玄関ドアの鍵が引っかかるときの対処法!原因別に修理しよう
この記事でわかること
・玄関ドアの鍵が引っかかる原因
・鍵が引っかかるときの簡単な修理方法
・玄関の鍵が引っかかりにくくなる対策方法
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
玄関ドアの鍵が引っかかって回しにくい、力を入れないと施解錠ができない……そんなトラブルに悩んでいませんか。
今回の記事では、玄関ドアの鍵が引っかかる原因を挙げ、それに見合った対処法を解説していきます。
なお、今回紹介する対処法を試しても解決しない場合は鍵屋に相談するのもひとつです。鍵が引っかかる状態で使用していると、鍵が開かない・鍵が回らないとき、などのトラブルに発展することもあります。少しでも異常を感じたら、早めに相談しておきましょう。
目次
玄関ドアの鍵が引っかかる原因とは?
玄関ドアには大きく分けて開き戸と引き戸の2種類があり、扉の動き方が全く違うため、トラブルの原因も全く違うように思われるかもしれません。
しかし、鍵トラブルの「原因」は大半がどちらにも共通のものです。それでは「鍵が引っかかる」場合、どんな原因が考えられるのか見ていきましょう。
鍵穴に埃やゴミが詰まっている
意外と見過ごされがちな原因のひとつが、鍵穴部分に蓄積した埃やゴミです。
特に鍵を挿し込む外側の鍵穴は、道路や通路に面していることも多く、汚れが蓄積しやすくなっています。
鍵は精密機械ですので、ちょっとした詰まりがあっても動きが悪くなってしまうのです。
鍵穴部分をシリンダーと言いますが、この鍵が収まる部分はその名の通り筒型をしていて、外筒と内筒に分かれています。
鍵を挿れたときにはこの内筒が回転することによってドアにある閂(デッドボルト)を動かし、施錠解錠となります。そのシリンダー内にゴミや埃がたまると、内筒が回転しにくくなり、動きが悪くなったと感じるのです。
挿し込んだ鍵が回りにくいときは、内側のサムターンを回して同じように引っかかるか試してみて下さい。
ドアの内側についている、つまみを回して施錠する鍵のこと。
サムターンが問題なく回るようでしたら、不具合の原因はシリンダーにある可能性が高くなります。
最近は防犯性の高いシリンダーが玄関鍵として採用されることが増えていますが、これらハイセキュリティーシリンダーと呼ばれる鍵は複雑な機構であるが故に、埃や砂塵などに弱いという性質があります。
トステム/リクシルの玄関ドアは、すべてツーロック仕様になっていますが、下の鍵の方が汚れやすいので注意して下さい。
近年のトステムのドアには漏れなくディンプル錠がついていますので、定期的なメンテナンスが必要です。
また、挿し込む鍵本体の汚れも、鍵の動きに影響することがあります。
経年劣化や寿命
鍵を設置してある程度の年数が経つと経年劣化により鍵(錠)が故障してしまうことがあります。錠にも実は「寿命」というものがあり、日本ロック工業会ではこれを10年としています。
鍵穴の中の機構は耐食性のあるステンレス鋼で作られていることが多いのですが、それでも毎日鍵を挿し込んで使用しているとパーツが摩耗したり、金属疲労で壊れたりします。
特に、デッドボルトという閂(かんぬき)を制御している錠ケース内のパーツは、毎日繰り返し鍵穴の動きをデッドボルトに伝える役割をしていますから、経年劣化による故障が多くなります。
扉を開けて、外側と内側両方から鍵を回してみて下さい。外側の鍵も回りにくいし、内側のサムターンも回りにくいのであれば、錠ケース内の不具合が原因である可能性が高まります。
使用している錠が取り付けてから10年以上経っている場合は、大きな故障の前触れかもしれません。
