イモビライザーとは?車の盗難対策・セキュリティの仕組みと見分け方

この記事でわかること
- イモビライザーの仕組み
- イモビライザー装備の見分け方
- イモビライザーとセキュリティアラームの違い
- イモビキーの合鍵の作り方
- イモビライザーでは防げない盗難方法
記事監修者

「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
車の盗難防止に効果的だとして、イモビライザーが標準装備されている車が増えています。とはいえ、イモビライザーとは一体どういうものなのか、その仕組みや特徴をよく知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、イモビライザーの機能・性能を踏まえ、混同されがちな車のセキュリティアラームや、イモビライザー搭載車の見分け方、起こりやすいトラブルなどについて解説します。
イモビライザー装備のキーは複製が難しく、特殊な機材が必要なため対応できる鍵屋は限られています。
また、車の鍵は防犯システムとも連動しており、金属の鍵(刻みキーやウェーブキー)であってもドアの解錠や合鍵作成が困難なものもあります。車の鍵を紛失したり、インロックしてしまったときは迅速な対応が可能な鍵屋にぜひご相談下さい。

目次
自動車のイモビライザーキーとは?
「イモビライザー(Immobilizer)」とは、物理的なキーに加えて電子的なキー(ID)の照合を行う事で車のロックの防犯性を高め、乗り逃げや車両の盗難を防ぐ防犯装置のことです。
イモビライザー搭載車の場合、単に複製された物理キーだけではIDの照合ができないため、エンジンがかかりません。要するに、正当な鍵なしではドアを開けることはできても、エンジンをスタートさせることができないため、運転して逃げるといったことができないのです。
『イモビライザー』の意味は?
イモビライザーは英語のImmobiliser が元になっています。「動かない」という意味の形容詞immobile を名詞化し、「車両を動かないようにするもの」という意味を持たせています。
医療用の器具にも負傷した頭部を固定する「ヘッドイモビライザー」や、手を固定する「ハンドイモビライザー」というものがありますが、「動かないようにするもの」であることは同じで、ギプスのような器具を指します。
イモビライザーの仕組み
車両盗難は車の合鍵さえ持っていれば容易に成し遂げられる犯罪です。ですが、持ち主が所有している鍵と、そうではない鍵を車が識別したら、乗り逃げは難しくなります。

イモビライザー装備の車は、このような識別機能を持つ車です。
持ち主が持つ鍵には電子チップ(トランスポンダ)が埋め込まれており、このチップに登録されたIDコードと車両側のIDコードが一致しているかどうか、車両側にあるエンジンコントロールユニット(ECM/Engine Control Module)が判断します。コードが一致すると、エンジンをかけることができるようになります。
仮に、ドアをこじ開けて車内に入りこまれたり、合鍵をイグニッションに挿しこまれたりしても、鍵と車両IDコードの一致がない限りエンジンはスタートせず、車は動きません。
ECU?ECM?
昔エンジンコントロールユニットはECUと呼ばれていましたが、自動車技術者協会、国際標準化機構ともにECUを電子制御装置の総称であるElectronic Control Unit の略称と定めたため、この記事では混乱を避けるため、現在エンジンコントロールユニットに相当する略称ECMを使用しています。ECMはエンジンの運転制御を総合的に制御するマイクロコントローラー(マイコン)を指し、このことから単に「コンピュータ」と呼ばれることがあるようです。
登録されているIDコードは暗号化されており、複製するのが非常に難しいため、高い防犯効果が期待できる反面、全く同じ機能を持つ合鍵を作成するのは難しくなります。我々のような鍵屋も時折、イモビキーの合鍵作成をお断りすることがあります。
「でも、中古車だし鍵も金属のギザギザの鍵だから、大丈夫でしょ?」と思われる方もおられるかもしれません。
しかし、日本では1990年代から徐々にイモビライザー搭載車が増えており、中古車でよく使用される刻みキーであってもヘッド部分にイモビ用のICチップ(トランスポンダ)が内蔵されていて、合鍵作成できないときがあります。
イモビライザーのメリット(盗難対策の効果)
イモビライザーを装備する最大のメリットは、車両盗難リスクを大幅に軽減できる盗難対策の効果です。複製が容易ではないIDの認証システムを使うことで、不正な手段を用いて無理やりエンジンをかけるという従来の手口が使用できなくなります。
イモビライザー搭載車を動かすためには持ち主と全く同じチップを埋め込んだ鍵を使うか、物理的にレッカー等で牽引するかしかありません。
車両の盗難は、車を所有する人であれば誰でも遭遇する可能性のある犯罪です。警察庁生活安全課の発表によると、2023年(令和5年)度に全国で起こった車両盗難の件数は、認知されているだけで5,762件に及んでいます。
近年、自動車盜の認知件数は劇的に減少し続け、2020年あたりからは新型コロナ感染症の影響もあったのか5,000件台まで急減しましたが、2022年に再び増加し、23年も若干ですが上昇しています。車両盗難は決して珍しい犯罪ではなく、誰もが経験する可能性のある被害なのです。

