ディーラーよりも鍵屋がおすすめ?ヤナセのベンツのスマートキーを作成する方法
この記事でわかること
- 正規輸入車と並行輸入車の合鍵作成方法
- ベンツのスマートキーの種類
- ベンツキー各種の電池交換方法
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
ベンツの合鍵の作成を依頼する場合、正規輸入車と並行輸入車では作り方が違うのはご存知でしょうか。
そもそも、外国メーカー車の「正規輸入車」と「並行輸入車」は何が違うのでしょう。この記事では、日本に輸入されたメルセデス・ベンツの鍵の作成方法やその際の注意点などについて解説します。
ちなみにメルセデス・ベンツの金属キーは「サイドワインダー」と言って特殊な形状をしています。シリンダーも解錠が難しく、鍵屋でも開けられないことがありますので、インロック解除などのご依頼時には必ずベンツ車の解錠実績があるか確認することが大事です。鍵猿ではメルセデス・ベンツの解錠実績も豊富なスタッフがいます。スマートーキーによる突然のインロックなどでお困りの際はぜひご相談下さい。
目次
正規輸入車と並行輸入車で異なる!ベンツの合鍵の作成方法
ベンツの鍵は、もちろん金属製のものもありますが、現在はイモビライザー搭載のスマートキーが主流です。
このスマートキーには、「施錠」、「解錠」、「トランク」のボタンが付いており、また、スマートキーを身に着けてドアノブのセンサーに触れる事で車を解錠する事もできます。
さらに新型のSクラスでは、スマートキーを身に着けた状態で近づくだけで、ドアハンドル部分が出っ張ってくるように展開します。
また、トランクのボタンを2回押す事で、トランクを自動で開く事ができます。
ベンツの合鍵を作成する場合、どこで作れるのかはそのベンツが正規輸入車なのか並行輸入車なのかによって変わります。それぞれで合鍵はどのように作成するのかについて見てみましょう。
正規輸入車の場合
正規輸入車とは、ダイムラー社から認められた日本の正規インポーター(輸入業者)が輸入・販売している車を指します。正規インポーターはメーカーが認定した販売店で、日本では長年、ヤナセが単独でその任を担ってきました。他に参入する企業もなく、ほぼ専売と言って良い立場だったため、ベンツの正規輸入車=ヤナセのベンツ、というイメージのままでいる方も多いのではないでしょうか。
現在ではダイムラー社が日本メルセデス・ベンツ株式会社という日本法人を置き、輸入権を移管したため、ヤナセは「インポーター」ではなくなっています。専売状態だった市場も相次ぐメーカーの直接進出で大きく変化し、現在のヤナセは取り扱ってきた全ての海外メーカーの日本法人に輸入権を譲渡しています。
国内には2つの正規代理店:シュテルンとヤナセ
メルセデス・ベンツに関しては、 日本メルセデス・ベンツが持つ「シュテルン」(Stern、ドイツ語で「星」の意)という正規ディーラーのネットワークとともにヤナセも正規販売店となっていますが、店舗名からどこがシュテルンでどこがヤナセかはわかりにくくなっています。
もともと輸入されたベンツ車のアフターサービスを担当していたヤナセは、ベンツの正規ディーラーになってからも「パーツのストックが豊富」、「定期的なメンテナンスが可能」、といった点が大きな売りでした。全国的なネットワークを持ち、購入した場所ではなく遠方で何かあった際にもサポートしてもらうことができる、というのもヤナセならではでした。
ただ、「取り扱い車種やグレードが日本向け限定となっている」、「詳細なオーダーができない」という点が難点であると言われてきました。 ヤナセのこの「充実したアフターフォロー」は今も変わっておらず、市場に大きな変化があったものの、開業以来1世紀近くに亘って蓄積したノウハウを活かし続けています。
このようなことから、ヤナセで購入したメルセデス・ベンツの合鍵であれば、現行のヤナセ或いはシュテルンいずれでも追加の鍵を作成することが可能です。ベンツの鍵はすべてドイツ本国で生産されるとのことですので、複製であってもドイツに発注され、納期は最低でも5営業日ほどとなっています。
ディーラーに依頼する際の注意点は、やはり納期の長さです。できるだけ早く合鍵を入手したいときはディーラーではなく、鍵屋に依頼したほうが時間がかからずに済みます。
