賃貸物件の鍵交換費用は?鍵が壊れたときの対処法や借主の負担を解説
この記事でわかること
- 入居後の鍵交換は誰が費用負担するのか
- 賃貸物件の鍵交換の流れ
- 鍵交換費用の相場
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
「賃貸住宅に住んでいるけれど、玄関の鍵を交換する場合は誰が負担するの?」
「借主は負担なしでいいの?」
という疑問をお持ちの方は沢山おられると思います。
この記事では、賃貸の鍵交換費用を負担するのは貸主なのか借主なのか、費用や鍵交換の流れを鍵のプロが解説します。
なお、賃貸の鍵交換には大家さんのご了承が必要となりますので、必ずご依頼前に大家さんにご相談のうえご依頼ください。
目次
賃貸入居時の鍵交換費用とは?
賃貸物件に入居する際、鍵交換をするかどうか管理会社側から打診されるか、鍵交換します、とだけ宣告されます。その際、交換することにした場合の費用は自己負担です。
入居時の鍵交換代は初期費用に加算されることが多く、鍵を交換しないという選択もあるのですが、防犯上の観点からなるべく交換しておいた方が良いでしょう。
費用負担が借主である理由
入居時の鍵交換費用が「借主負担」なのは、主に不動産業界の慣習が原因と言われています。
というのも、貸主側は「貸主負担にしたらしたで、いつ交換したのかわからない、本当に交換したのか、というクレームが来る」という経験があるわけです。
そもそも鍵交換は「借主」の身の安全を配慮しての交換ですし、確かに料金負担が生じないなら生じないで、ちゃんと鍵交換されているのか心配になりますよね。
やはり「いくらか負担して貰うことで、業者側や貸主側はちゃんと入居前のタイミングで鍵交換している、ということを借主が認識してくれる」から、入居者負担としている側面もあるようです。
また、意外と知られていないのが「大家も費用を出していることがある」ということです。
鍵交換は、個人で1箇所の交換を依頼すると3~4万円かかることもありますから、もしシリンダーが防犯性の高いディンプル錠などでありながら、1~2万円程度で済んだのであれば大家が部分的に負担してくれている可能性があります。
鍵交換は辞退できるのか?
そもそも賃貸に入居する際に鍵交換が必要なのは、前の住人が合鍵を全て大家に返していなかったり、新たな住人の預かり知らぬところで勝手に合鍵が作成されていたりするなど(恋人が勝手に作ったという事例が多い)、防犯上の理由からです。
実際に、前の住人が合鍵を使って侵入したという事件も起きており、貸主側としてはそういったリスクを懸念しての鍵交換となりつつあります。
ですので、入居時の鍵交換を辞退できるかどうかは、その物件を貸し出している大家さん次第です。なかには鍵交換をすることが契約締結の条件になっている大家さんもいます。要は大家として鍵交換を拒否する方には貸さない、というポリシーの持ち主です。
そういった物件で、鍵交換を辞退すると漏れなく契約して貰えないでしょうから、鍵交換費用をどうしても払いたくない場合は鍵管理に関して、借主に任せてくれる大家さんの物件を選んだ方が良いです。
無論、大家さんの同意を得ることができることもあるでしょう。そのような場合は、賃貸借契約書の特約事項に「特記」として記載して貰い、覚書を交わすことが大事です。退去するときになって、お互いの認識や記憶がずれていて揉めてしまうこともあります。そのようなことにならないよう、覚書を交わしておきましょう。
入居時の鍵交換の注意点
入居時の鍵交換は、賃貸借契約を交わしたあと、入居日までに行われることが殆どです。費用を支払ったからにはしっかりと鍵交換されていることが望ましいのですが、いくつか注意点があります。
シリンダーを使い回していることがある
これは「最近は見かけなくなった」と言われている不動産界隈の慣例のひとつです。大家さんのなかには複数の物件を持つ人も多く、とある物件で使用したシリンダーを別の物件で使うというローテーションを組んでいる人もいました。
要するに、建物Aで使用したシリンダーを、翌年は建物Bで使用し、建物BのものはAで使用する、といった行為です。
※交換したシリンダーを倉庫で数年寝かせておくという方法もあります
これは複数件数の建物を所有している場合はあまり危険性はないのですが、同じ建物内のシリンダーを使い回していたり、2件しかない物件のあいだで使い回しをしていると、あまり防犯的に意味がないかもしれません。
交換されたはずの鍵が新品ではない場合はローテーションされている可能性があります。気になる場合は大家さんに確認するなどしてみましょう。
鍵交換が必要ないシリンダー
オプナスのメモリスや美和ロックのLBシリンダーは賃貸物件での利用などを想定したシリンダーで、キーチェンジシステムが備わった特殊なシリンダーです。
これらのシリンダーではシリンダーを取り替える必要はなく、リセット用の子鍵を挿入して新しい子鍵を入れると、以前使用していた子鍵は使えなくなります。
シリンダー交換の手間や費用を削減するためにできたシリンダーですので、シリンダーや子鍵が古く見えても問題ありません。
交渉するなら契約する前にしよう
先述したように入居時の鍵交換については初期費用に含まれることが多いため、辞退したい、あるいは全額支払いたくない、といった交渉は契約を結んでしまう前に行うのが理想です。
一度、同意したとされることを覆すのはなかなか難しいので、新しく物件を借りる際は鍵交換が必須かどうかなど、しっかりと確認しておきましょう。
賃貸物件の鍵が故障!費用は誰の負担?
