バンピングとは?その方法とピッキングとの違い・防犯性の高い鍵も紹介
この記事でわかること
- バンピングという不正開錠の手口
- バンピングに強い鍵・弱い鍵
- 鍵穴を設置しないという選択
- 補助錠という選択肢について
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
不正開錠の手段といえば、ピッキングがよく知られています。自宅の防犯性を高めるために、ピッキングに強い鍵を知りたいという人は多いかもしれません。
ところが、不正開錠の方法としてバンピングという方法があることもご存じでしょうか。この記事ではバンピングという開錠方法についての説明と、バンピングに強い鍵を紹介していきます。
最近の鍵はバンピングやピッキングといった不正開錠に強いものが増えてきていますが、2~30年前の錠前だと殆どがそのような対策がされていないため危険です。鍵猿では既存のシリンダーの安全性を見て、適切な鍵をお勧めすることができます。防犯性の高い鍵に交換したいときは気軽にご相談下さい。
目次
バンピングとは不正開錠の一種
はじめに、バンピングと呼ばれる不正開錠の方法について説明します。
バンピングの方法
バンピングとは、バンプキー(=不正開錠のために特殊加工された子鍵)と呼ばれる工具を鍵穴に差し込み、衝撃を加えることによって開錠する方法のことです。
バンピングは開錠された痕跡がほとんど残らないという特徴を持っていて、実際には故意に開錠されたものであっても鍵のかけ忘れではないかと錯覚する人が多いそうです。
ただ、バンピングが可能なのは鍵穴に対応しているバンプキーだけですので、それぞれのメーカーに対応したバンプキーが必要になります。バンプキーを使用して空き巣などの犯罪を計画する場合、国内の一般住宅だけでも50種類以上もの鍵に対応させなければいけません。
そのような条件を考慮すると、実際に犯罪に使用されることはあまりないのかもしれません。しかし、マンションやアパートなどであれば、1棟で同タイプの鍵を使用していることが多々あります。そのような場合は、対応するバンプキーが1本あれば複数の住居の鍵をバンピングで開けることができます。同時に複数の住居が被害に遭うこともあり得るわけです。
複数の店舗やオフィスが入るビルも、同じタイプの鍵を使っていると危険です。
バンピングはピッキングより簡単!?
不正開錠といえばピッキングがイメージされやすいです。
ピッキングとは、鍵穴をひっかくようにして開ける方法のことで、使用するのは専用のピッキングツールです。
ピッキングは空き巣の手口として使われることが多いですが、もともとは鍵を失くしたときに開錠に駆けつける鍵屋が使っていた方法です。
ただ、鍵屋である錠前技師ですらピッキング防止法によって普段、鍵開けのサービスに携わっていないときにピッキングツールを所持することは認められていません。
ピッキングは経験や勘を必要とする開錠方法です。それに比べるとバンピングは特にスキルは必要なく、鍵穴に対応できるバンプキーさえ手に入れば誰でも開けることができますが、その都度、鍵穴に適したバンプキーが必要なため広く普及してはいません。
入手しやすいのはピッキングツールの方で、不正開錠の手口としてはバンピングより多くなっています。
その他不正開錠の種類
不正開錠は、ピッキングとバンピングだけではありません。
他にも「サムターン回し」や「丁番落とし」といった手口があります。
サムターン回しとは、サムターンと呼ばれる室内側のツマミを直接回す方法のことです。
サムターン回しが可能なのは鍵の近くにドアスコープや郵便受けなどがある場合で、これらを破壊してそこから工具や手を内側に入れてサムターンを回します。
丁番落としもドアを破壊するという意味ではサムターン回しより派手な壊し方で、直接ドアの丁番を切断してしまいます。
丁番とは?