また、挿し込む側の鍵にも経年劣化があります。シリンダー内部がステンレスなどの硬い素材でできている分、挿し込む鍵は少し柔らかい金属でできていて、メーカー製のオリジナルキーの多くは銅を主体とした白銅、洋白といった合金です。
これらは丈夫な素材ではありますが、繰り返し鍵穴に差し込んで回転させていると摩耗で少し形が変わったり、ギザギザの山が丸くなったりして引っかかる原因になります。
合鍵が変形している
合鍵を作製して使用している場合、オリジナルキー同様、摩耗による変形が考えられます。合鍵は加工のしやすさから真鍮を用いることが多く、白銅などと比べて柔らかい素材であるため毎日の抜き挿しや携帯により変形してしまうことがあります。
更に、合鍵ならではの複製精度という原因も考えられます。複製が難しい鍵というとディンプルキーが有名ですが、ディンプルキー以外の鍵でも複製が難しいものがあります。
美和ロックのU9というロータリーディスクシリンダーの鍵などは、鍵屋でも難しいと言われており、専用のキーマシンが販売されるほどです。0.05 mm 程度の誤差でも回りにくい、抜きにくい、といったトラブルになります。
また、ディスクシリンダー錠は現在新たに設置されることのない古い鍵になりますが、鍵の先端が挿し込んだときに「カム」の役割をします。
カムは閂(デッドボルト)にシリンダーの回転動力を伝える役割があるため、漏れなく他のパーツと接触します。このため、合鍵でもオリジナルキーでも摩耗で先端が丸くなりがちです。
鍵を開けるのに合鍵を使用している場合は、かわりにオリジナルキーや別の合鍵を入れてスムーズに回るかどうか試してみて下さい。もし他の鍵なら問題なく回るということであれば、鍵の変形がトラブルの原因であると言えます。
ストライクの位置がずれている
これはよく引き戸の問題として紹介されますが、「閂」とそれを収める「受座」がある扉に共通している問題です。
鍵が回ると錠ケースから突出するデッドボルト(閂)は、ストライクという名前の「受座」に収まることで扉が開かないようにロック(施錠)します。
このストライクの位置がビスの経年劣化や緩みでずれ、デッドボルトと干渉するようになり、鍵が回りにくくなります。
ストライクを定期的にメンテナンスする人は少なく、長い間取り付けた時からそのままになっている場合はネジが緩んでいることも多いのです。
ドアを閉めた状態では鍵の動きが悪いが、開けた状態なら外側からも内側からも問題なく回る、という場合は、ストライクの位置が原因であることが考えられます。デッドボルトに何かに擦ったような跡がないか、確認してみて下さい。
戸車やレールが摩耗ですり減っている
これは唯一、引き戸のみに存在する問題です。
戸車は引き戸のコマに当たるパーツで、扉の下部か上部に設置されています。
戸車やレールの摩耗は、主に下レール式の引き戸に顕著で、ストライクの位置ずれの原因になることもあります。
引き戸の場合はストライクの様子を診る前に戸車やレールの状態を診ておく方が良いと言えます。
もし原因が戸車の摩耗であれば、戸車の調整だけで事足りるかもしれません。
ピッキングの可能性
ある日突然、鍵の動きが悪くなってきた、という人のなかには「ピッキングされたのでは?」と疑う方もいます。
確かにピッキングは特殊な工具を使用して鍵穴の中を弄りますから、その影響でシリンダーの動きが悪くなっているのではないのか、と考えるのも自然なことでしょう。
しかし、鍵というものはちょっとした粉塵の詰まりがあるだけでも動きが鈍くなったり、止まってしまったりするものなのです。
犯人がピッキングの上級者であればシリンダー内部に大きな痕跡を残さず、ピッキングされたかどうかも判断がつかないほどでしょう。
逆に錠を故障させるような腕前なら鍵穴付近に大きな痕跡が残ってしまっている筈です。
もし鍵穴付近に傷がついている、といった不自然な点が見かけられるのであれば、鍵屋に確認して貰い、シリンダーを交換した方が良いでしょう。