新しい物件に無事入居し、生活を送っているうちに鍵が壊れてしまう、あるいは不具合が見られる、といったことも生じます。
特に鍵交換せずに古い鍵のまま使用している場合などでは経年劣化が主因の故障もあり得るでしょう。
そのような不具合や故障がおきた場合、鍵の修理や交換の費用は誰が負担するのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
貸主には「修繕義務」がある
物件の貸主には、貸し出している建物が日常生活に支障をきたさないよう、補強や修繕をする義務があります。そしてこれは建物そのものだけでなく貸主の持ち物とされる室内の「設備」、給湯器やエアコンなどに関しても発生する義務です。
このため、基本的に貸主側の設備のひとつであると考えられる錠前が故障した場合は、貸主に修繕する義務があります。
借主が故意に破損したのではなく、常識的な運用をしていたのであれば経年劣化が原因であれば貸主である大家さんか、管理を委託されている管理会社が費用を負担して鍵を修理あるいは交換してくれます。
普通に使っていたにもかかわらず、鍵がうまく挿し込めなくなったり、回らなくなってしまったら、管理会社や大家さんに連絡し、指示に従うべきとされているのはこのためです。
あくまで借主には過失がなく、経年劣化により鍵交換が必要になった場合は、貸主側の負担になるということですので、よく覚えておきましょう。
賃貸物件の鍵交換の流れ
賃貸物件に住んでいて、鍵が壊れて交換しなければいけなくなった場合、まず借主がすべきことは管理会社や大家さんに連絡することです。
先述したように経年劣化などが原因の場合は、貸主に修繕義務がありますので、管理会社や大家さんが専門の業者を手配したり、あるいはレオパレスのように入居者の住まいのトラブル専用の連絡先が存在している場合もあります。
いずれにせよ、独断で鍵屋を呼ぶことはせずに管理会社などに連絡をして指示を仰いで下さい。
緊急時なのに電話が繋がらない、ということもあるでしょう。鍵の故障で家に入れないというような場合は、自分で鍵屋を呼んで鍵を開けて貰い、後日、管理会社や大家に相談してから修理や交換をして貰うのがベストです。
鍵の修理交換業者は貸主側で指定している場合がある
鍵の修理交換業者は貸主側で指定・提携していることがあります。
貸主側の提携業者で修理すれば安く済む場合があるので、鍵交換の際はまず大家さんや管理会社に連絡することが先と覚えておきましょう。
鍵交換を鍵屋に依頼した場合の費用相場
「鍵交換費用とは?敷金とは違うの?」
「賃貸の部屋の鍵交換費用はいくら?」
「鍵交換の借主負担は平均いくら?」
など、様々な疑問をお持ちの方もおられるかと思います。
鍵交換の費用は、私どものような鍵屋に依頼した場合、「作業費用+部品代」となることが殆どです。
こちらの項目では、鍵の種類と、種類ごとの相場について解説していきます。
鍵交換費用は部品代によって変わる
鍵にはさまざまな種類があります。ピンシリンダーやディスクシリンダー、ロータリーディスクシリンダーなど、それぞれ鍵は特徴を持っています。
この中で、ピンシリンダーやディスクシリンダーは古い家に多い鍵です。
ピンシリンダーは鍵足(ブレード)の片側のみギザギザがある刻みキーで、賃貸物件にも多く採用されている鍵です。
シリンダーの内部にピンタンブラーと呼ばれる部品が入っていて、鍵を差し込みそのピンタンブラーを所定の位置まで押し上げる事で、鍵が回るようになります。
ディスクシリンダーは両側に刻みがある鍵で鍵穴が縦向きの「く」の字になっています。この鍵はピッキングに弱いので、すでに廃番になっています。新築住宅ではまず使われない鍵ですが、古い家や賃貸ではまだ見かけることがあります。
ロータリーディスクシリンダーは、ディスクシリンダーの上位互換です。両側に刻みがあるのはディスクシリンダーと同じですが、鍵穴が横向きで「W」のような形をしています。