また、鍵の紛失などでディーラーを頼った場合、「コンピュータ交換での対応」となって費用が大変高額になるため、少しでもコストダウンしつつ待ち時間も短縮したい場合は、外国車対応の鍵屋に依頼するのがベストです。
並行輸入車の場合
並行輸入車は正規インポーターを経由せず、輸入業者などが海外の販売店などから直接買い付けた車両を指します。並行輸入車のメリットは、正規ディーラーが取り扱っていないモデルや、中古車でも購入することが期待できる点です。
並行輸入車は国内ディーラーではメンテナンスなどの対応をして貰えないと考える人も多いのですが、日本メルセデス・ベンツは「中古車や正規販売店以外で購入した車両でも、メルセデス・ベンツはしっかりサポート」するとしており(Mercedes-Benz Tips より)、シュテルンやヤナセでも並行輸入車のメンテナンスを受け付けています。
ただし、欧州仕様のメルセデス・ベンツのスマートキーは、対応して貰えません。これは恐らく、欧州仕様のリモコンが日本の電波法でアマチュア無線に振り分けられた帯域(433MHz)を使うためでしょう。2015年の法改正で輸入業者などに対し、技術基準に合わない無線製品を販売しない努力義務が規定され、技適マークがついていない海外製品を輸入・販売することは困難になりました。
このような背景から、並行輸入車の鍵作成は対応している鍵屋および輸入車ディーラーや整備工場のみが可能、ということになります。事実、並行輸入車対応の実績が多い鍵屋や輸入車整備工場では、ベンツディーラーからの依頼で鍵作成をすることもあるようです。
イモビライザーキー(イモビキー)の特徴
最近は国内でもイモビライザー搭載のスマートキーやキーレスエントリーが広く普及していますが、ドイツ車であるメルセデス・ベンツは1990年代初頭に既にイモビライザーという防犯システムが導入されていました。
自動車盗難が増加したヨーロッパでは1995年にEUで法整備がなされ、全車にイモビライザー搭載が義務付けられていますので、日本国内を走るメルセデス・ベンツも殆どがイモビライザー搭載車であると言えるでしょう。
イモビライザーキーとは
イモビライザーは車内コンピュータがID照合できない鍵はエンジンスタートそのものが不可能になるというセキュリティシステムで、鍵のトランスポンダにあるIDと、車側のコンピュータに登録されているIDが一致するまで車が動かせなくなります。
そしてこのIDコードを複製することは一般的には困難であるため、イモビライザーに対応した合鍵の作成には、現行のスマートキー等からデータを吸い出して書き換えられる、専用機材が必要であり高い技術が求められます。
▼関連ページ特にメルセデス・ベンツのイモビライザーキーは国産自動車に対応している鍵屋でも合鍵作成が困難な場合もあるため、事前によく調べておきましょう。正規車の取り扱いに慣れているところは、並行車の対応も兼ねていたりしますので、並行輸入車のオーナーはメールなどで問い合わせをして確認しておくと安心できます。
ちなみに、スマートキーではなくスペアキーで車を開けた際などに大きなアラーム(セキュリティアラーム)が鳴る防犯システムがありますが、これはイモビライザー搭載車であることと関係がないので、間違わないようにしましょう。
ベンツのスマートキーは3種類
ベンツのスマートキーは大別して3種類あり、それぞれAタイプ、Bタイプ、Cタイプと呼ばれています。
Aタイプは2016年以前の「トライアングル型」と言われるタイプで、現行車種ではミニバンのVクラスのみが採用していますが、今でもベンツオーナーの大多数がこの鍵を使用しています。
現行車種においては2016年の新型Eクラスで採用されたBタイプ(スクエア型)が主流となっており、Cタイプ(オーバル型)は2021年の新型Sクラスから採用された最新型のスマートキーになります。
合鍵を作成する前にやっておきたいこと
鍵を紛失した、あるいは故障の疑いがあるときは、誰しも「合鍵を作成しよう」と考えるのではないでしょうか。しかし、イモビライザーキーの合鍵作成は安価ではありません。合鍵の作成を依頼する前に、できる限りのことはやっておきましょう。
まずはよく探す
パニックになると人は冷静な判断ができなくなり、集中力をなくしてしまいます。鍵が見つからないときは深呼吸して心を落ち着けてから探すことが大事です。