鍵が引っかかるときの簡単な修理方法
鍵が引っかかりやすいとき、自力でなおせるものなのでしょうか。
ここでは、簡単に自力でできる修理方法をご紹介しますので、鍵が引っかかって回りにくいといった症状にお悩みの方はぜひ実践してみて下さい。
鍵穴の掃除
鍵穴の掃除は、複雑な構造になっているハイセキュリティーシリンダーだけでなく、古いシリンダーにも効果があります。鍵穴にエアダスターを吹き付けてゴミを飛ばす、掃除機で中の埃などを吸い取る、といった家庭でできる簡単なメンテナンスを行ってみて下さい。
鍵穴の埃や砂塵をある程度取り除いたあと、シリンダー内が湿っていないか確認し、鍵穴専用の潤滑剤を説明書の指示通りに使用して下さい。
挿し込む鍵は、銅を主体にした柔らかめの金属ですので、歯ブラシなどで埃やゴミを取り除き、柔らかい布で優しく拭いて定期的に汚れを取ると良いでしょう。
鍵穴専用の潤滑剤が手元にない場合、鉛筆で代用することができます。
鉛筆の芯に含まれる黒鉛には、金属の滑りをよくするはたらきがあります。Bや2Bなど芯の柔らかい鉛筆がおすすめです。
方法は簡単です。
- 鍵本体のギザギザ部分やくぼみ部分に鉛筆の芯を滑らせます。
- そのまま鍵穴に数回抜き挿ししてみましょう。
- 滑りがよくなったら、鍵本体に付着している黒鉛をやわらかい布で拭き取ります。
戸車の調整
戸車の高さを調整するには、引き戸の両端下部にある調整ネジをプラスドライバーで回します。
扉が水平に戻ったら、ストライクの位置を確認してデッドボルトがちゃんとストライクに収まるかを確かめ、まだストライクが干渉しているようであればストライクの位置を調整しましょう。
ストライクの調整
ストライクのずれを調整するときには必ず扉を開けた状態で行います。閉じたままで修理をすると、閉じ込められたり締め出されたりする可能性があるからです。
まず、ストライクを留めているビスを緩め、デッドボルトの位置を確認しながら少しずつ動かしてずれを直します。位置の調整が済んだらビスを締めて扉と鍵の動作確認をして下さい。
間違った修理方法は鍵穴故障の危険!
鍵の動きを良くするために、自分でできる方法として食用油や金属用の潤滑剤を使ってしまう方がいますが、これは間違った対処方法です。
食用油や金属用のシリコンスプレーなどを使うと、一時的には鍵の動きがよくなるかもしれません。しかし、揮発しない油はシリンダー内に残って埃や砂塵を吸着し、そのまま凝固してしまうので、トラブルを悪化させる可能性があるのです。
鍵の動きを改善したいのであれば、必ず鍵専用の潤滑剤を使用するようにしましょう。
また、専用の潤滑剤を使う前にも鍵穴の掃除をして下さい。専用の潤滑剤であっても、鍵穴内の埃や粉塵に吸着し、詰まりの原因になってしまうからです。
ただし、鍵穴の奥に詰まった埃やゴミを取り除く際に、爪楊枝や針金を挿し込むことは絶対にしないようにして下さい。
シリンダー内が傷ついたり、破損したりすると故障につながってしまいます。掃除をするのであればエアダスターや掃除機を使うようにしましょう。
鍵が引っかかるときは壊れる前に鍵屋へ依頼
鍵が引っかかるというトラブルは、些細なものに思われるかもしれませんが、多くが本格的な故障の前触れです。
鍵が引っかかる、回しにくい、といったトラブルを放置していると、そのうち「鍵が回らなくなった」「鍵が空回りして施錠できない」といった大きなトラブルに遭遇することになってしまいます。
ですので、このような前触れに即した際は、鍵屋にご相談下さい。鍵が本格的に故障し、家から締め出されてから鍵屋を呼ぶと、修理や交換の費用に「解錠費用」が追加になってしまいます。
そうなる前に、必要な部分を交換したり修理したりしておく方が余計な出費を避けることができます。
玄関の鍵が引っかかりにくくなる対策方法