ディスクシリンダーより防犯性能が高く、ピッキングにも強い特性を持っているため賃貸物件にも多く採用されています。
また数ある鍵の中でも、特に主流となっているのがディンプルキーという鍵です。
ディンプルキーはデコボコした形状をしており、ピッキングに強いという特徴があります。新築物件では最初からディンプルキーが使用されていることも多いです。
その他、カードキーや上記のようなシリンダー錠には類しない特殊な鍵もあります。
鍵の種類が異なれば鍵の形状やメーカーも変わるので、種類に応じて交換費用も異なってきます。
賃貸の鍵交換の費用相場は?
鍵の種類 | 鍵交換の費用相場(部品代と作業費) |
ピンシリンダー | ¥15,000~¥20,000 |
ディンプルキー | ¥25,000~¥30,000 |
ピンシリンダーなどのギザギザした鍵(刻みキー)は、部品代が最も安価な類の鍵です。
スタンダードな鍵で、賃貸アパートなどによく採用されています。費用相場は1.5~2万円です。
ディンプルキーは、より防犯性能が高く構造も複雑で製造コストが高いことから、一般的なギザギザキーより部品代も高めです。ディンプルキーの相場は2.5~3万円となっています。
カードキーなどの特殊なものは一概にいくらほど、と言うのが難しいですが、レオパレス21などで使われているマイスナーなどであれば、錠前そのものの交換ではなくカードリーダー部分のみを交換するだけで済むことがあります。
マイスナーのようなカードキーは磁気を利用しているので、カードキーそのものの磁気が飛んでしまったり、リーダー部分が反応しにくくなったりするのが故障の原因として多いのです。
カードリーダー部分のみの交換であれば、部品代は1~2万円ほどと考えれば良いでしょう。
賃貸の鍵が回らない!自分でもできる応急処置
鍵を回そうとしてもうまく回らず、ドアを開けることができなくなってしまったら、パニックにならないようにまずは落ち着いて対処することを心がけましょう。
鍵が回らなくなった原因によっては、応急処置を施すことで状態が改善する可能性もあります。
鍵を回そうとしてもうまく回らず、ドアを開けることができなくなってしまったら、パニックにならないようにまずは落ち着いて対処することを心がけましょう。
鍵が回らなくなった原因によっては、応急処置を施すことで状態が改善する可能性もあります。
鍵穴専用の潤滑剤をさす
長期間使っているような古い鍵の場合、シリンダー内の部品が摩耗し、かつ潤滑剤も枯渇していることがあります。
鍵や鍵穴の摩耗によって、部品同士がうまく噛み合わずに開けられなくなったり、鍵を差しても引っかかって回らなくなったりすることがあるのです。
その場合、鍵穴に潤滑剤を注入することによって、鍵や鍵穴の滑りが良くなり、鍵を回せるようになることがあります。
鍵や鍵穴に注油する潤滑剤は、鍵専用の潤滑剤を使ってください。鍵専用のものがない場合は、鉛筆の黒鉛などでも問題ありません。
鍵穴用ではない潤滑剤や食用油、シリコンスプレーなどを使用すると鍵の故障を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。
鍵穴を清掃する
また、鍵穴にゴミやほこりが溜まって鍵が回らなくなってしまった場合は、鍵穴を清掃して溜まったゴミやほこりを取り除いてみましょう。
鍵穴は意外と砂塵や埃がたまりやすいところです。可能であれば掃除機で吸い取るのがベストですが、エアダスターを使うという手もあります。
子鍵は歯ブラシなど柔らかいもので汚れを落としましょう。ディンプルキーは凹みに汚れがたまりがちです。高性能シリンダーは作りが複雑で、凹みの深さなどの些細な差異が生じるだけでも回しにくくなったりします。ちょっとしたケアで鍵が回るようになるかもしれません。
賃貸物件の鍵交換に関するよくある質問
賃貸で防犯性能の高い鍵にしたいのですが鍵交換はできますか?