深呼吸をすることで脳に酸素がまわるため、パニックになった頭の中がスッキリとします。
一刻も早く車の鍵を見つけたいときこそ、数分間で良いので気持ちを落ち着ける時間を作ることが大事です。
紛失したものが家の中で見つかることも珍しくないため、心を落ち着けたら、普段使用しているものとは違うカバンに入っていないかどうかを確認してみましょう。
それでも見つからなかった場合、最後にどこに保管したのかを思い返し、ありそうな場所をひとつひとつ順番に探していくのがポイントです。家の中であれば、普段の自分の生活動線を順番にチェックしていくのも有効といえます。
玄関の下駄箱、洗面台の周囲など鍵を置けそうな場所に置きっぱなしにしていないか確認しましょう。疲れているときは逆に、普段置かないような場所に無意識にものを置いてしまうことがあります。それでも見つからなければ、合鍵作成を考えましょう。
電池切れしてないかチェックする
イモビライザーキーの故障が疑われるときも、原因は電池切れだった、ということが多々あります。
イモビライザーキーは常に弱い電波を発しているので、車を使用していないときでも徐々に電池が消費されてしまいます。そのため、気づかないうちに電池が切れ、鍵が使用できない状態になっている可能性があるので確認してみましょう。
電池の消耗具合は、鍵の保管場所によって違います。テレビや冷蔵庫、スマホなど強い電波を発するものの近くで保管していると、イモビライザーの電池消耗が早まってしまうので注意が必要です。
たとえば、普段使っているカバンの中にスマホと一緒にイモビライザーキーも保管している場合は、車を使用していないときも常に鍵を使用しているのと同じような状態になっている可能性があります。
また、電池切れのスマート―キーが車内に置き忘れられていても、車がアラーム音を発してくれるとは限りません。これが原因でインロックになってしまう可能性もありますので、できるだけ迅速に電池交換をしましょう。
なお、使用するのはリチウムコイン電池で、スマートキーAタイプが「CR2025」、BタイプとCタイプが「CR2032」です。
ベンツのリモコンキーは電池切れになった際の電池交換方法がMBJ(メルセデス・ベンツ・ジャパン)の公式YouTube チャンネルでも公開されており、ディーラーや鍵屋に依頼しなくても自力で交換することが可能です。
リモコンキーのタイプ別電池交換の方法
Aタイプ
- リモコンキー下部のメカニカルキー(エマージェンシーキー)を取り出して、同じく下部側面のロックがある溝に差し込み、裏蓋を外します。
- リチウム電池(CR2025 3V)を取り出して、新品を+(プラス)面を上にして交換し、エマージェンシーキーを元に戻します。
- 裏蓋を閉め、いずれかのスイッチを押して赤いランプが点灯する事、そして全ての機能が動作するかの確認を行います。
Bタイプ
- リリースノブを押しながらカバーをスライドして取り外し、電池収納部を引き出してひっくり返します。
- 新しい電池(CR2032 3V)の+(プラス)面を下向きにして、電池収納トレーに入れます。
- 電池収納トレーを戻したら、カバーも戻して交換は終了です。
Cタイプ
- 裏面のボタンを押してメカニカルキーを取り出し、開口部の窪みにキーを挿入して蓋を持ち上げて外します。
- 電池カバーの溝にキーを差し込んで、カバーが飛ばないように注意して持ち上げ、電池を取り出します。
- 新しい電池(CR2032 3V)の+(プラス)面を下向きにしてセットし、電池カバーと蓋を元通りに閉め、エマージェンシーキーも元に戻します。
ヤナセではなく鍵屋に依頼することも検討してみよう
ヤナセのベンツの合鍵を作成したいときは、勿論ヤナセに依頼することもできますし、時間的な余裕があるのであれば、そうした方が良いかもしれません。
ただ、合鍵が必要になったときの状況によっては、鍵屋に依頼する方が賢明な選択であることもあります。鍵屋に合鍵の作成を依頼した場合に「どのようなメリットがあるのか」、「注意すべき点は何か」について解説します。
メリット
鍵屋に合鍵作成を依頼するメリットのひとつは、鍵の紛失時に現場に来てくれるという事です。
短時間で解決できる事はもちろん、こちらの移動もレッカー移動も必要ない為、コスト面でも非常に大きな利点があります。
