強制執行の鍵開け費用は?手順や不在の場合の動産執行の流れも
この記事でわかること
- 強制執行の鍵開けにかかる費用
- 強制執行の流れ
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
強制執行の鍵開けにかかる費用はどのくらいなのでしょうか?
本記事では、強制執行による物件の鍵開けを行う場合にかかる費用や、「鍵屋が設定している料金」について触れるとともに、強制執行とは何か、どんなときに用いられるのかを鍵屋のプロが解説します。
どうしても鍵が見つからない場合もご安心ください。鍵の専門業者「鍵猿」にて鍵の解錠や交換を依頼できます。
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※この記事は、鍵屋がよく関わる「建物明渡しの強制執行についての簡易的な説明」と、「物件や金庫の開錠のために鍵屋に同行をご依頼いただく際にどんな料金が発生するか」をご紹介するものです。
強制執行に至るまでの手続等に関するお問い合わせにお答えすることは当社ではできません。必ず司法書士や弁護士の方などにご相談ください。
強制執行が必要になるのはどんな場面?
強制執行とは、債権者の権利を国家機関が強制的に実行してくれる手続きのことです。
執行官と呼ばれる裁判所職員が財産の差し押えや物件からの立ち退き手続きを行います。
簡単に言うと、貸主(債権者)に代わって執行官が支払命令を無視している債務者の財産を差し押さえたり、物件からの退去命令に従わずに居座り続けている入居者を強制的に立ち退かせる手続きです。
貸主がいつでも申立をできるわけではない
ただし、回収すべき債務があるからといって、貸主がいつでも強制執行の申立をできるわけではありません。
特に住宅に関しては借地借家法が生活の礎となる「住居権」を保護しているため、賃料未払いで居座る貸借人の権利が強く、容易に立ち退きさせることができないようになっています。
不動産の賃貸案件では、賃貸借契約が解除されたうえ建物明渡しの訴訟が起こされ、裁判所から立ち退きや未払い賃料の支払い命令が出ているにも関わらず賃借人が物件に居座って応じない、という状況になって初めて大家や管理会社といった債権者は強制執行の申立をすることができるようになります。
家主は賃借人を追い出せない
賃借人が居座っているなら家主は合鍵などを使って追い出してしまえば良いのでは、と思われるかもしれませんが、そういった行為は「自力救済」といって、違法行為にあたります。
勝手に住居にあるものを売却したりして借主に損害が生じた場合、損害賠償請求される可能性もあるため、賃借人と賃料の支払いについて問題が生じたら、弁護士や司法書士に相談しましょう。
※弁護士、司法書士に動産執行の申し立てを依頼する場合は、委任状が必要。
強制執行は最終手段!
このように、強制執行という手続は債権者が「自力救済禁止の原則」に則って、ことを進めるために「使わざるを得ない最終手段」、と言うことができます。
事実、賃借人が夜逃げしてしまったり、話し合いに応じなかったりすると、他に頼れる手段はほぼない、と言えるかもしれません。
強制執行に必要な手続きと流れ
それでは実際に強制執行を行うためには、どのような流れで手続きが必要になるのでしょうか。
「長期間に及ぶ家賃滞納」が原因で強制執行を行うケースを例に説明します。
必要書類を用意する
強制執行の申立のためには、「債務名義」、「執行文」、「送達証明書」の3つが必要になります。
まず債務名義ですが、これは債務者の債務を公的に証明する文書で、「確定判決」、「仮執行宣言付判決」、「和解調書」、「調停調書」、「執行認諾文言付公正証書」、「仮執行宣言付支払督促」のいずれかになり、建物明渡し請求訴訟の確定判決や、和解調書が該当します。
建物明渡しの強制執行の場合、「勝訴の確定判決」が債務名義の多くを占めると思われます。
執行文とは、債務名義の執行力の範囲を公証する文言、すなわちこの判決には強制執行を行う効力がある、と証明する文書で、判決を出した裁判所の書記官が債務名義の正本の末尾に付記してくれます。