イモビライザー装備車の見分け方
ヨーロッパなどと違い日本ではイモビライザー搭載の義務化が検討されたものの、最終的には実施されませんでした。このため、欧州車などはイモビライザー装備車かどうかという見分け方が比較的容易なのに対して、国産車の場合は車種や年式によってばらつきがあり、困難を極めます。
例えば、トヨタの人気車種アルファードは2002年の初登場から全車標準装備ですが、ホンダの人気車フィットは2007年まで全車標準装備ではありませんでした。
フィットのように長年メーカーのラインナップにある車種は、「車が比較的新しいからといってイモビキーとは限らない」タイプの典型で、鍵屋泣かせでもあります。金属の鍵を使用するからといって、必ずしもイモビ非搭載とは限らず、見た目だけでは判断しづらいのです。
殆どの場合はその車の発売年で判断することになり、鍵屋などに問い合わせると年式を訊かれるのはこのためです。
スペアキーを作りたいのでイモビキーかどうか知っておきたい、という方は説明書を見たり、ディーラーに問い合わせるなど、確認をしておくのが良いでしょう。
一方、外国産の自動車はメーカーの国籍である程度、判別することができます。
例えばヨーロッパでは、1998年にEU諸国で販売される全ての新車へのイモビライザー搭載が義務化されましたので、ドイツやフランスのメーカーのものであれば1998年以降の新車はイモビライザー装備済みと考えられます。
詳しくはドイツが1998年1月から、イギリスが同年10月からだそうですが、いずれにせよ、1998年以降に発売された欧州メーカーの車は全車種イモビ装備済、と考えることができます。
メルセデス・ベンツなどは1998年以前からイモビライザー装備には熱心だったようなので、1998年以前に発売された車種については、年式やグレードを控えたうえで、ディーラーに問い合わせてみるのも良いでしょう。
メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン(VW)、シトロエン、ルノーなどなど、日本でも人気のあるメーカーがEU諸国に多いので、いわゆる「外車」に乗っている方はよほど古いタイプでない限り、イモビライザ装備済であると考えれば良いのではないでしょうか。
アメリカは1995年に義務化がされており、フォード・GM・シボレーなど、日本にも輸入されている人気メーカーの車は95年以降の新車にはイモビライザーが装備済と考えられるでしょう。
アメリカ・EUに続いて2001年にはオーストラリア、2007年にはカナダでも新車へのイモビライザー搭載が義務化されています。
▼関連ページ ▼関連ページ ▼関連ページ車検証を見てみよう
上記のように鍵屋などに車の鍵の複製を依頼するとき、必ず車の年式などを訊かれます。そのときに必要になるのが車検証です。
車検証には様々な情報が記載されていますが、公的な文書であるせいか何が何を意味するかが不鮮明です。
「年式」「型式」「グレード」と言われても、どこを見ればいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。ひとつひとつ説明します。
まず車の年式を知るためには車検証の「初年度登録年月」という箇所を見ます。
車の型式は「型式」に記載されています。そして「車台番号」はメーカーサイトでのグレード検索に使用します。
もしメーカーサイトでも検索できなかった場合は、AISなど外部のグレード検索で「型式指定番号」や「類別区分番号」を使用することができます。