丁番は蝶番とも書きますが扉などを開閉させる部品のことで英語ではヒンジと呼ばれています。最近ではカタカナでヒンジと言う人も増えてきたのではないでしょうか。その形状が羽を広げた蝶々のようなので「蝶番」と呼ばれるようになったそうですが、家具業界ではなぜか「丁番」と書いてちょうばん、と呼ばれることも多いそうです。開閉を伴うところには必ずある部品で、蝶番がなくてはドアもただの一枚の板になってしまいます。
他にもバールなどを用いてドア枠を壊して開ける手口や、ドリルで鍵穴を破壊するなどの手口も見られます。
このような力技を使われると、侵入された形跡が明らかに残ります。ピッキングやバンピングのように不正開錠がわかりにくい手口とは異なり、サムターン回しや丁番落としなどの被害に遭うとドアそのものの修理か交換が必要になります。場合によってはドア枠や周辺の壁などにも被害が及ぶこともあるでしょう。
ピッキングやバンピングに弱い鍵とは
シリンダーの種類 | 耐バンピング | 耐ピッキング |
---|---|---|
単列ピンシリンダー | ×弱い | ×弱い |
その他のピンシリンダー | ×弱い | 〇強い |
ディスクシリンダー | 〇強い | ×非常に弱い |
ディンプルシリンダー | △弱いものもある | ◎強い |
では、どのような鍵がピッキングやバンピングに弱いのでしょうか。
バンピングで開けられやすいのは「ピンシリンダー」という鍵です。
ピンタンブラーという機構を内部に使った鍵で、ピッキングなどでも開けやすいタイプといえます。
ピンシリンダーは、ピンの数によって開錠の難易度が異なります。例えばGOALやユーシン・ショウワのピンシリンダー錠には5本、6本、7本という表記がありますが、これはピンの数を示しています。
ピンはシリンダーの外筒から内筒にまたがる「障害物(タンブラー)」で、上下に分かれています。上下のピンの分かれ目がシアラインと合致すると内筒が回転するようになる、というのが基本的な構造です。
ここにマスターキーのようなバンプキーを入れて、キーヘッドを金槌などで叩くと、衝撃でピンが跳ねます。このとき、上下ピンのうち上ピンだけが外筒側にあるときに鍵を回すと、内筒が回転してしまうわけです。
要するにこれは上下ピンが衝撃で跳ねる、というピンシリンダー錠特有の構造を利用したもので、衝撃が加わったところで跳ねるピンがないディスクシリンダーはめっぽうバンピングには強い錠ということになります。
ただ、ディスクシリンダーはピッキングによる窃盗被害が多発したため、2001年に廃番となっています。古い住宅ではまだ使用されていることが多く、バンピングで開けられることはありませんが使用年数や防犯性能を考慮して、交換をおすすめする錠です。
ピッキングされにくいといわれている「ディンプルキー」においてはピンシリンダーと構造が似ているので、理論的にはバンピングで開けやすいと言えるかも知れません。ただ、ディンプル錠には複数列のピンが配列されていますし、これら3列以上のピンを要領よく動かせるバンプキーを作成できるかというと、現実的ではないと考えられているようです。
▼関連ページピッキングやバンピングに強い鍵とは?
