賃貸の防犯対策は何をすれば良い?確認することや注意点を解説!

この記事でわかること
- 賃貸物件を狙った犯罪
- 賃貸物件での侵入経路や侵入手口
- 賃貸物件でできる防犯対策
- 鍵屋に鍵による防犯対策を依頼するメリット
- 鍵屋に依頼したときの費用相場
- 賃貸で鍵屋に依頼するときの注意点
記事監修者

「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
「賃貸でもできる防犯対策って、どんなのがあるの?」
一人暮らしや共働きの増加に伴い、賃貸住宅が空き巣やストーカーなどの犯罪に狙われるケースは珍しくありません。特にオートロックのない物件や1階・2階の部屋、築年数の古い建物は、侵入者にとって入りやすい条件がそろってしまうことも。
「持ち家じゃないから自由に対策できない」と感じる方も多いですが、実は賃貸でも導入できる防犯対策は数多くあります。ちょっとした工夫やアイテムの追加で、被害を未然に防ぐことは十分可能です。
この記事では、賃貸物件が狙われやすい理由や、実際に多い侵入手口を解説したうえで、今すぐ実践できる防犯対策をご紹介します。安心して暮らせる住まいを目指す第一歩として、ぜひご活用ください。

目次
賃貸物件を狙った犯罪手口は何がある?
最初に賃貸住宅には集合住宅と戸建ての双方があるわけですが、借家として利用されている数字はやはり集合住宅が圧倒的です。
賃貸の集合住宅は一戸建てと比べて「顔見知りでない人がいても不自然に見えない」という特徴があります。分譲マンションだと住人同士がある程度、近所付き合いをしていたり、管理組合などの関わり合いがあるため、よそ者が入りにくい雰囲気が醸成されています。
一方で賃貸住宅ではあまり地域的なコミュニティが形成されていないことも多く、誰が住人で誰がそうでないのか、よくわからないことも多々あります。そしてご近所付き合いもほとんどなかったりする場合は周辺住民による「見守り」が機能しません。
こうした点を逆手に取り、犯罪者は賃貸住宅特有のスキを狙ってきます。ここでは、特に注意したい代表的な犯罪手口について見ていきましょう。
空き巣などの侵入窃盗
賃貸住宅は建物のオーナー(大家)によって防犯意識の差が大きく、様々な対策をしている・していないがはっきりと現れる傾向にあります。防犯対策に敏感なオーナーは防犯カメラやオートロック、鍵管理もしっかりしていますが、そうでないオーナーは管理会社に任せきりだったり、全く関心を持たなかったりします。
このため、空き巣などの侵入窃盗犯にとっては賃貸物件の方が「入りやすい物件」が見つかりやすい、と言えるでしょう。
特に、オートロックがなく、建物から逃走しやすい物件や、築年数の古い建物、道路沿いの1階・2階の部屋は狙われやすい傾向にあります。下記のデータからもわかるように「ドアや窓の施錠をしていなかった」といった「無締まり」状態が被害の大半を占めています。
ストーカーや性犯罪
ストーカー被害や性犯罪も、賃貸物件で発生しやすいと言えます。女性が標的となることが多いのは確かですが、男性でもストーキングや盗聴・盗撮、性的暴行などの被害を受ける可能性があるので十分注意する必要があるでしょう。
洗濯物や郵便受けの名前表記、帰宅時間などから生活のパターンを知られてしまうと、部屋を特定されたり、つけ回されたりする可能性があります。
特に一人暮らしの場合は、外から生活が見えないようにする工夫が必要です。
賃貸物件の侵入経路や侵入手口は?