イモビライザー装備が義務化されなかった日本では、イモビライザーが登場しはじめた頃から「オプション」での装備だったり、グレードによっては全車標準装備だったりした、という歴史があります。
このため、同じ車種でもグレードやオプションの詳細を知っておくことは無意味ではないのです。もしグレードやオプションの内容次第ではイモビ装備かか非装備かが分かれる、といった車種の場合は、メーカーサイトのグレード検索などを利用して調べておきましょう。
車のイモビライザーランプが点滅する意味は?
自力で確認がしたい人は、イモビライザー・ランプの有無で確認する方法もあります。イモビライザー搭載車には、メーターやインパネ付近に、セキュリティ・インジケーターランプが搭載されていることが多いからです。


エンジンが止まっている間、車や鍵の形をした赤いランプ(イモビライザー警告灯)が点灯または点滅します。このようにランプが点滅する車両であれば、イモビライザーが搭載されています。
車マークの点滅はエンジンを切っても消滅しないので、不気味な点滅だと感じる方も少なくないようですが、これはイモビライザが作動中という意味です。
ランプが点灯あるいは点滅していると、外からでも気づきやすくなりますよね?
窃盗犯が近づいたとき、このランプの点滅を見てイモビライザー搭載車だ、と敬遠してくれるかもしれません。インジケーターランプの点滅はそのような視覚的な効果も担っているのです。
また、車体そのものにセキュリティ関連のステッカーが貼ってあるかどうかも、判断基準の1つです。
イモビライザーが搭載された車であれば、その旨を示すステッカーが貼ってあることがよくあります。ステッカーの絵はメーカーによって異なるものの、車と鍵を組みあわせた図柄が一般的です。

ただ、中古車だとイモビ装備ではないのにステッカーが貼ってある可能性もあります。また、パネルを貼り替えたなどの理由で、イモビ装備車なのにイモビランプがない、という事例も確認されています。ほかの方法と併せて確認する必要があるでしょう。

【種類別】どのタイプならイモビキー?判別方法
さきほど日本ではイモビ装備が義務化されなかったため、どの年の新車ならイモビライザー搭載車か、なかなか断言し辛いと述べましたが、実はキータイプからある程度の判別がつきます。
というのも、特にスマートキーなど最新のタイプの鍵は技術的にもここ数年内に普及してきたものが多く、5年以内程度であれば国産車も十分にイモビライザー装備済である可能性が高いからです。
では、どれならイモビキーである可能性が高いのか、車の鍵各種を見ていきましょう。
刻みキー・メタルキー
ヘッド部分にキーシェルのついていない、金属のギザギザがついた鍵は最も古いタイプの鍵であることが多く、トランスポンダを埋め込む場所がないためイモビなし、と判断することができます。


可能性がある
逆に、刻みキーあるいはウェーブキーなどのメタルキーであるものの、ヘッド部分にプラスチック製のキーシェルが被せてある場合は、中にトランスポンダが埋め込まれている可能性が高く、年式・型式、車種によっては特定のグレードやオプションでイモビキーが混在しています。
リモコンキー