提訴の際に合わせて「執行文付与」の判決が貰えるように手続きをしておくこともできますし、判決確定後に執行文付与の申立をすることもできます。
送達証明書は、債務名義が賃借人に間違いなく送達されたことを証明する裁判所の書面のことで、こちらも判決を出した裁判所に申請します。
強制執行の申立を行う
民法上、強制執行は債務名義が賃借人に送達されなくては開始することができないと定められているため、送達証明書までの書類が揃って初めて、強制執行の申立をすることが可能になります。
強制執行の申立は、判決を出した裁判所ではなく、物件の所在地を管轄する裁判所の執行官に対して行います。判決を出したのが東京地方裁判所であっても、問題の物件が横浜にあるのであれば、債権者は横浜の裁判所の執行官に申立をします。
明渡しの強制執行申立はベースになる訴訟で未払い賃料の回収についても何らかの決定が出ていることが多く、これをもとに動産執行の申立もすることが多いようです。
なお、動産執行は基本的に通知される事はなく、債権を回収するまで何度も行われる可能性があります。
また、動産執行を行っても対象となる財産が発見できず、執行不能に終わるケースもあります。
「予納金支払い」の案内がある
申立に必要な書類と共に申立書を提出すると、予納金支払いの案内がありますので、支払いをします。
予納金を納付すると執行官との打ち合わせが始まり、直接面談か電話で「明渡しの催告日」と「断行日」、そして明渡しの期限が決まります。
このとき、執行官から「賃借人の性格や健康状態、家族構成や高齢者がいるかどうか」、「執行に対して抵抗しそうか」、といったことを訊かれます。
特に入居者が執行に抵抗して、暴れたりする危険な人物であれば、警察に援助要請が必要になりますので、必ず伝えるようにします。
明渡しの催告日は、強制執行の申立から二週間ほど経過した日が選ばれます。
明渡しを催告する
明渡しの催告日には、執行官、立会人(申立人と利害のない人物。裁判所の職員が選ばれることも多い)、賃貸人あるいはその代理人、執行業者、そして鍵屋が物件へ向かい、執行官が実際に建物内に入って賃借人に「自主的な立ち退き」を要請します。
公示書を貼り、貸借人に催告書を渡す
そして物件が強制執行の対象であることを掲示した公示書を貼り付け、賃借人には断行日(強制執行が行われる日)を記載した「催告書」を渡します。
物件の引き渡し期限日は、催告日から一ヶ月が経過した日と法律で定められています。
強制執行が行われる「断行日」は通常、この引き渡し期限日の数日前に設定されます。
「住人がドアを開けない」 or 「不在の場合」は鍵屋が解錠
このとき、執行官らは物件内に入って占有の状況を確認します。
しかし、「住人が自らドアを開けない」、あるいは「不在の場合」は鍵屋が解錠します。
催告日の時点では住人がまだ物件で暮らしている可能性が高いこともあって、この日の鍵開けは基本的に「非破壊解錠」が求められます。
また、執行業者はこのとき「住居内の家財といった動産の量を確認」して、それらの搬出や保管する際の見積を作成します。
催告日の鍵開けの料金
それでは催告日に鍵屋に支払う料金は、どのような内容になっているのか、鍵猿の料金設定を例に簡単に見て行きましょう。
動産執行や自動車の強制執行に鍵屋が同行する際も、同じ料金設定が適用されますので参考にして下さい。
出動料
¥11,000
通常は出張料無料となっていても強制執行に同行する際は別途、この料金が発生する鍵屋が多いです。
鍵猿では、もし作業が発生した場合、この出動料は頂きません。ですので、実質的には出動料=キャンセル料金、とお考え頂けます。
解錠料金
¥8,800~
玄関
刻みキー(子鍵がギザギザの鍵) | ¥8,800~¥15,600 |
ディンプルキー(子鍵に複数の凹みがある鍵) | ¥19,800~¥27,500 |
自動車
解錠 | ¥8,800~ |
ウェーブキーなど鍵作成 | ¥16,500~ |
イモビライザー搭載車 | お問い合わせ下さい |