では、ピッキングにもバンピングにも強い鍵とはどのようなものであるのか紹介していきます。
ディンプルキー
ピッキングやバンピングに強い鍵の一つが「ディンプルキー」です。ディンプルとはクボミのことで、ディンプルキーとは複数のクボミがある鍵のことをいいます。特に構造上、バンピングが効果的でないディスクシリンダーの系統を継いだ美和ロックのPRシリンダーや、同じディスク系のタンブラーを用いるウェーブ系のディンプル錠はバンピングしても意味のないシリンダーと言えます。
ただし、中にはバンピングに弱いディンプルキーもあり、近日アップグレード版が出るまでマルティロックがそうだと言われていました。最新のディンプル錠は多くがバンピング対策を講じていますし、マルティロックも最新のものであればバンピング対策がなされています。
またディンプルキーは破壊に強いというメリットもあります。不正開錠を企む人の中には鍵そのものを破壊するという手段に出る人もいます。鍵が破壊されてしまうと、そのまま室内に侵入される可能性が高まりますが、各社のディンプル錠ーや美和ロックのU9などは、超硬金属や焼入れを施したスチールなどを耐ドリリング構造の一部としています。
暗証番号式の鍵
ピッキングやバンピングの被害に遭いやすい鍵は鍵穴があるということが共通しています。不正開錠をされない為には鍵穴のない鍵を選ぶと効果があります。その一つが暗証番号式の鍵です。
緊急用として鍵穴が設けられているものも見られますが通常は鍵穴がありません。少なくともピッキングやバンピングの被害を避けることはできます。
他にも鍵の紛失や盗難を防ぐことができるというメリットがあります。鍵があると、外出先で失くしてしまうということもあるでしょう。また、バッグと一緒に盗難に遭うという心配も出てきます。しかし、暗証番号式ならそもそも持ち歩く鍵がないので心配無用です。自分や家族が覚えていれば開けることができるので誰かに知られることもほぼありません。
暗証番号の変更も簡単です。
定期的に変更しておけば防犯性をさらに高めることもできます。通常の鍵に追加で、2つめの鍵として取り付ければワンドアツーロック対策となります。
たとえ鍵穴が破られることがあっても、暗証番号式の鍵でブロックすることができるため防犯性は一段と上がるでしょう。
ただ、電池切れに注意しなければならないというデメリットもあります。電池については定期的に交換するなどして気にかけた方がいいでしょう。また、暗証番号をわかりやすいものにメモする、解読されやすい番号にするなどということは避けた方が無難です。
指紋認証式の鍵
指紋は同じものが存在しないため高い防犯性を発揮することができます。そのうえ暗証番号を覚える必要もありません。
自分の指紋で開錠すればいいので、暗証番号を第三者に知られて開けられるというリスクからも開放されます。
もちろん鍵を所持する面倒もなく、指紋だけで開錠できるため利便性が高いといえます。
ただ指紋認証式の鍵にもデメリットはあります。登録した指紋以外では開けることができないということです。例えば実家から親が訪れたとき、住人が何らかの都合で帰宅できない場合、あらかじめ鍵の受け渡しもできないし、暗証番号を教えて入ってもらう、ということもできません。
それと指紋が上手く読み取れないときがあります。生体認証の鍵は読み取れないときの緊急用として鍵穴がついていたり、他の解錠方法を設定できるものも出ていますが鍵穴を残す場合は、ピッキングやバンピングのリスクも今まで通りに考える必要があります。
これらの点を踏まえて、製品選びの際はさまざまな視点でよく検討し、用途に合った選択をすることが大切です。
補助錠をつけるという方法も
できるだけ鍵を不正開錠されないようにするには、補助錠をつけるという方法もあります。「ワンドアツーロック」のことで、防犯性が高まるという理由から推奨されている方法です。
具体的には、玄関に設置されているメインの鍵の他に、もう一つ別の鍵を補助的につけます。こうすると鍵が2つになり、不正に開錠する時間を長引かせる効果が期待できます。
開錠に時間がかかれば人目につきやすくなり、空き巣を諦めさせる効果が見込めるでしょう。
補助錠の多くが工事する必要がないタイプです。意外と簡単につけることができるので手軽な防犯対策といえます。
しかし鍵によっては工事が必要になる場合もあるため、詳しくは業者に確認した方が安心です。
その場合、賃貸なら管理会社または貸主の確認が必要になります。借主の一存で決めることはできません。
防犯対策をきちんととることは大切ですが、後でトラブルになることのないよう事前に相談しておきましょう。
鍵の交換・取り付けは鍵屋へ!
防犯性を考えて鍵を交換する際はドライバーなどの工具を使って自分で行うことも可能ですが、鍵が規格に合っていなかったり、部品を破損してしまうことも少なくありません。
特に玄関のような防犯性を重視したい鍵を、自分で交換するのは避けた方が良いでしょう。
その点、鍵屋であればドアが損傷する心配もなく作業もスムーズです。鍵交換を検討するなら、見積もり無料の「鍵猿」にご相談ください。
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