【鍵穴にクレ556は厳禁】理由と使った場合の対処法解説!
この記事でわかること
- 鍵穴にクレ556を使ってはいけない理由
- 鍵穴にクレ556を使ったときの対処法
- 玄関の鍵が開けにくいときの対処法
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
さまざまな金属の錆落としや潤滑剤として使える「クレ556」を常備しているご家庭は多いでしょう。
玄関の鍵の動きが悪いときにもつい使ってしまいそうですが、実はこれは絶対にやってはいけないことだったりします。
この記事では、クレ556を鍵穴に使ってはいけない理由や、うっかり使ってしまったときの対処法、そもそも鍵のすべりが悪いときにはどのように対処すべきかなどについて解説します。
もしクレ556や他のシリコンスプレーなどをシリンダーに吹いてしまい、鍵の動きが固くなっている場合はできるだけ早めに鍵屋に修理を依頼して下さい。
そのまま放置すると鍵が完全に回らなくなる可能性があります。
シリンダーが動かなくなって、玄関から閉め出された状態になると解錠費用も必要になります。
そうなる前に修理で直しましょう。
鍵穴にクレ556を使っても良い?
クレ556は、自動車や電化製品などの幅広い製品に錆落としや潤滑剤などとして使用できる便利な製品です。
どうして玄関の鍵には使えないのか、その理由を解説します。
クレ556とはどのような商品?
クレ556は、もともとはアメリカのCRCインダストリー社が開発した「CRC 5-56」という潤滑剤で、今や呉工業株式会社の看板商品です。
1960年に創業した呉工業は、創業から2年後の1962年にCRCインダストリー社と提携し、CRC 5-56を輸入・販売するにいたりました。
用途は防錆、潤滑、清浄、防湿と幅広く、対象となるのも自動車、オートバイ、自転車など多岐にわたります。
電動工具や精密機械などにも使用可能です。
粒子が細かいため浸透力に優れ、揮発性が高いことが特徴で、スプレーしたあとにいつまでも油が残ることがありません。
使用用途が広く使い勝手が良いことに加え、価格も手ごろなため、高い人気があります。
さまざまなメンテナンス用として、常備している家庭も多いでしょう。
クレ556が玄関の鍵穴に使えない理由
玄関の鍵や鍵穴は消耗品のため、長く使っていると劣化して動きが悪くなります。
鍵を挿しこみにくい、回しにくいなどのトラブルが発生することもあるでしょう。
このようなとき、自宅に常備しているクレ5-56を鍵穴に吹きかける人がいます。
確かにクレ556は門扉の蝶番などにも使えるため、鍵穴に使用しても大丈夫なイメージがありますが、実のところ鍵穴への使用は絶対にダメです。
潤滑剤ですので、動きが良くなることは確かなのですが、その効果は一時的なもので長続きしないうえ、クレ556が残す油分が鍵穴においては問題となるのです。
クレ556は金属表面に薄い皮膜を生成することで潤滑効果を得ます。
しかし、この被膜が鍵穴内にある埃や汚れ、鍵を入れて回したときに摩擦で生じる金属粉などを吸着してしまい、油分と汚れが混じり合った塊になってしまいます。
やがて鍵穴はこの塊によって詰まり、回らなくなってしまいます。
実際、クレ556を注入してしまったことで、そういったトラブルが多発しています。
また、クレ556の成分は石油溶剤であることから、機械類にもともと塗布されているグリース類を溶かしてしまうこともあります。
鍵のシリンダー内にも潤滑剤が塗布されていますが、クレ556を注入することでこの元からある潤滑剤が溶け出してしまう可能性もあります。
こうなると、二重の意味で鍵の動きが悪化してしまいます。
大手鍵メーカーとして知られる美和ロックは鍵穴に市販の潤滑油や油を使わないよう警告していますし、クレ5-56を販売する呉工業もディンプルキーなどの複雑な構造の鍵にはクレ556を使わないよう、注意を促しています。
▼関連ページ ▼関連ページ ▼関連ページクレ556以外の使えない潤滑剤・スプレー
ここまで鍵穴にクレ556を使用してはいけない理由を説明してきましたが、クレ556以外にも使用してはいけない潤滑剤やスプレーはあります。
基本的に鍵穴には鍵穴専用の潤滑剤のみ使用するようにしましょう。
▼鍵穴に使用してはいけない潤滑剤の例
- サラダ油
- 自転車用スプレー
- 防さびスプレー
ディスクシリンダーはクレ556を使える?
