネジ留めが甘く、開け閉めを繰り返すうちに次第に緩んで外れてしまうこともあります。
一般的なクレセント錠が窓の鍵として不十分な理由

警視庁によると、令和元年(2019年)に起こった侵入窃盗犯の侵入経路としてもっとも多かったのは窓で、その割合は全体の63.4%にも及びます。これは、玄関などの出入口からの侵入に比べ、2倍近い数値です。
これだけ窓からの侵入が多いのは、窓ガラスであれば、道具を用いて簡単に破壊することができるからでしょう。
クレセント錠の周りに手が入るサイズの穴をくり抜けば、直接錠を回して開けることが可能です。玄関や勝手口から侵入するためにピッキングなどでロックを外すより、ずっとシンプルな方法で、時間もかかりません。
さらに、我々はクレセント錠が構造上しっかりとかかっていなくても、気づきにくい傾向にあります。クレセント錠をしっかり留め具にかけるためには、左右の窓がどちらも所定の場所にぴったり位置していなくてはいけません。ところが、窓をきちんと閉めたつもりでも、わずかにずれていることがあるものです。たとえわずかでもずれていると、しっかりと留め具にはかかりません。ところが、錠自体はくるりと回転するため、留め具にかかった気になりがちです。
また、最後まで回転させず、軽く回すだけということも多いのです。回転が不十分で引っかかりが浅いときは十分に固定できていない可能性が高く、そのような窓は窓枠をガタガタと揺らすだけで容易にかけ金が外れることがあります。
防犯性能を向上させたクレセント錠の種類
クレセント錠の防犯性が低いことは、かねてから指摘されており、そのせいか最近では防犯性能を高めたものがたくさん出てきました。ここでは、防犯性を向上させたクレセント錠の種類を紹介します。
ボタン錠付きクレセント

ボタン錠付きクレセントはロックボタンが付いているタイプで、防犯性能を向上させたクレセント錠のなかではシンプルな構造です。
このタイプのクレセント錠では、取っ手を回転させるためにロックボタンを押さなくてはなりません。ロックボタンを押さなければ取っ手が動かないため、仮にサッシの隙間などから棒を差し込み、取っ手を上げようとしても動かない、ということになります。
ガラスを割って手を差し込み、直接取っ手に触れることができても、ロックボタンを押しながら取っ手を回転させるのは相当難しいでしょう。
キー付きクレセント

キー付きクレセントは、鍵穴が付いているタイプです。取っ手を回した後に鍵をかけて固定します。当然、鍵を開けなければ取っ手を回すことはできません。そのため、仮にサッシの隙間から棒状のもので取っ手を押しても、割ったガラスから手を差し入れて直接回そうとしても、窓が開く心配はありません。鍵は中央あたりに位置しており、位置的に窓の外から手を入れてピッキングすることも困難で、容易には開けられない錠です。
ただし、窓を開け閉めする際に鍵を取り出してくる必要があるため、やや面倒に感じる人もいるでしょう。
また、窓を閉めた状態で鍵をなくしてしまうと、窓を開けられなくなってしまいます。このように管理に手間がかかる点は、キー付きクレセントの難点と言えます。
ダイヤル錠付きクレセント

