解錠と開錠の違いは?メリット・デメリットや費用を紹介
この記事でわかること
- 「解錠」と「開錠」の違いについて
- 「解錠」と「開錠」それぞれのメリット・デメリット
- 鍵屋に鍵開けを依頼した際の費用相場
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
鍵を開けるという意味がある「かいじょう」には、「解錠」と「開錠」の2通りの表記があるのをご存知でしょうか?
鍵屋やDIY関連のサイトでよく見かけると思いますが、それぞれ異なる意味で使われるので正しく理解しておきましょう。
今回は、「解錠」と「開錠」の意味と、それぞれのメリットやデメリット、解錠や開錠の前にすべきことなどについて説明します。
鍵屋に鍵開けの依頼を考えている方に向けて、費用の相場なども紹介していますのでご安心ください。
目次
解錠と開錠の違いは?
解錠と開錠は何が違うのでしょうか。
どちらも「鍵を開ける」ことを意味しますが、その「開け方」が異なるのです。
解錠とは、鍵穴を操作して錠前やドアなどを壊すことなく鍵を開けることを意味します。
一方、開錠とは、広義で「鍵を開けること」を意味します。鍵を開けることができるすべての方法を含むという意味で、転じて鍵を開けられるのであれば手段は問わない、というふうに説明されることが多い方法です。
解錠の詳しい意味は?
「解」という漢字には、「ほどく」「ときあかす」(小学館『大辞泉』)といった意味があります。
そのため、鍵や鍵穴を破壊することなく、「もつれたものをもとに戻す」ように鍵を開けるのが解錠です。
「鍵を開ける」というときに、多くの人がイメージするのはこの「解錠」の方ではないでしょうか?
鍵屋が依頼を受けて鍵を開ける際は、解錠になるケースが多いです。専用の道具を使ってピッキングする場合も解錠となります。
ドアスコープがあるドアの場合には、ドアスコープを外して専用の器具を差し込み、解錠することが多くなります。
室内側から鍵を開けることになるため、鍵を壊さずに開けられるわけです。
開錠の詳しい意味は?
「開く」という言葉には「そこを占拠している物やさえぎっている物を取り除く」(三省堂『新明解国語辞典』)という意味があり、「解く」とは少し印象の異なる言葉になっています。
ドアやガラスなどを破壊しても、鍵そのものを壊しても、鍵を開けることができれば開錠になります。
ときには鍵屋もドリルやサンダーなどを使って、鍵穴からシリンダーごと壊して開けるといった手段を取ることがあります。
人命がかかっているなど緊急性が高いときや、接着剤を入れられた・鍵穴自体が壊れているなどといったケースはこのような方法で開錠せざるを得ません。
ただ、そういった鍵の一部やすべてを破壊する行為を含む場合、鍵屋では「破壊開錠」或いは「破綻」と区別して呼ぶことがあります。
ドリリングで鍵穴を破壊するなど、鍵本体を損傷させて鍵を開けることを「破壊開錠」或いは「破綻」と呼んでいます。
一般的には、開錠の方が解錠よりも早く済むことが多いです。仕組みが単純な古い鍵などは開錠よりも早く開けることができたりします。
解錠のメリットとデメリット
さて、解錠にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
鍵を壊さずに開けられるということに、大きなデメリットはないように思えるかもしれません。
しかし、コストと時間という側面を見た場合、解錠にもデメリットは存在するのです。
解錠するメリット
解錠することのメリットは、やはり鍵を壊さずに開けられる、ということです。
賃貸物件の場合、鍵は入居者のものではなく管理会社や大家の所有物になります。入居者の過失で鍵をなくしてしまい、どうにもならない状態で鍵を壊して開ける(開錠)ためには、管理会社や大家の許可が必要です。
許可なく鍵やドアを壊してしまうと、あとでトラブルになることもあり、壊したものの修理費用を請求されるだけでは済まされず、賃貸契約の解除つまり退去を命じられる可能性もあります。
(※とはいえ、借地借家法のお陰で借主の方が守られる可能性が高いので、追い出されることはないかと思います)
賃貸物件で鍵が開かない場合には、解錠を選んでトラブルを回避しましょう。また、解錠を選ぶことで、交換費用など余計な負担を免れることができます。
解錠するデメリット
解錠することのデメリットは、基本的に鍵が開くまで時間がかかることです。
場合によっては、開けるまで1時間以上もかかってしまうことがあります。
ただし、仕組みが簡単な鍵は解錠の方が早いですし、シリンダーに超硬金属などが使われているものを破壊するよりは、解錠の方が早く済む場合もあります。
また、解錠を希望していても、実際にできるかどうかは鍵屋に状態を見てもらわないとわからない、というのもデメリットに入るかもしれません。
ちなみに、正当な理由もなく特殊開錠用具を所持していると「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」、通称「ピッキング禁止法」に抵触します。
代わりになるようなもので素人がピッキングすると、鍵が壊れてしまうことも多々あります。
鍵を壊してしまっては、結局のところ開錠するしかありません。ピッキングによって解錠したい場合は、鍵屋に依頼しましょう。
開錠のメリットとデメリット
では開錠することには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ときに鍵を壊してしまうこの方法には、デメリットしかないように見えますが本当にそうなのでしょうか。
開錠するメリット
開錠、特に破壊開錠のメリットは、手段を選ばずに最短で確実に開ける方法をとることができるところです。早く開けることができればトラブルも早く解決します。
入居者と連絡がつかないときの安否確認や、重要書類が取り出せなくなった金庫を急いで開けたいときなど緊急性が高いときには、基本的に開錠を選択することが殆どです。