犯罪者がどこから、どのように侵入するのかを知ることは、防犯対策の第一歩です。では侵入窃盗犯はどこを狙ってくるのでしょうか?
下記データは令和5年度の戸建てと集合住宅で認知された空き巣の数を侵入口・侵入手段にわけて示ししたものですが、戸建てでは窓からの侵入数が圧倒的なのがわかります。
空き巣の侵入口と侵入手段TOP3
【戸建て】
順位 | 侵入口 | 手段 | 認知件数 |
---|---|---|---|
1位 | 窓 | ガラス破り | 3,233 |
2位 | 窓 | 無締り | 1,158 |
3位 | 表出入口 | 無締り | 765 |
【共同住宅3階以下】
順位 | 侵入口 | 手段 | 認知件数 |
---|---|---|---|
1位 | 表出入口 | 無締り | 544 |
2位 | 窓 | ガラス破り | 521 |
3位 | 窓 | 無締り | 444 |
【共同住宅4階以上】
順位 | 侵入口 | 手段 | 認知件数 |
---|---|---|---|
1位 | 表出入口 | 無締り | 314 |
2位 | 窓 | ガラス破り | 295 |
3位 | 窓 | 無締り | 144 |
これは近年、玄関の錠前はハイセキュリティシリンダーが当たり前になり、上下のダブルロックであることも多くなったことが原因と言われています。ガラス破り・無締りともに窓が最多、という結果になっています。
対して表出入口(玄関)は無締りなら狙う、といった印象で、その数字も窓狙いの件数からするとだいぶ少ない数字です。
賃貸物件には戸建てもありますから、そういった物件にお住まいの方は窓を重点的に対策する方が良いでしょう。
一方で、賃貸物件が大部分を占める集合住宅では窓よりも「表出入口」の「無締り」が狙われています。集合住宅にはオートロック・エントランスも多く、建物内には基本的に「部外者は入れないことになっている」ため、外出のたびに施錠しない人がいても不思議ではありません。
それでは窓からの侵入方法と、玄関からの侵入方法にはどんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。
窓
多くの空き巣は「施錠されていない窓」や「壊しやすい窓」を狙います。ベランダ付きの部屋や、隣接建物との距離が近い物件では移動がしやすく、腰壁などに隠れることもできるため、特に警戒が必要です。
打ち破り
打ち破りはシンプルにバールなどで窓ガラスを力任せに割って侵入する手口です。石などを投げつけることもあります。対策していないガラスだと、すぐに割れて短時間で侵入できますが、大きな音が出るため、周囲に人がいない時間帯に狙われることが多いです。
三角割り
三角割りは他にも「三角破り」「こじ破り」などと呼ばれていることもあります。日本独特と言われるガラスの割り方で、普通のフロードガラスであれば窓枠にマイナスドライバーなどを何度か突っ込めばガラスにヒビが入り、簡単に割れてしまうという性質を悪用しています。
最もポピュラーなのは窓のクレセント錠付近の窓枠にドライバーを差し込み、三角形に近いかたちでガラスを割ってクレセント錠を解錠する、という手法です。
大きな音も出ませんし、手際よくやれば10秒ほどでガラスを割ってしまえるため、犯行の時間帯をあまり問わずに使われています。
焼き破り
焼き破りはガラスが熱衝撃に弱いことを利用した手口で、バーナーなどでガラスを熱したあと、水などをかけて急激な温度差を作り、ガラスを割ります。冷たいガラスのコップに熱い液体を注ぐと割れてしまうことがありますよね。それと同じ「熱割れ」の原理です。
ガラスは熱伝導率の低い物質で、熱するときよりも冷やすときに引張応力が生じて熱割れを起こしやすいのです。
このため、焼き破りの手法を使われると窓ガラスは音もなく簡単に割れてしまいます。犯罪者は割れたところから手を入れてクレセント錠を手で解錠するなどして侵入します。破壊音も三角割りなどより小さく、三角割りと違って誰にでもできる手法なので厄介です。
また、防犯ガラスを含めどんなガラスでも熱衝撃に弱いため、防ぐ手立てがあまりない手口でもあります。
▼関連ページ玄関
意外なことに共同住宅において最も多い侵入経路は「玄関」です。要するに、先述したように侵入窃盗犯などは鍵がかかっていない玄関を狙っているということです。
さきほど見た空き巣が選ぶ侵入口と手段のデータが示しているのは、空き巣犯は無駄な労力を費やしてまで侵入していないということです。我々は泥棒の侵入方法というとピッキングやサムターン回し、こじ破りといった古典的なものを思い浮かべがちですが、空き巣犯にとって重要なのは窃盗が発見されないことと、現場から逃げ切ることです。
そのためにも、鍵がかかっていない玄関から「まるで住人であるかのように」入って、出ていくのが理想的なのでしょう。
しかし、だからといって不正解錠方法が死滅したわけではないので、知識としてどういった手法なのか知っておくに越したことはありません。代表的なものを詳しく見ていきましょう。
ピッキング
鍵穴に「ピック」と「テンション」と呼ばれる専用の工具を差し込んで内部構造を操作し、正しい子鍵を使わずに開錠する手口です。
特にピンシリンダー錠や古いディスクシリンダー錠など旧式の鍵で対策されていないものは数十秒で開けられてしまうこともあります。
▼関連ページこじ開け
ドアと枠の隙間にバールなどを差し込み、てこの原理で無理やり開ける方法です。築年数が古くドアの建付けが緩んでいる物件では特に注意が必要です。
サムターン回し
玄関ドアの郵便受けやドアスコープを外して、特殊な工具を室内側へと入れ、ドアの室内側にあるツマミ(サムターン)を回して解錠する手口です。
最近では各メーカーが防犯サムターンを開発し、売れ筋シリンダーに取り付けているせいもあって、めっきり使う犯罪者が減りましたが、防犯サムターンでもなく、2ロックにしていない、普段から留守が多い家は狙われるかもしれません。
▼関連ページカム送り解錠
カム送り解錠は別名バイパス解錠とも言われる不正解錠方法で、シリンダーではなく、ドア内の錠ケースに直接アクセスしてカンヌキを操作する方法です。
ピッキング、サムターン回しの次くらいに使われたとされる手法ですが、ピッキングほど被害が広まったかというとそうでもありません。
これは、警察庁から迅速に脆弱性のあるメーカー製品が発表されたからでしょう。この発表があったあとすぐに指摘されたメーカーが対策していったため、現在ではほぼすべてのメーカーが対策済みです。
賃貸物件の防犯対策は何ができる?
「賃貸だから自由に防犯対策ができない」と感じている方も多いかもしれませんが、実は後付けできるグッズや習慣づけで十分に防犯性を高めることができます。ここでは、賃貸物件でも導入しやすい具体的な対策方法をご紹介します。
少しの外出でも施錠する