リモコンキーはボタンを操作するとドアの施錠や解錠ができるキーのことで、キーレスエントリーやワイヤレスキーとも呼ばれます。
従来の刻みキー(ギザ鍵)やウェーブキーといった金属製の鍵のヘッド部分にプラスチック製のキーシェルが被せてあり、このキーシェルに施開錠用のボタンがついています。電波の届く範囲であればわざわざキーをドアの鍵穴に挿しこむ必要がなく、たとえばポケットに入れたまま操作をしても施錠や解錠ができて便利です。
2000年代に発売された多くの車の鍵がこのタイプなので、未だにリモコンキーである方も多いのではないでしょうか?リモコンキーになると、イモビキーである可能性はぐっと高くなります。
カードキー

スマートキーに似た、ハンズフリーでの施解錠が可能なものの、リモコンボタンがないので遠隔操作のできないスマートキーのような立ち位置になってしまいがちなのがカードキーです。一時期のホンダやマツダ車に実装されており、レクサスでは現行モデルでもカードキーがつくものがあります。
持ち主が離れると施錠し、近づくと施錠するという便利なハンズフリー機能と、免許証やクレジットカードサイズと似たようなサイズで、ホンダのカードキーは財布に入るものもありました。
ホンダのカードキーは時代的な背景もあって、非常時用のメカニカルキーが別についていましたが、レクサスのカードキーにはメカニカルキーがしっかりと収まっています。
多くがリモコンキー標準装備の車種でのオプション装備だったようですが、時代的にもイモビキーだと考えて間違いないでしょう。
スマートキー

スマートキーは、リモコンのようなボタンがついていますが基本的にハンズフリーでドアの施解錠ができる鍵です。ボタンは遠隔からの操作や、トランクのドア操作のためにあります。
カードキーと同じく、車に近づくだけでドアが開けられたり、エンジンをスタートすることができたりします。
また、スマートキー対応の車はエンジンもプッシュスタート式になっていて、ツイストノブやイグニッションは姿を消してしまいました。スマートキーで車内にプッシュスタートボタンがあればイモビキーである可能性が100%に近い、と言えます。
なかにはエンジンのスタート方法で判断できる車もあります。例えばスズキの車はプッシュスタートであればイモビキー確定であると言われています。

イモビライザーとセキュリティアラーム
殆どの自動車にはセキュリティアラームシステムも装備されていて、ピッキングなどでドアを開けようとすると大音量でホーンが鳴り続けるようになっています。
最近のスマートキーなどですと、車を出る時はスマートキーの機能で施錠をしたのに、戻るときにメカニカルキーを使った、という場合でもセキュリティアラームが発動します。
外に出ているあいだにスマートキーが電池切れになり、仕方なくメカニカルキーを使って車内に入ろうとしたときに、ホーンが鳴り止まない、という場面に遭遇した人もいるのではないでしょうか。
イモビライザーの機能は、この車のドアの施解錠にも関わっていると誤解されていることが多く、セキュリティアラームが発動するのはイモビライザー搭載だから、と考える人も少なくありません。
しかし、イモビライザーそのものにはドアの鍵に関する機能はありません。スマートキーはよく「車両に登録が必要」と言われますが、要するに車両への登録は2通りあるわけです。
ひとつはその車の正当な鍵としての登録で、登録されたスマートキーのみドアやトランクの施解錠ができるというものになります。確かに、登録されていないスマートキーがドアの鍵を開けられたら大問題ですから、この登録が最も基本的な鍵と車の紐付けになります。
そしてもうひとつは、車両側ECUに装備されているイモビライザーとペアリングするための登録で、この登録が無効だとドアは開け閉めできても、エンジンがスタートしないので運転ができません。
このように最近の自動車には二重のセキュリティロックがかかっています。それだけに鍵を紛失したときは大変です。
特にスマートキーにおいては、全てのキーを紛失してしまうとディーラーではコンピュータの入れ替えという修理方法になるため、高額になってしまいます。
なお、鍵屋ではディーラーでのコンピュータ交換よりは安価で済む場合が多いですが、特殊な技術でスマートキーに登録し直すため、そこそこ値が張ります。
2010年頃からはバイクでもイモビライザーが普及し始め、2001年頃まで20万台で推移していたバイク盗の認知件数が2002年を境に下落しはじめ、2018年には15,292件でピーク時の約1/18となりました。
バイクにはバイクの揺れを感知して鳴るイモビアラームという乗用車のセキュリティアラームに似た機能がありますが、自動車同様、このアラーム機能も盗難件数が減少した要因の一つであると考えて良いでしょう。