家庭で使われる鍵のなかでも、ディスクシリンダーの場合はクレ556が使用できる可能性があります。
呉工業の公式サイトには、ディスクシリンダー錠のようにシンプルな構造の鍵であれば使用しても差し支えない旨が記載されています。
ディスクシリンダー錠は、鍵穴が「く」の字になっており、子鍵は山鍵や刻みキーと呼ばれる、ギザギザがついている古いタイプの鍵です。
1950年代に開発されてから公団での採用を経て国内では広く普及しましたが防犯性能が低く、ピッキング被害に遭いやすいことから廃番となり、2001年以降は製造されていません。
ですので、住んでいる家や建物が2001年以降に建てられている場合、玄関などの鍵がディスクシリンダー錠である可能性はほとんどなく、古い家屋でも鍵だけは交換されている可能性が高いと言えます(特に賃貸物件など)。
どんな鍵穴であっても、クレ556の使用は控えたほうが良いでしょう。
▼関連ページ ▼関連ページ ▼関連ページ呉工業のドライファストルブは鍵穴に使用可能
呉工業から発売されている「ドライファストルブ」はフッ素系の潤滑剤で素早く乾き、ゴミやホコリが付かないため、鍵穴の潤滑剤として使用可能です。
金属以外にもふすまや障子といった木材の可動部にも使用可能です。
鍵穴にクレ556を使ったときの対処法
しかし、こういった背景を知らずに、鍵穴にクレ556を使ってしまうこともあるでしょう。
ここでは、そのような場合にどう対処すればよいのかについて解説します。
鍵穴専用の潤滑剤でクレ556を洗い流す
クレ556を吹き付けてからまだあまり時間が経っていない場合は、鍵穴用潤滑剤を使って洗い流す方法があります。
鍵穴用潤滑剤は繊細な鍵穴に適した成分が使われており、揮発性(常温で蒸発しやすい性質)です。
そのため、鍵穴に吹き付けても詰まることはありません。
まずは、鍵穴用潤滑剤を用意し、鍵穴にたっぷりと入れましょう。
漏れ出てきた潤滑剤は古タオルなどで拭き取ります。
さらに、鍵本体も同じように鍵穴用潤滑剤で洗って布で拭き取っておき、ゆっくりと鍵穴に入れてから抜いて下さい。
抜いた鍵に汚れが付着していれば拭き取ります。
これを繰り返せば、鍵穴内部の油が落ちる可能性があります。
鍵がスムーズに抜き差しできるようになったら、今度は鍵を回して開くかどうか試してみましょう。
スムーズに開閉できるようであれば、完了です。
鍵穴用の潤滑剤では改善しない場合、パーツクリーナーのような「油落としクリーナー」を使用してみて下さい。
クレ556のメイン成分であるケロシンのような油分による汚れを落とす、脱脂作用の大きなものが殆どですので、シリンダー内で癒着してしまった油分と汚れにも効果的です。
シリンダー分解をすることなく、注入するだけで改善される場合もあります。
安価なものが多いため、鍵屋に分解洗浄を依頼する前に試してみると良いかもしれません。
鍵屋へ分解洗浄を依頼する
クレ556を使用してから時間が経っている場合、すでに内部で油分や汚れが固まっている恐れがあります。
鍵穴用潤滑剤を使っても鍵が回らない、油落としクリーナーを使用しみても症状が改善しない、となると錠ケースからシリンダーを外して分解し、パーツクリーナーや油落としクリーナーなどできれいに洗浄する必要があります。
このような状態になってしまった場合は、下手にいじらずに鍵屋にご依頼下さい。
シリンダーを取り外し、分解していくのは難しいことではありませんが、鍵の構造は非常に複雑で繊細です。
パーツも細かなものが多く、かつそれぞれがきっちりと噛み合わなければ鍵として機能しません。