これは通常の鍵開けと同じように、シリンダーの難易度によって変動します。
一般的にピン数の多いピンシリンダーやディンプルキーなど、防犯性に優れているタイプの鍵は手間や時間がかかり料金が高くなります。
また、開錠するシリンダーの数だけ、コストがかかることになります。
もし上下に鍵のついているドアであれば、2箇所分の鍵開け料金が必要になります。
待機料金
¥2,200/10分毎
催告日は執行官が住人に「明渡しの期日・断行日」を伝えに行く日です。
まずは執行官が住人に玄関ドアを開けてくれるように交渉します。
これがスムーズに終わればよいのですが、執行官が説得を試みている間、鍵屋は待機していることになります。
そして待機している間、鍵屋は他の仕事を請け負うことができません。そのため、開錠料金のほかに待機料金というものが設定されています。
この料金は、住人が自らドアを開けた場合でも待機していた時間分の料金が発生することが殆どです。
鍵猿では、現場到着から10分が経過した後に計測を開始し、そこから10分超過毎に2,200円の待機料金が発生し、作業開始あるいは作業が不要、と判明するまで計測します。
キャンセル料
¥11,000
執行官の交渉で、住人が自ら玄関ドアを開けてくれることもあります。
この場合、鍵屋が開錠する必要がなくなりますので、キャンセル料というものを設定しているところもあります。
鍵猿では、作業不要と判明した場合、出動料の11,000円と待機料金(発生した場合)を頂くことになっていますが、出動料・キャンセル料・待機料の3つが発生する鍵屋もあります。
基本料金や割増料金としているところも
このように、解錠作業が発生する・しないを問わず、何らかの料金が発生するのが執行同行時の特徴です。
作業が発生しなくても、出動料・待機料・キャンセル料が発生して最低でも2万円ほど必要になります。
鍵猿では、作業不要の場合は出動料の11,000円に待機料を加えた総額となりますので、一般的な鍵屋よりはお安くなる傾向にあります。
鍵屋によっては、これら細かい料金設定はせずに、「基本料金」や「割増料金」を設定しているところもあります。
鍵屋によって費用は異なる
鍵屋の多くが強制執行の同行は「鍵屋が一度は経験する案件」と言いますが、通常料金だけでいいのか、別料金や割増料金が発生するのかはっきりしないところも多いのが現状です。
もしホームページの料金表に強制執行などの同行に関する記載がない場合は、電話やメールなどでのご確認をおすすめします。
断行日の強制執行と鍵屋の料金
明渡しの催告をしたときと同様に断行日にも執行官、立会人、賃貸人あるいは賃貸人の代理人、執行業者、鍵屋が物件を訪れ、もし住人が不在あるいは協力的でない場合は、鍵屋が鍵を開錠します。
そして執行業者が物件から家財などの荷物をすべて運び出し、断行日以降に部屋に戻って再び占有したりしないよう、鍵屋が玄関ドアの鍵を交換して強制執行は完了します。
運び出した荷物は執行官が一定の処理をする
運び出した荷物は「目的外動産」と呼ばれ、執行官が一定の処理をすることが可能になっています。
住人が持ち出したり、引き取るのが理想ですが、そうならない場合は執行官が保管したり、破棄、即日売却、動産執行など、残置物の価値や債務者の意思に沿って適切な処置がなされます。
例えば、住人が引き取りの意思を見せている場合は執行官が保管し、後日、本人あるいは本人の家族などに引き渡します。逆に住人の意思確認が難しく、売却もできそうにない物品が多い場合は破棄処分としたり、即日売却で債権者が買い取って処分したりします。
断行日になると住人は既に退去していることが多いため、解錠料金が発生する可能性が高いです。
また、この日は後で鍵を交換しますので、催告日のセクションでご紹介した料金の他に、鍵交換の費用も必要になってきます。
鍵交換の料金
¥11,000(交換作業費)+部品代
部品代の例
刻みキー、ハイセキュリティシリンダー | ¥16,500~¥27,500 |
ディンプルシリンダー | ¥27,500~¥55,000 |
電子錠 | ¥60,500~¥110,000 |
