民泊とスマートロックは相性抜群!導入のメリットや選び方は?
この記事でわかること
- スマートロックの仕組みと民泊におすすめする理由
- スマートロックの選び方と種類について
- 導入方法と依頼先について
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
近年、旅行などで宿泊する際に、「民泊」を選択する人も増えてきています。民泊は多くの人が出入りするため、鍵の管理方法に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、民泊と相性の良いスマートロックを紹介するとともに、導入のメリットや選び方についても解説しています。
実際にスマートロックを導入したいとなったときもご安心ください。鍵屋であれば、お客様それぞれに合ったスマートロックを提案し、正確に設置することができます。
目次
民泊とは
かつての日本では農村や漁村の民家に宿泊することを指していました。現在では、個人が所有する物件の一部あるいは全てを活用して宿泊などに利用して貰う「バケーション・レンタル」での意味合いが強くなりつつあります。
日本でこのようなバケーション・レンタル型の民泊が普及し始めたのには、あらゆる観光地での宿泊施設不足、という背景があります。国家的な指針としてインバウンド増加を目指し、観光立国となることを目指してきた日本ですが、増加する外国観光客のニーズに答えられるほど豊富な数の宿泊施設があったわけではありません。
この危機的な状況に政府が規制を緩和し、新法を定めたのが2017年(住宅宿泊事業法、施行2018年3月)です。
スマートロックとは
しかし、民泊業とスマートロックとの繋がりとは、どういったものなのでしょうか。
電池で動作する電子錠の一種。錠前を通信可能にし、錠本体とスマートフォンなどの端末を通信させることで施解錠を行う機構のことです。
日本では国産製品が立て続けにリリースされた2015年がスマートロック元年、と呼ばれたりしますが、その背景にはBLE(Bluetooth Low Energy)という低電力通信方式の普及があったと言われています。
確かに、Bluetooth は我々にも馴染み深い通信方式ではありますが、ワイヤレス機器などは長い間かなりバッテリー消費の激しいものでした。この消費電力が劇的に押さえられたことによって、スマホなどの端末と通信するスマートロックが電池だけで十分に長い期間、稼働するようになったわけです。
民泊とスマートロックは相性が良い?
スマートロックは電子錠の一種であり、そのような側面から見ると「物理キーを用いなくても良い」という点で民泊のニーズに合う機能を持っている、と言えます。
しかし、数ある電子錠の中でも「スマートロックが」と限定されるのには理由があります。Wi-Fi内蔵型あるいはWi-Fiにアクセス可能なスマートロックが登場したから、です。
先述したように、スマートロックの錠本体と端末との間で使用される通信方式はBluetoothです。Bluetooth は省電力ではありますが、通信速度は遅く、遠くまで届きません。電子錠を使用するユーザーのデータやアクセスログは、別途USBケーブルなどで吸い出す必要がありました。
しかし、スマートロックがWi-Fiというネットワークと繋がることによって、「遠隔操作」そして「遠隔での履歴閲覧と鍵管理」というものが可能になったのです。
遠隔操作とは、スマートロックが設置された施設から離れたところからの施解錠、解錠用の暗証番号の発行、暗証番号への期限設定、解錠履歴の確認、といったことを意味します。
民泊と「スマートロック」が相性がいい、と言われるのはまさにこの「遠隔操作が可能」な点においてで、特に「遠隔での鍵発行、履歴閲覧」といった部分がホストの「業務軽減に貢献する」ことが主な理由となっています。
民泊でスマートロックを導入するメリット
立地や規模に関わらず、スマートロックを導入することは、民泊のホスト側とゲスト側どちらにも「有意義な」話だと言われています。具体的にどういうことなのか、見ていきましょう。
業務を効率化できる
民泊につきもので、意外と煩雑な業務が「鍵渡し」です。ホテルなどとは違い、民泊ではホストがゲスト(宿泊客)に物件の鍵を渡さねばなりません。ホスト本人が鍵渡しをすることもあれば、代行サービス業者が鍵渡しの現場に赴いている、という物件もあるでしょう。無人化を試みているホストのなかにはキーボックスを利用している人も多いようです。
しかし旅行にアクシデントはつきもので、待ち合わせの場所にゲストがなかなか時間通りに来ない、キーボックスが開かない、キーボックスに宿泊先の部屋とは違う鍵が入っているなど、ささやかなトラブルが大変手間のかかる業務となってしまいがちです。ゲストが宿泊中に鍵を紛失してしまうこともありますし、鍵の返却忘れなどもあります。