知識のない一般人が鍵を分解して洗浄したあと、元通りに組み立てるのは容易ではなく、壊してしまう可能性が高いのです。
ただし、ディンプルキーなどの防犯性能に優れた鍵は構造も複雑で、鍵屋に依頼しても分解したあと正確に組み立てられないことがあります。
そのようなときは鍵の交換が必要になります。
▼関連ページ ▼関連ページ ▼関連ページ鍵屋へシリンダー・錠前の交換を依頼する
鍵屋に依頼しても分解洗浄が難しかったり、内部の摩耗や損傷も起こっていたりするようであれば、シリンダーや錠前を交換するというのが最終手段です。
ちなみに、「シリンダー交換」とは鍵穴部分を交換することで、錠前交換とはドアノブやハンドルレバーを含む鍵の構造すべてを交換することです。
もちろん、シリンダーのみを交換するほうが費用は抑えられますが、インテグラル錠のように、錠前の種類によってはシリンダーだけを変えることができず、錠前全体の交換になるケースもあることは知っておきましょう。
パーツの分解・組み立てとは異なり、シリンダー交換や錠前交換は、新しいものをネットなどで購入して自分で作業することも不可能ではありません。
しかし、正しい手順で正確に取り付けなければ、しっかり閉まらないなどのトラブルが起きる可能性があります。
知らずに防犯性能の落ちるものを用意してしまうリスクもあるでしょう。
そのため、鍵屋に依頼するほうが無難です。
鍵屋と相談して、この機会に防犯性能の高い最新の鍵に交換するのも良いでしょう。
▼関連ページ ▼関連ページ ▼関連ページ玄関の鍵が開けにくい場合はどうする?
鍵穴にクレ556を使おうとしたということは、なんらかの異常があったからなのでしょう。
鍵のトラブルが起こったときはクレ5-56を使うのではなく、ほかに適切な対処法があります。
ここでは、鍵に異常を感じたときどのような対処をすべきかについて、解説します。
鍵穴の掃除をする
よくあるトラブルとして、「鍵を奥までしっかり挿し込めない」、「鍵は挿し込めるが、回りが悪い」というものがあります。
このような症状の原因は「内部に埃やゴミ、金属粉が溜まっている」というものです。
鍵穴は外気にさらされているため埃や微細なゴミが入ることがあり、金属粉は鍵を回す際の摩擦で生じます。
埃やゴミ、金属粉などが原因であれば、対処はそれほど難しくありません。
鍵穴を掃除すれば解決することが殆どです。
まずは、掃除機を鍵穴にあてて、吸い込んでみましょう。
内部に溜まった埃や金属粉が吸い出され、動きが改善することがあります。
エアダスターを使って、なかに溜まったものを吹き飛ばすのも良い方法です。
ただし、内部のゴミを掻きだそうと考え、鍵穴に針金や爪楊枝などを挿し込むのはやめましょう。
鍵穴の構造は非常にデリケートで、針金などの硬く細長い物を入れてひっかきまわすと内部に傷がつき、壊れる恐れがあります。
掃除をするのであれば、掃除機で吸い出すか、エアダスターなどを使って吹き飛ばすかのどちらかにしましょう。
なお、挿し込む鍵のほうに汚れがつき、鍵穴に挿し込めなかったり内部でしっかり噛み合わなかったりする原因になっていることもあります。
古い歯ブラシなどを使い、鍵のきざみ部分や溝などを丁寧に掃除してみるのも良いでしょう。
▼関連ページ ▼関連ページ ▼関連ページ鍵穴専用の潤滑剤を使用する
先述したように鍵穴内にはもともと潤滑剤が塗られています。
これは、鍵のすべりを良くするのが目的です。
とはいえ、潤滑剤は時間が経つうちに乾いたり使用を重ねてすり減ったりしていくため、すべりが悪くなっていきます。