賃貸住宅でも鍵交換を行う事は可能です。
ただし、鍵交換を行う前に必ず管理会社(管理者)様より許可を取っておく必要があります。
もしも、許可を取らずに勝手に鍵交換をしてしまったら、管理会社様との間でトラブルになってしまう可能性があるので、くれぐれもご注意ください。
もし、玄関の鍵を紛失した、あるいは盗難に遭った等の場合は、空き巣に入られてしまう可能性がございますので、必ず鍵交換を行うようにしましょう。
どのような鍵が防犯性の高い鍵ですか?
ピッキングやドリリングなどによる不正解錠に強く、且つ第三者による子鍵の複製が容易にできない鍵が、防犯性が高いと言えます。
例えば、ALPHAのFBロックは付属のセキュリティカードが、MIWAのPRやJNシリンダーはオプションで付けられるセキュリティ認証IDシステムが、合鍵作成の際にそれぞれ必要となります。
なお、価格重視のお客様には、低価格ながらも十分な防犯性能を持つMIWAのU9シリンダーがおすすめです。
賃貸の鍵を紛失した場合は?
鍵の紛失は過失と考えられるのが普通です。要するに、責任は自分自身にあるため、交換したいのであれば費用は自己負担となります。
しかし、自己負担だからといって管理会社や大家さんに報告しなくて良いわけではありません。防犯対策のためにも鍵交換したいのであれば、必ず管理会社か大家さんに相談して下さい。
賃貸の集合住宅ではオートロックを採用しているところも多く、部屋の鍵とオートロックが連動していることもあります。そのような鍵を紛失すると、建物のなかの他の住民もリスクに晒されてしまいます。隠さずにすぐ管理会社などに報告しましょう。
報告せず勝手に鍵を交換すると、契約違反となってしまう可能性もあります。これは賃貸借契約がどのようになっているのかにもよりますが、トラブルに発展してしまう可能性もあります。
鍵の経年劣化ってどんな状態?
一般的にどんな物でも、時が経てば少しずつ劣化していくものです。それは建物の鍵も例外ではありません。
もちろん防犯上の観点から、建物の鍵は丈夫に作られてはいますが、長期間の使用を続けていれば鍵穴の内部も、そこへ挿し込む子鍵も少しずつ擦り減ってしまうものです。
その結果、子鍵の形状とシリンダー内の形状が噛み合わなくなり、鍵穴に差し込みにくくなったり、回しにくくなったりします。
シリンダーは大丈夫でも、ドアの中の錠前本体がダメになることもあります。閂を動かすためのバネが切れたりすると、子鍵を回しても空回りしたりします。
また、室内のドアノブで浴室のものなどは長年の使用でサビが内部に溜まってしまい、開かなくなることもあります。
判断が難しいのは「回しにくいので力を入れて回したら子鍵が鍵穴の中で折れてしまった」というようなケースです。子鍵が折れてしまったのは、故意にシリンダーを破損しているように考えられますが、もともと回しにくいという原因がなければ生じなかった行動でしょうから、鍵折れというアクシデントも経年劣化のひとつだと考えられます。
賃貸物件の鍵交換をしたい!そんな時は鍵猿へ
賃貸物件は契約内容によっては借主本人が鍵屋を選んで鍵修理や鍵交換を手配しなくてはならないこともあります。マンションやアパートなどの集合住宅はもちろん、一戸建ても含めて「鍵交換したいけどどこへ頼めばいいのだろう」とお悩みの際は、ぜひ鍵屋【鍵猿】までご連絡ください。
鍵猿は賃貸の事務所や店舗、テナントなどの鍵交換にも対応しております。大家さんや管理会社の方で、特に提携する鍵屋もなくどこを選べばいいのか迷っておられる場合も、ぜひご相談ください。
鍵猿では経験豊富なスタッフがお客様のご要望に沿った最適な鍵を提案いたします。借主の方は大家さんのご許可を頂いた上で、ぜひ鍵屋【鍵猿】まで気軽にお電話ください。
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