シリンダーと錠前のセット (ドアの素材による変動あり) | ¥38,500~ |
解錠して荷物を運び出した後、その物件に住人だった債務者が勝手に戻らないよう、玄関ドアの鍵を交換することになります。
鍵の交換も通常と同じ作業料金と、部品代金(交換するシリンダーの価格)であることが殆どです。
強制執行用の料金設定が用意されているところもあります。
建物明渡しの強制執行と動産執行
鍵屋が関わることも多い建物明渡しの強制執行は動産執行との合せ技であることがあります。
動産執行も並行して手続きされている場合は、賃借人に建物から立ち退いて貰う明渡しの強制執行と、債務者が残した物品を差し押さえる動産執行が同時に行われます。
動産執行では、差し押え禁止に該当する物品があり、家賃滞納者の残置物などは殆どがこれに該当すると考えられています。
禁止されているもの以外は債権者が買い取って処分することができるため、並行して手続きをすることがあるようです。
差押禁止財産:
(1)生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳、建具など
(2)66万円までの金銭
(3)債務者の仕事に必要な器具、備品類
ただ、明渡しの強制執行は一定の期限を設けて債務者に対応を促す執行です。
これにあわせて行われる動産執行は、通常の動産執行とは違った流れで行われていると言って良いでしょう。
従来の動産執行との違い
従来の動産執行では、支払命令などに応じず借金返済の滞納を続ける債務者の住居あるいは会社に執行官らが訪れ、所持品を差し押さえるため、動産執行の日時が債務者に通知されることはありません。
動産執行は債務者の所持品の差し押さえが目的です。
それらを事前に隠されたり破棄されたりしないよう、催告日のような事前通知はなく、執行官が抜き打ちで訪問します。
執行官は基本的に債務者が在宅のときに訪問する
また、債務者本人が不在のときに差し押さえに行っても意味がない、という案件も多いです。
そのため、執行官は基本的に債務者が在宅のときを狙って訪問する傾向にあり、鍵屋の同行は建物明渡しのときのように「必須」ではありません。
一方で明渡しの催告日のように債務者が居留守を使ったり、立て籠もって執行を妨害する、ということもありますし、住居内、あるいはオフィス内などに金庫があると判明していることもあります。
そのような場合、執行官は債権者側が手配した鍵屋と立会人を連れて債務者を訪問します。
金庫の鍵開け料金
¥8,800~
動産執行される債務者には多くの場合、回収できる金銭や預金がありません。
ですので、可能性としては低いのですが、住居やオフィス内に金庫がある場合は、金庫の解錠料金が発生します。
家庭用金庫 | ¥8,800~¥19,800 |
業務用金庫 | ¥33,000~¥110,000円 |
強制執行の鍵開けなら鍵屋の鍵猿へ!
強制執行の鍵開けにおいては、執行官や執行業者、立会人などを待たせることがないよう、確かな技術を持っている技師が必要になります。
どんなに難しい鍵でも技術とノウハウで冷静に対応し、できるだけ短時間内に作業を終わらせることのできる鍵のプロが必要でしょう。
また、のちのち支払う料金でトラブルにならないよう、作業前に総額がわかり、全てが明確な鍵屋が好ましいです。
「鍵猿」は安心の作業前見積り&作業後支払い
鍵猿では、強制執行の同行に対応しています。
長年培った技術のおかげで弁護士事務所様からのご依頼も多く、事前の見積りもわかりやすい、と好評です。
料金の支払いは作業が終わった後で、現金またはクレジットカードがご利用可能です(VISA, MASTER, JCB, AMERICAN EXPRESS)。
ただ、地域によってはクレジットカード決済をご利用頂けない場合もございますので、予約時にオペレーターにご確認下さい。
強制執行をしめくくる鍵交換もぜひご依頼ください!
鍵屋「鍵猿」には、高い技術を持ったプロの錠前技師が多数在籍しています。
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