イモビライザーキーはどうやって合鍵を作る?
先述したようにスマートキーをはじめ、イモビライザー装備車の鍵(イモビキー)は複製が困難です。
それでは、どのようにして複製するのがベストなのでしょうか?いくつか方法がありますので、詳しく見ていきましょう。
ディーラーでスペアを作成して貰う

単に鍵を追加したいという場合に限って最も確実で安価なのは、ディーラーでスペアを作成して貰うことです。追加であれば、現行の車のECUに新しい鍵を登録するだけで済みますので、新しい鍵の部品代と登録手数料程度で鍵が作成できます。
ただし、ディーラーに作成して貰う場合は、すぐには納品されない可能性が高いので、余裕のある人向けです。
特に海外のメーカーでは本社に発注する必要があるメーカーもあり(例:ダイムラーのメルセデス・ベンツ)、海外からの取り寄せになるため最低でも5日ほどかかってしまいます。
また、全てのキーを紛失してしまった、という全紛失の状態ではコンピューター交換(価格は10万~20万とされる)という選択肢しか提案されないと思いますので、ディーラーでコンピューター交換をして貰うか、対応できる鍵屋に依頼するか、かかる費用を比べて決めるのも良いでしょう。
一部のトヨタの鍵に注意
「86(ハチロク)」などで有名なトヨタ車の中にはマスターキーとサブキーという二種類の鍵が存在していた時期があります。サブキーはマスターキーよりも機能が制限されたもので、サブキーからは合鍵が作製できなかったり、トランクを開けることができなかったりします。
マスターキーを全て紛失してしまい、サブキーしかない状態から合鍵を作るとなると、ディーラーでは全紛失の場合同様「コンピュータ交換が必要」と判断されてしまいます。
サブキーがあるのだから、マスターキーも作成できるのでは?と思われがちですが、難しいようです。
無論これはディーラーができることをできないと言っているのではなく、当時のトヨタ車はそのようなセキュリティシステムを用いていたため、如何ともし難いのです。
初代アルファードやハリアーといった人気車種、200系ハイエースなどがこういった鍵システムになっていたようなので、2000年代初期のトヨタ車をお持ちの方は、マスターキーがある場合はマスターキーを紛失しないように注意しなくてはなりません。
▼関連ページイモビキー対応の鍵屋で作製して貰う

鍵屋のなかには自動車用の鍵作製に長けているところもあり、そのような鍵屋は複数メーカーの車種に対応していることが殆どです。
鍵屋では、全紛失であってもECUをリセットして新しいイモビ用のIDで書き換える等の作業を経て新しい鍵を既存のECUに登録します。このため、他にスペアキーが全くない状態でも、車側のコンピュータ交換をせずに鍵を作製することができます。
上述したようなトヨタのマスターキーとサブキーの問題に関しても、対応している鍵屋であればマスターキーがない状態からコンピュータを再設定してマスターキーの追加作製が可能です。
急いでいる場合や、鍵を全部紛失してしまって緊急対応が必要な場合、あるいはサブキーしか手元にないがスペアキーが作りたい、という場合は、スマートキー・イモビキー作製に慣れた鍵屋を頼るのがベストでしょう。
なお、窓ガラスを割られての車上荒らしや、レッカーで車を盗まれるなど、イモビライザーではどうしても対策できないこともありますので、くれぐれもイモビライザーがあるからといって油断してはいけません。