空き巣はたった数分の外出を狙っています。ゴミ出しやコンビニへの買い物など、わずかな外出でも必ず施錠しましょう。施錠習慣があるだけで、防犯効果は大きく変わりますし、子鍵をいつも携帯していれば閉め出される心配もありません。
郵便物を溜めない

郵便受け(集合ポスト)に郵便物やチラシが溜まっていると、「不在」と判断され、空き巣の目印になります。旅行などで長期不在になる場合は、家族や管理会社に依頼してこまめに回収してもらうか、郵便局へ出向いて「不在届」を出しましょう。
ベランダの死角をなくす

植木や物置、箱などが散乱しているベランダは、侵入者が身を隠すのに絶好の場所になります。見通しを良くし、物を置きすぎないことで、犯罪者を近づけないようにしましょう。集合住宅の窓と言えばベランダと部屋を仕切る掃き出し窓であることが多いので、窓からの侵入≒ベランダからの侵入です。センサーライトの設置も有効です。
▼関連ページドアスコープカバーを付ける

外から部屋の中を覗かれないよう、ドアスコープにカバーを取り付けましょう。ホームセンターなどで安価に購入でき、簡単に貼り付けできるタイプが多いため、賃貸でも導入しやすいアイテムです。
▼関連ページサムターンカバーを設置する

内側のツマミ部分にカバーを取り付けることで、サムターン回しを防止できます。賃貸でもネジ止め不要な両面テープ式を選べば、退去時にも影響を与えません。
センサーライトを設置する

人が近づいたときだけ点灯するセンサーライトは、玄関やベランダへの侵入をためらわせる心理的効果があります。電池式やソーラー式のものなら、電源工事も不要で賃貸でも気軽に設置可能です。
窓の鍵を防犯性の高い鍵にする

クレセント錠だけでは不十分です。補助錠を追加したり、ワンタッチで固定できる窓用ロックを設置したりすることで、侵入の手間を大きく増やせます。後付けタイプなら工具不要で取り付け可能です。
▼関連ページ窓に防犯フィルムを貼る

ガラス破り対策には、防犯フィルムを貼るのが効果的です。割られても飛散を防ぎ、侵入に時間がかかるため、犯罪の抑止力になります。
可能であれば、防犯建物部品の目録に入っているCPマークつきのフィルムを使用しましょう。
玄関の鍵を防犯性の高い鍵にする