ダイヤル錠付きクレセントは、クレセントにダイヤル錠が付いたタイプです。クレセント錠を閉め、窓を固定してからダイヤルをランダムに回すことで取っ手を固定します。ダイヤルの複数の数字を暗証番号通りに合わせなければ取っ手は回りません。当然、窓も開かない仕組みです。
仮に窓ガラスを割って手を入れたとしても、ダイヤル部分には手が届かず、届いたところで番号を合わせることはできないでしょう。これにより、外から窓を開けられてしまうリスクが非常に低くなります。
キー付きクレセントとは違い、窓を開け閉めする際に鍵を持ち歩く必要がなく、鍵を紛失して開けられなくなる心配もありません。
その代わり、設定した番号すべてを記憶するか、メモをとって他人の目に触れない場所で保管する必要があります。
防犯性の高いおすすめのクレセント錠
ドアの鍵同様、窓のクレセント錠にも防犯性の高いものがあり、特におすすめなのが、以下2つのサッシ鍵です。
・YKK AP KCクレセント
・マツ六 スーパークレセント
次の項目にて、上記のクレセント錠について解説していきます。
YKK AP KCクレセント
「YKK AP KCクレセント(YKK純正汎用型)」は、約90%の窓に適合するという驚きの互換性を誇り、幅広い窓に設置する事ができるという特長があります。
また、上下左右の高さも調節でき、さらにロック機能も搭載されており、機能的にも大変優れております。
なお、カラーについては、シルバーとダークグレーの2色が展開されており、各2,800円で販売されています。
マツ六 スーパークレセント
「マツ六 スーパークレセント」の特長は、ビスピッチ(ネジの間隔)での位置調整がしやすく、汎用性が高いという点です。
こちらも「YKK AP KCクレセント(YKK純正汎用型)」同様に、かなり互換性が高く、様々なタイプのサッシに対応する事が可能です。
なお、クレセント錠を施錠すると連動して自動でロックが掛かり、解錠する際には上部のボタンを押しながら開ける必要がある為、防犯性が高いです。
カラー展開はシルバーとブロンズの2色で、それぞれ窓用とテラス用が1,500円~1,700円で販売されおり、比較的安価な費用で購入する事が可能です。
窓の防犯性を高める方法
空き巣の侵入経路第1位は、実は玄関ドアではなく「窓」である為、窓の防犯性を高める事は侵入者対策として、非常に有効です。
なお、窓の防犯性を高めるには様々な方法がありますが、手軽な方法としては、以下の2つがあります。
防犯性が高いクレセント錠に交換する
クレセント錠には、簡易的なものから機能的なものまで豊富な種類があり、機能が高いほど価格も防性能もアップします。
例えば、ダイヤル式のクレセント錠なら、もし窓を割られても暗証番号がわからなければレバーを動かす事ができません。
また、鍵付きのクレセント錠であれば、2重の鍵によって空き巣の侵入に時間をかけさせます。
窓の防犯性を向上させるアイテムを利用する
防犯アイテムをクレセント錠と併用して使う事で、防犯性をアップする事ができます。
アイテムには、ワンタッチで設置できるテープ式の補助鍵や、窓の強度を高めるガラスフィルム、外部からの侵入を防ぐ窓格子などがあります。
このようなアイテムは様々なメーカーから販売されているので、ホームセンターで探してみるのもおすすめです。
窓の鍵交換を鍵屋に依頼するメリットとは?
「経年劣化で開閉できなくなった」、「修理できないくらい壊れている」など、クレセント錠を交換するときは、無理せず鍵屋に依頼するのがおすすめです。
鍵屋であれば、たとえ複雑な形状のものでも寸法を測り間違えることはありませんので、適切なサイズのクレセント錠を選んで取り付けることができます。
また、当然ながら鍵屋は鍵の交換作業に慣れています。そのため、何をどうするべきか熟知しており、手際よくスピーディな交換が可能です。窓を長時間開けたままにしておく必要がなく、うっかり裏板を内部に落としてしまうといったミスも起こりません。
特に、サッシ自体にゆがみがあるときやクレセント受けがサビているときは、素人が交換するのは困難です。プロの知識や技術が必要となるため、鍵屋にお任せいただくと安心です。
防犯を重視するなら交換は鍵屋に任せよう
クレセント錠は防犯性が高くありません。セキュリティを考慮して、古いクレセント錠を取り替えたいと考えている人も多いと思います。
しかし防犯性の高いクレセント錠は構造が複雑なため、自力で交換するのは容易ではありません。失敗を避けるためにも、ぜひ正確な取り付け作業ができる鍵屋にお任せ下さい。
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