鍵には寿命や耐用年数がありますが、日頃から正しい対策をしておくと長く安心して使用し続けることができます。
誰でも自分で簡単にできる対策方法をご紹介しますのでぜひ実践してみて下さい。
メンテナンス
鍵を長く安心して使用するためには、定期的なメンテナンスを行うのがベストです。
先述の通り、ディンプル錠など複雑な構造のシリンダーは、ちょっとした埃・砂塵の蓄積でも不具合を起こしやすくなっています。
定期的に埃やゴミを掃除機やエアダスターで除去し、専用の潤滑剤を入れて馴染ませるだけで、鍵の寿命も伸びるでしょう。
ギザギザした鍵からディンプルキーへ交換
ギザギザした形の鍵(ギザ鍵、刻み鍵、山鍵などと呼ばれることがあります)は、古いピンシリンダーやディスクシリンダー錠から最新のロータリーディスクシリンダー錠まで幅広く使われている鍵です。
特に美和ロックのURシリンダーの鍵は折れやすいという欠点があります。
20年ほど前のドアに採用されることが多く、トステムのツーロックにもURが使われていましたので、ここ数年間で鍵が折れて鍵穴に詰まってしまった、というトラブルに遭遇した方も少なくないかもしれません。
同じくギザ鍵を挿入して開ける古いディスクシリンダーやピンシリンダー錠などはピッキングがしやすく、危険な鍵とも言われています。
2000年付近に生産終了していますが、未だに多くの玄関などで使用されています。
ディンプル錠は粉塵や埃に弱いという性質があるものの、合鍵作製は困難であるため、オリジナルキーを使います。
このため合鍵に関するトラブルや、摩耗によるトラブルはほぼ起こりません。
更に、耐ピッキング、耐ドリリング性能など防犯性に関してはディンプル錠を超えるものはなかなかありませんので、おすすめです。
トステムのドアで美和ロックのUR錠がついている場合、同じく美和ロックのディンプル錠であるPS或いはJNシリンダーなどに交換することができます。
古いディスクシリンダーやピンシリンダー錠も、新しいディンプル錠に交換することができますので、鍵を取り扱う業者にご相談下さい。
電子錠でスムーズに出入り
玄関ドアの鍵が引っかかる、というトラブルを根本的に解決するために、電子錠を後付けする、という手もあります。
多くの電子錠は既存の鍵に後付けできる上、外側からは鍵穴が見えなくなってピッキングができないという防犯上のメリットもあります。
最近はスマートキーやスマートロックと呼ばれる、スマートフォンで制御するタイプも安価で出回っており、錠前の型番がわかれば比較的容易に取り付けをすることができます。無論、暗証番号タイプやカードキータイプもまだまだ健在です。
電子錠の多くは鍵を持つ必要がないため、引っかかりや回りにくいといったシリンダー錠特有の面倒なトラブルに悩まされることがありません。
鍵が引っかかるときは鍵屋に相談
鍵が引っかかる、回しにくい、鍵穴から抜きにくい、といったトラブルは鍵を使い始めて暫く経ってから発生するものです。
鍵の動きがおかしいと気づいて初めて、鍵にもメンテナンスが必要だと知った方も多いのではないでしょうか。
掃除や潤滑剤を入れるといった、普段のメンテナンスで動きが改善されればそれに越したことはないのですが、問題はやはり自力でできることを試しても改善しない時です。
そのような場合は、いくつかのトラブルが複合的に起こっていることもありますので、ぜひ鍵屋にご相談下さい。
鍵猿ではお電話を頂いてからスタッフが現場にお伺いし、実際に鍵の状態を見てから適切な解決方法をご提案します。
鍵の調子が悪いが具体的に何が原因なのかわからない、いつ壊れるのか不安、という方や、もう鍵が古いのでこれを機に電子錠を導入したい、という方もぜひ鍵猿にご相談下さい。
▶ お急ぎの方 ◀
家の鍵のトラブルにかかる費用、
施工事例、対応エリアなど
について詳しく見る