ディーラーに依頼すると1週間以上かかるのに対し、殆どの鍵屋は即日対応でその日のうちに作業を終えますから、所要時間に圧倒的な差が出ます。
車を毎日運転している人は合鍵がすぐにでも必要なことも多く、並行輸入車のオーナーも複製が難しい外車の鍵を専門にしている、技術力の高い鍵屋がおすすめです。
24時間対応している鍵屋もあるので、夜中など緊急時に合鍵が必要になったときにも問い合わせすることができます。
ただ、実際に対応可能かどうかは、車の年式や型式などによって変わるため、確認が必要です。
鍵屋のなかには、郵送で合鍵を作成するサービスを提供している鍵屋もあります。仕事などで忙しく、直接鍵を受け取ることが難しい場合には郵送サービスを利用するのもおすすめです。
ベンツのスマート―キーは、EZS(イグニッションスイッチモジュール)の情報がないと動作確認をすることができないため、業者側はEZSも取り外して送ってくれるとベスト、としていると思います。
スマート―キーは届いたけど車が動かない、といった事態を避けるためにも、できるだけEZSを取り外してスマート―キーに同梱しましょう。
かかる費用
費用は鍵の種類によって変わるため、一概に言うことができません。一般的なシリンダーキーであれば、相場は1万2,000円程度です。
ただ、イモビライザーキーの場合は構造が特殊になっているので合鍵を作成する際にかかる費用が一般的な鍵より高く、25,000~60,000円になってしまいます。
ディーラーに依頼するより高額になりますが、合鍵が至急必要なときには緊急対応をすることが可能です。
A社 | B社 | |
---|---|---|
メカニカルキー (サイドワインダー)複製 | ¥30,000~ | ¥25,000~ ※解錠料金含む |
スマートキー複製 | ¥40,000~ ※メカニカルキー込 | ¥30,000~ ※メカニカルキー込 |
スマートキー全紛失 | ¥50,000~ | ¥55,000~¥60,000 |
もしくは、出張料や見積もり料、キャンセル料すべてを無料で対応している鍵屋もあるので、そういったところに依頼するのがおすすめです。
注意点
ベンツの合鍵作成は一般的な鍵を作成するより高額なので、料金について曖昧な返答をする鍵屋は避けたほうが安心です。そういった鍵屋は料金を曖昧にすることで、実際に現地で作業した後、高い追加料金を請求できるようにしている可能性があります。
合鍵の料金は鍵屋によっても違いますが、極端に安すぎる場合は注意が必要です。例として、鍵屋のホームページなどで料金が「1,000円~」と記載されていることがあります。このような場合、料金をはっきりとさせていないことから、作業後に記載されている金額の数十倍もの料金を支払うことになる可能性があります。
そのため、鍵屋にベンツの合鍵作成を依頼するのであれば、前もって見積りを出してもらうことが重要といえます。
依頼をキャンセルした際に料金がかかるかどうかもチェックポイントのひとつです。鍵屋によっては24時間対応のところもありますが、深夜料金や早朝料金を別途設定しているケースも少なくありません。
「合鍵料+出張料+深夜料金+そのほか」と「合鍵料+そのほか」では、数千円の違いが出る可能性があります。さらに、作成できる鍵とできない鍵があるので、依頼する前に問い合わせておくのがおすすめです。問い合わせの際には、車検証を持って車種や年式などオペレーターの問いに応えられるようにし、イモビライザーの有無などを伝えましょう。
合鍵がすぐに欲しいときは鍵屋に相談するのがベスト
ベンツの合鍵作成は状況次第でディーラーにするか鍵屋にするか判断するのがおすすめです。ディーラーに預けておいても構わない、という時間的余裕のある正規車オーナーは、ディーラーに対応して貰うと良いでしょう。
ただ、毎日車を使用するなど、できるだけ早く合鍵が必要な場合は、即日対応も可能な鍵屋に依頼した方が良いでしょう。
外国車のスマート―キーに対応できるところは限られていますが、そのぶん実績数に裏打ちされた知識と経験があるため、ディーラー車・並行車に関わらず悩み事に答えてくれるかもしれません。
まずは気軽に問い合わせてみましょう。
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