鍵を紛失されたり、返却しないまま持ち帰られたりすると、ホストは防犯性を維持するために最低でもシリンダー交換をしなくてはなりません。そのようなことが頻繁に起こっていたら、出る利益も出なくなってしまうでしょう。
ところが、スマートロックをはじめとする電子錠の殆どが搭載している暗証番号での解錠機能を利用すれば、予約が成立した時点で期限のついた暗証番号を発行するだけで済みます。
遠隔操作が可能であれば、たとえその暗証番号でエラーが出ても、再度発行し直すなどして対応することができます。鍵に関する些細なトラブルが起きるたびにホストは現地に赴かなくてもよくなりますし、鍵渡しのためにゲストを待つ必要もなくなります。
要するにスマートロックは、何らかの宿泊管理アプリなどと連携している必要はありますが、セルフチェックイン・チェックアウトそして鍵渡しと鍵回収といった「フロント業務」をすべてまかなってくれるわけです。
昨今では、AirbnbなどのようなOTA(Online Travel Agent、ネットの旅行代理店)を利用するゲストも多く、殆どの民泊向けスマートロックシステムがこれらOTAなどのサービスと連携可能になっています。このことについては後ほど詳しく触れましょう。
セキュリティを強化できる
二番目の大きなメリットは、通常の鍵運用と同じように、電子錠にすることでセキュリティ面を向上させることができる、ということです。
まずスマートロックはじめ電子錠や電気錠の多くには鍵穴がありません。スマートロックには、室内のサムターン側だけにツマミを回す機器を取り付けているものがありますが、民泊のようにゲストを迎える場合は室外側にテンキーやカードリーダーを設置し、鍵穴をふさいでしまうのが通常です。
ピッキングは不可能ですしサムターン回しも使えないでしょう。
暗証番号は第三者に知られてしまったとしても、その番号を破棄して無効化し、悪用対策をすることができますし、そもそも物理的な鍵を使わなくなるため、紛失や未返却のリスクがなくなります。
物理キーを紛失してしまったり、持ち帰られたりしてしまうと、そういった鍵の悪用も想定しないといけませんが、暗証番号による施開錠なら暗証番号を紛失してしまってもシリンダー交換の必要はなくなります。
利用者の状況を把握できる
スマートロックが提供するデータには解錠履歴があり、いつゲストが部屋に入り、出て行ったのかがわかりやすくなっています。鍵が解錠されたら通知が来るように設定しておけば、新しいゲストがいつチェックインしたのかがすぐにわかりますし、逆に時間内にチェックインしないゲストがいたら連絡を取ってみるなど、きめ細かな対応が可能になります。
また、ホテルと違い、民泊施設によってはゲストが2泊以上しなくてはならないので、ゲストが外出しているあいだに清掃を済ませる、といった施設管理に活かすこともできます。
利用者にとっても利便性が高い
利用者(ゲスト)にとってのメリットは、ホストにとってのそれと並行する部分があります。チェックイン・チェックアウトの無人化は、ゲストにとってもメリットです。ホストから鍵を受け取るために待ち合わせ場所に赴く必要がなくなりますし、時間を守らねばならない、という制約もなくなるため、行動の自由度が上がります。
また、鍵を紛失する恐れもないので、気楽に旅行先で楽しい時間を過ごせるでしょう。暗証番号ではなくカードキーだったとしても、物理キーを紛失したときほどの大事にはなりません。コスト負担はやむを得ないかもしれませんが、紛失したカードキーは登録削除することで使えなくなり、悪用されることに怯える必要もありません。
旅行者にとって旅先での持ち物が減るというのは大事なことです。物理キーは決して大きな荷物ではありませんが、その管理には責任が伴います。そういったものが少しでも軽減されるだけで、ストレスが大きく緩和されます。
グループで民泊を使用する際には、物理キーがあると「誰が鍵を持つのか」という問題が生じます。鍵管理を任された人は、誰かが宿泊施設に戻りたいと言い出したら鍵を渡すか、一緒に帰ってやらねばなりません。旅行先での貴重な時間にロスが出る可能性も高く、ルート変更や、観光内容変更の原因になったりもします。暗証番号であれば、グループメンバーが各自それを覚えておけば良いだけです。
民泊に設置するスマートロックの選び方
スマートロックの設置を検討しているホストは、どのようなモデルが自物件にとって最適なのか、よく調べておくことが大切です。スマートロックのメリットを最大限に享受するためには、どのようなものを選んだらよいのでしょうか。
解錠方式
スマートロックの解錠方法は殆どの場合以下の3点がメインです。民泊では、暗証番号方式が最もポピュラーですし、管理が楽です。
- 暗証番号
- ICカード