イモビライザーは後付けできる?
製造から25年以上が経過した「ネオクラシックカー」と呼ばれる車や、単にイモビライザーが全車装備になっていない車種や中古車など、イモビライザーが搭載されていない車もたくさんあります。そういった車両にイモビライザーのような防犯装置を取り付けたい場合、後付けは可能なのでしょうか。
国内ではイモビライザーが自動車メーカー各社で導入され始めた頃から後付けイモビライザーや防犯システムが開発されてきました。これらを専門業者に施工して貰い、防犯対策の一部とするのは盗難防止策として大変有効だと言われています。後付けイモビライザーにはアラームや様々な振動感知機能などが含まれていることも多いので、ECU導入前の自動車の機能をアップデートすることも可能です。
また、イモビライザー装備車であっても、純正以外の後付けイモビライザーを取り付けることで、防犯性能をより高いものにすることができます。
盗む側がメーカー純正のイモビライザーの解除方法を研究している以上、純正のイモビライザーでは防ぎきれない窃盗手段というのも存在します。イモビカッター、CANインベーダーやリレーアタックなどは純正のイモビライザーを無効化するための手法なので、他社製のものをつけている方が破られにくいというメリットがあるのです。
ドライブレコーダーで有名なユピテルが展開するゴルゴ(Grgo)、パンテーラ(Panthera)、加藤電機のバイパー(Viper)、といった国産ブランドをはじめアメリカのクリフォード(CLIFFORD) やロシアのオーサーアラーム(Author Alarm)など、有名ブランドがいくつかあります。
ただ、唯一のデメリットは施工と部品代でかなりの高額出費になってしまうということです。
イモビライザーはECUという車の電装部分に追加して配線するため、全くの素人がDIYで取付けられるものは少ないと考えたほうが良いでしょう。プロに取り付けて貰い、後付け商品としてしっかりと効果を発揮するように調整して貰うのがベストです。
そのぶん、インストールするため費用がかかります。後付けのセキュリティは簡単に見つかってしまっては意味がありません。そのような意味でも経験豊富なプロに依頼することになるため、後付けイモビライザーを検討している場合は、費用相場のリサーチも入念に行う必要があります。
後付けセキュリティメーカーの販売代理店や認定ディーラーは国内に点在していますので、気になる機種を取り扱っている専門業者に問い合わせてみましょう。
また、最近では小型化したものも出てきているので、バイクや重機、農機といった普通自動車以外の乗り物に取付可能という商品もいくつかあります。
イモビキーを紛失したときの対処法
イモビライザー搭載車は防犯性が高いと言われますが、キーを紛失してしまってはその防犯性能が損なわれ兼ねません。特に、外出先の駐車場などで紛失した場合、鍵を拾った人に車が特定されてしまう危険性もあります。
家の玄関の鍵も紛失したときは解錠だけでなくシリンダー交換をしたり、防犯のことを考えてコストがかかりがちですが、イモビキーの場合はどうすべきなのでしょうか。詳しく対処法を見ていきましょう。
遺失届を警察に出す
まず、探しても見つからない場合はやはり警察に遺失届を出します。イモビキーはそれさえあれば車両に乗り込みエンジンをスタートさせて車を運転することができてしまう鍵です。