鍵穴内を掃除してみても動きが固いようであれば、潤滑剤の枯渇が原因かもしれません。
このような場合は、鍵穴専用の潤滑剤を使用すれば解決する可能性が高いです。
いうまでもなく、すべりが良くなりそうだからと食用油やシリコンスプレーなどを使用するのは厳禁です。
必ず、鍵穴用の潤滑剤を使いましょう。
▼おすすめの鍵穴専用潤滑剤の例
- 鍵穴専用潤滑剤 3069S(U9、PR、LBシリンダー用)【MIWA】
- クリアムーサス(全シリンダー使用可能)【MIWA】
- CQ303シリンダー潤滑剤【GOAL】
- KABAクリーナー【KABA】
鍵交換を検討する
鍵の寿命は一般的に10年から15年と言われています。
そのため、長年使用されている場合は交換してしまうのもおすすめです。
シリンダー(鍵穴)の交換はDIYでも行えますが、サイズを測って正しい部品を選ぶ必要があり、全く知識がない状態だと難しく感じるかもしれません。
また、シリンダーは防犯上の観点により一度購入したものは基本的に返品できません。
交換に自信がない場合は鍵屋に依頼しましょう。
▼関連ページ ▼関連ページ鍵屋に原因調査を依頼する
繰り返しになりますが、鍵の構造は複雑です。
鍵のトラブルが起こった際に知識のない人間が自分で解決しようと動くと、「クレ556を吹き付ける」といった間違えた対処をしてしまいかねません。
すると、事態がますます悪化してしまい、解決するのに高額な費用がかかる場合もあります。
そのため、鍵の不具合を感じたら、無理に自分でなんとかせずにプロである鍵屋に調査と解決を依頼してください。
とはいえ、鍵屋はたくさん存在し、なかには悪質なところもあるのが実情です。
依頼する際は、事前に料金設定は明瞭か、アフターフォローや保証はあるか、キャンセル料はどの程度かかるかなどについて調べるようにしましょう。
信頼できる業者を選ぶことが大切です。
鍵穴のトラブルは鍵屋に連絡を!
クレ556は、家庭にある多くの金属製品に使用でき用途も幅広いため、万能な潤滑剤というイメージを持たれがちです。
しかし、揮発性とはいえ、油分が含まれることに変わりはなく、シリンダー内に残留した油分にゴミや埃が固まって詰まる恐れがあるうえ、溶剤成分がもともとシリンダー内に塗布されている潤滑剤を溶かしてしまう恐れもあります。
すでにクレ5-56を鍵穴に吹き付けてしまった場合、そのまま放置していては鍵の分解洗浄や交換が必要になる可能性があります。
鍵が抜けない等のトラブルの際にクレ556を塗布したあと鍵の具合が悪く、壊れないか心配だという方はできるだけ早く、信頼できる鍵屋に相談するようにして下さい。
鍵屋鍵猿のおすすめポイント
- 出張費無料・見積り無料
- 365日・年中無休
- キャンセル無料(※緊急出動を除く)
- 1年間の無償工事保証
- 1年間の無償商品保証
鍵屋の鍵猿は365日営業で、8時~23時まで電話対応可能、早朝や深夜の鍵トラブルにも実績豊富なスタッフが駆け付けます。
さらに、出張費用(解錠などの緊急依頼以外)や見積り費用は無料、作業前に見積書をご提示し、お客様に納得いただいてから作業に入ります。
もちろん、作業開始以降の追加料金はございません。
アフターサービスも充実しており、1年間の無償工事保証と1年間の無償商品保証が付いてきます(保証適用の詳細については弊社の保証基準によるものとします)。
鍵修理、鍵交換、鍵の取り付けは鍵屋の鍵猿にお任せください。
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