古いピンシリンダー錠(GOAL、SHOWA)やディスクシリンダー(美和ロック)といったピッキングに弱い旧式の鍵がついている場合、ディンプルキーなどの防犯性が高い鍵に交換するのも有効です。賃貸では事前に管理会社や大家の許可が必要ですが、自己負担するのであれば許可して貰えることが多いでしょう。
補助錠を追加する

メインの鍵に加えて、補助錠を取り付けると、侵入にさらなる時間がかかることになり、犯罪抑止につながります。穴あけ不要の貼り付けタイプなら賃貸でも安心して導入できます。
鍵での防犯対策なら鍵屋に依頼しよう
鍵の防犯性能は、侵入のしやすさを大きく左右します。特に賃貸物件では「どんな鍵がついているのか分からない」「鍵の交換は自分でやっていいのか不安」といった声も多く寄せられます。そうしたときは、プロの鍵屋に相談するのが確実です。
賃貸物件で有効な防犯強化方法を、専門家の目線から提案してもらうことで、より安心して暮らせるようになるでしょう。
ここでは鍵屋に依頼するメリットや、費用相場について説明します。
鍵屋に依頼するメリット
鍵屋に相談すれば、現在ついている鍵の防犯性能をその場で見極めてもらえます。築年数の古い物件では、ピッキングに弱い旧式の鍵がそのまま使われていることもありますが、そういった鍵と互換性のある錠前があるのかどうかといったことも調べて貰えます。
また、鍵屋なら「この鍵はピッキングに弱い」、「こじ開け対策には補助錠の追加が効果的」など、犯罪手口に応じた具体的な対策を提案してくれます。
自分で鍵を買って取り付ける場合、サイズや形状が合わずに失敗することもありますが、鍵屋に任せれば適合確認から施工まで一括で対応してもらえるため、無駄な出費やトラブルも避けられます。
鍵屋に依頼したときの費用相場
賃貸物件の鍵交換や補助錠の取り付けを鍵屋に依頼した場合、料金は作業内容や鍵の種類によって異なります。以下は一般的な相場です。
鍵の種類 | 作業料金 | 部品代 |
---|---|---|
ピンシリンダー・ロータリーディスクシリンダー | 8,000〜15,000円前後 | 9,000~15,000円 |
ディンプルキーシリンダー | 8,000〜15,000円前後 | 15,000~30,000円 |
補助錠の新規取付 | 15,000〜25,000円前後 | 8,000~55,000円 |
サムターンカバー設置や簡易な部品交換 | 5,000円前後 | 3,000~13,000円 |
出張費や見積もり費が無料の業者も多いため、まずは相談してみると安心です。なお、防犯性の高い鍵ほど料金は高くなりますが、その分、侵入リスクを大幅に下げられます。
賃貸物件で鍵屋に依頼するときの注意点
賃貸物件では、勝手に鍵を交換したり穴を開けたりすると、退去時に原状回復のために要した費用を請求される可能性があります。したがって、鍵屋に依頼する前に管理会社または大家に必ず確認を取ることが大切です。
相談の際には、「ピッキング対策をしたい」「古い鍵が心配」といった防犯目的であることを伝えると、許可が出やすくなります。
また、鍵屋によっては賃貸向けの穴あけ不要の補助錠やサムターン対策製品を提案してくれるので、そうした選択肢を活用するのも有効です。
他社からの見積もりを既に持っている、業者の比較がしたい、という方はぜひ弊社の相見積もりフォームもご利用下さい。
賃貸物件の防犯対策も鍵猿にお任せください!
防犯対策は、日常のちょっとした意識と、信頼できるプロのサポートで大きく変わります。とくに鍵まわりの対策は、侵入されないための重要なポイントです。鍵猿では、賃貸にお住まいの方でも無理なく導入できる防犯対策をご提案しています。
ご相談いただいた際には現場経験豊富なスタッフが無料で訪問し、鍵の状態を確認したうえで最適な解決方法をご案内します。もちろん、お見積もり後のキャンセルも無料ですので、「とりあえず相談だけしたい」という方もお気軽にご連絡ください。
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