遺失届を出していれば、誰かが届けてくれた時に連絡が来ます。また、都道府県警察のウェブサイトでは落とし物などとして届けられた遺失物のリストが公開されていることもあります。
運良く善良な人が拾ったのであれば、警察署や交番に届け出があるでしょう。
スペアキーの有無を確認する
それからスペアキーの有無をチェックします。もし家族など他の誰かがスペアキーを持っているのであれば、とりあえずそのスペアキーを使って急ぎ帰宅しましょう。鍵紛失でディーラーに相談する際には全てのキーを持参する必要がある場合が多いからです。
もしスペアキーが車内にある場合は、鍵を開けて貰うだけで車を動かすことができますので、JAFを呼んで解錠して貰うなどしましょう。
スペアキーが全くない場合は、車をそのままディーラーにレッカー移動するか、鍵屋を呼ぶしかありません。
いずれにせよ、防犯のことを考慮すると、新たにイモビキーを作製した方が良いでしょう。鍵を見つけた人が悪意のある人で、車が特定しやすい駐車場などにある場合は車を特定され盗まれてしまう可能性があります。
イモビライザーのIDは複製が非常に困難なため、新規にキーを作るのであれば、リセット(初期化)して再登録したりシステムごと交換したりする必要があります。大変な作業となり、費用も高くなりがちです。
ディーラーであれば純正キーを作製してもらえますが、イモビキーを紛失した場合は車側のコンピューターも交換することになるでしょう。そうなると作業が終わるまでに数日かかることになり、すぐには解決できません。
鍵屋の場合は、キーのIDを複製できるため、最短で即日の解決が可能です。とはいえ、イモビライザーに対応したキーを作製する知識や技術に加え、専用の作製装置も必要です。
そのため、イモビキーの作製に関しては、どの鍵屋でも対応できるわけではない、ということを覚えておきましょう。鍵屋にはメーカー、車種、年式、グレードを伝え、対応の可否を確かめることが大切です。
多くの出張可能な鍵屋は、公式ホームページに施工の事例を掲載しています。事例に自動車のイモビキー作製があるか、どのメーカーの車が得意かなどを調べると良いでしょう。
緊急度が低いのであれば、とりあえず車をレッカー移動し(※JAFでも対応可能ですがレッカー代が別途必要になります)、ディーラーに依頼するのも良いでしょう。
急いでいるのであれば、イモビライザーに対応可能な鍵屋を探し出してスペアキーの作製をして貰うのがおすすめです。状況によって適切な判断をしましょう。
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イモビライザーキーでも油断禁物
イモビライザーは盗難対策として有効な手段ではあるものの、万能ではありません。なぜなら、あくまで持ち主以外の者がエンジンを動かすことを阻止する装置にすぎないからです。
たとえば、無理やり車の窓をこじ開けたり割ったりする車上荒らしやいたずらに対しては、イモビライザーは効果を発しません。
また、盗難する側もイモビライザーの防犯機能を無効化する手口をいくつか生み出しています。
特に盗難されることが多いレクサスやランドクルーザーといった高級車はこれらの手口によってイモビライザーなどが無効化されて被害に遭っていることも多いのです。メーカー側も定期的に防犯対策技術を更新していますが、自動車窃盗に関しては長年続くイタチごっこで、盗む側の手口も巧妙化しています。
今ではイモビライザー装備車がスタンダードになりつつあり、これを破る方法もいくつかあるため、メーカー純正のイモビライザーに追加して他社製のイモビライザーを後付けしたり、ホイールロックやハンドルロックなど、全く別の防犯器具と併用したり、といった二重三重の策が必要になってきているようです。
イモビライザーキーは紛失すると大変!取り扱いは慎重に
このように、一長一短あるものの総合的にイモビライザーは車両盗難防止に高い効果を発揮するシステムです。車に搭載されているかどうかは、インジケーターランプの有無やステッカー、キーの種類などで判断できます。
しかし、住宅のハイセキュリティシリンダーと似たような理由で、キー紛失やキーを盗まれたりした時は『余計に大変』な鍵でもあります。
また、防犯性能が高いとはいえ、上述したように強力なイモビ破りの方法も出没していますから、慎重に取り扱わねばなりません。
これから新しい車を購入する予定の方は、最初から純正のスペアキーを作製しておくなどしておいた方が良いでしょう。
どうしても緊急対応が必要なトラブルに遭遇した際は、ぜひ鍵屋にご相談下さい。
鍵屋の鍵猿では車・バイク・自転車など乗り物の鍵開けに24時間年中無休で対応しています。刻みキーやウェーブキーの鍵穴からの作製も可能です。まずトラブルの状況や車種・グレードなどの情報をオペレーターまでお知らせ下さい。
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