自転車の鍵や南京錠など、開錠の難易度が低い鍵であれば、業者に依頼せずとも自分で開けることが可能です。
ただし力が必要だったり、ツールが必要だったりするので注意が必要です。詳しくは、こちらの自転車のコラムをご覧下さい。
▼関連ページ開錠するデメリット
開錠するデメリットの最たるものは、費用が多くかかる、ということです。
開錠を選ぶ場合は鍵を破壊してしまうため、まず鍵を交換する費用が必要になります。
人命がかかっているなど、よほどの緊急性がある場合を除いては、費用対効果を慎重に考えた方がいいでしょう。
壊したのが鍵だけではなく、ガラスを割ったりドアごと蹴破ったりした場合には、それらの原状回復にも費用が必要となります。
特に緊急を要しないものの、開錠せざるを得ない状態になっている場合では、必ず先に見積もりを取りましょう。
開錠にかかる費用とシリンダー交換にかかる費用の両方を知り、納得したうえで開錠するのであれば特に問題はありません。
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解錠と開錠ではかかる費用も異なる
解錠の費用相場
解錠の費用相場は、鍵の種類によって異なります。ギザギザの山鍵の場合、ギザギザの数によって解錠の難易度に差があるため、費用も¥8,000~¥15,000程度と幅が広くなっています。
更に解錠が難しいディンプル錠の場合は、¥15,000~¥25,000程度です。
カードキーなどの特殊な鍵である場合には、さらに費用がかかるでしょう。
また、鍵のついているドアの種類によっても、解錠の費用は異なります。
例えば、ドアスコープのついているドアの場合はドアスコープから特殊な機材を使って簡単に開けられるため、鍵がディンプル錠であっても解錠の費用は安くなります。
刻みキー | ¥8,000~¥15,000 |
ディンプルキー | ¥15,000~¥25,000 |
特殊な鍵 | ¥20,000~ |
開錠の費用相場
開錠の費用相場は、鍵を開けるだけならディンプル錠の解錠費用相場と同程度です。しかし、鍵の交換やドアの修理などに別途費用がかかります。
開錠したうえで新たに鍵を設置する場合、開錠と鍵交換の2つの作業を行うため費用は高くなります。
ドアやガラスなどを壊した場合には、さらに修理費用がかさむでしょう。人命がかかっているなど緊急性が高い場合には、見積もりを取っている余裕がないかもしれませんが、そうでない場合には、見積もりを取ってから解錠と開錠のどちらにするか決めましょう。
鍵を紛失して解錠した場合には、なくした鍵を拾った人に悪用される可能性があります。
鍵を壊さずに開けた場合でも、防犯上の理由から鍵交換をおすすめします。賃貸物件の場合は、鍵を紛失したときの鍵交換が義務づけられているケースもあるでしょう。
解錠する場合でも鍵交換をするのであれば、鍵交換の費用も加算して見積もりを取る必要があります。
解錠や開錠の前にすべきことは?
実際に解錠や開錠の依頼をする前にすべきことは、どのような内容なのでしょうか。
鍵をなくしたときにすべきことと、業者に依頼するときにすべきことについて詳しく説明します。
鍵をなくしたときにすべきこと
鍵をなくしたと気づいたとき、大抵の人は慌ててしまいます。しかし、まずは落ち着いて服のポケットやかばんの中などを探し、本当になくしたのかどうか隅々までチェックしましょう。
やはり鍵をなくしたようであれば、最後に鍵を見た場所を思い出してください。最後に鍵を見た場所からその日通った経路を確認します。
近い場所は自分の足で探しにいってもよいのですが、電話番号のわかるお店などであれば電話して鍵の落としものがなかったかどうか聞いてみましょう。
鍵が落ちているのを見つけることができれば、開錠や解錠の必要はなくなります。
1日の自分の行動を思い出し、丁寧に辿っていってください。
いくら探しても見つからなかった場合には、警察へ行き遺失届を提出します。
すでに落としものとして警察に届けられていれば、開錠や解錠をしなくて済みます。
賃貸住宅の鍵をなくした場合は管理会社や大家に連絡をし、どのように対処をすればよいか相談しましょう。
賃貸契約書に、鍵をなくした場合には必ず報告しなければならないと記載してあるかもしれません。必ず契約内容を確認しておくことをおすすめします。
鍵をなくしたことを管理会社や大家に隠したままでいると契約違反になる可能性もありますので、連絡して相談することを怠ってはいけません。
開錠あるいは解錠して鍵を交換するのは、これらの手続きをすべてやり終えたうえで、最後に行うことだと頭に入れておきましょう。
業者に依頼するときにすべきこと
開錠や解錠を業者に依頼するときには、まず業者を選定する必要があります。
ホームページなどを確認して、複数の業者の情報を比較検討してください。
見積もりを依頼するときには、開錠の費用なのか解錠の費用なのかをしっかりと確認することが大切です。
費用が安くても、十分な技術や知識がなくては意味がありません。かかる費用だけで決めず、その業者が持っている資格や、施工実績などもチェックしてから決めましょう。
解錠を希望していたにも関わらず開錠されてしまっては、元に戻すことができません。どちらを希望しているのか、見積もりを依頼する段階で間違いのないように確認しておく必要があります。
解錠を希望していたけど、どうしても開錠になると伝えられた場合には、理由をしっかりと確認し、他の鍵屋でも同じ結論になるのかどうか確認した方がよいでしょう。
鍵屋によっては、技術や知識が足りないがゆえに、解錠できないという可能性もあります。
技術や知識なども含めて総合的に判断し業者を決めるのがよいでしょう。
解錠か開錠かは状況に合わせて選ぼう
業者を選ぶときには、解錠と開錠のどちらを希望するのか最初からはっきりさせておきましょう。
そうすることで、見積もりも取りやすく、業者の選定もしやすくなります。
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