- スマホ
また、利用者が日本人であるとは限らないため、施開錠のために独自アプリのダウンロードが必要だったり、UIが日本語のみだったりするものは避けましょう。最低でも英語への対応、できれば中国語、韓国語、フランス語といった言語にも対応されていると心強いです。
そして言語的な面もそうですが、バリアフリー要素として音声アシスタント機能を使用できるものがあれば尚良しです。
設置方式
スマートロックの多くは既存の錠前を利用する形で取付けが可能です。既存のサムターンにアダプターを被せるだけのタイプもありますし、既存のサムターンやシリンダーは取り除くが錠箱はそのまま使用する、といったように「元に戻すことができる」製品が多いので、コストや用途をよく考えながら選択しましょう。
配線工事が必要な電気錠タイプという選択肢もあるにはありますが、様々なサービスとの連携や、機能の豊富さがある反面、やはり取り付けにはコストがかかりますので、全棟を民泊施設にしている、といった大規模施設でない限り、特に必要はないかもしれません。
機能
運営の効率化を重視するなら、宿泊管理システムと連携可能なものを選びましょう。そのためにはまず、Wi-Fiアクセスのあるものかどうか、という点が重要になります。スマートロックの通信方式は、上述の通り省電力であることに特化したBLEですので、データの通信には向いていません。宿泊管理などの膨大な情報を扱うには、Wi-Fiとの接続が不可欠です。
スマートロック本体に内蔵されているものやハブ(ゲートウェイと呼ばれることもあります)というオプション製品があるものがおすすめです。
民泊におすすめのスマートロック3選!
RemoteLOCK
RemoteLOCK はAirbnb のグローバルパートナーであり、様々なOTA (Online Travel Agent、インターネット上のみで取引を行う旅行会社) 、セルフチェックインサービスなどと連携が可能です。
特に複数の管理物件を持つホストに向いており、複数のOTAからの予約をセルフチェックインプラットフォームに送信し、RemoteLOCK の暗証番号を発行する、という連携を組んでいる事例が多いようです。コストパフォーマンスも高く、月額利用などのオプションも豊富です。
また、施設内で複数の鍵を開ける必要がある場合は、鍵のグルーピングをしていわゆる「複数箇所同一キー」とすることもできます。
L!NKEY
穴あけ不要で原状回復可能な取り付け型電子錠を用いたサービスです。リモートプランに外部システム連携を組み合わせることで、AirbnbのようなOTAなどと連携し、暗証番号を自動的に発行、ゲストに送信、といった業務削減スキームが組めます。
リモートプランを使用しなくてもいい、という場合はスタンダードプランで、電子錠のみを使用することも可能です。
あんしんステイIoT
楽天コミュニケーションズが提供するIoTサービスの一環で、チェックイン、スマートロック、宿泊管理から施設内Wi-Fiまで、民泊や宿泊事業向けのソリューションです。
スマートロックは美和ロックのPiACK II Smart の改良版を用いており、IoTゲートウェイを購入することで宿泊管理システムと連携できます。
RemoteLOCKでは提供されなかったチェックイン時の本人確認は、タブレットとテレビ電話で行えます。
スマートロックにWi-Fi環境は必須ですが、おもしろいのは施設内Wi-Fiの提供も依頼できるところです。
スマートロックで民泊の運営を効率化しよう!
確かにスマートロックの導入コストは安くありませんし、多数の物件を持つホストにしかこういった宿泊管理システムは必要ないように思えるかもしれません。しかし、数件の物件であっても、鍵管理やセキュリティのために電子錠をつけたい、という方は増えていますし「鍵猿」でも定期的に民泊を始めるという方から電子錠への交換や、新規取り付けのご依頼を受けています。
※鍵猿では電子錠・電気錠の修理は基本的にできません。メーカー対応あるいは電子錠・電気錠の本体交換、新規取り付けによる対応となります。
スマートロックは後付けできたり、原状回復が可能なものが多い、というのが売りでもあるのですが、中には既存の錠前が対応しておらず、がっかりしたという方もいらっしゃるかもしれません。
また、自分で取り付けしたいが不器用だからちゃんと取り付けられるか不安、という方もおられるでしょう。
そういった場合は、是非「鍵猿」にご相談下さい。弊社の経験豊富なスタッフであれば、使用したいスマートロックと、取り付けたいドアに適切な錠前に交換することも可能です。現場でドアや錠前を見てお見積りを作成いたしますので、安心してご依頼いただけます。
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