中古マンションの鍵は交換する必要がある?費用の負担や注意点について解説
この記事でわかること
- 中古マンションの鍵を交換した方が良い理由
- 鍵交換の費用は誰が負担するのか
- 鍵交換の費用相場
記事監修者
「すごわざ鍵開け達人」として関西・関東のテレビに出演。鍵職人としてのキャリアは12年、現在はエキスパート集団を束ねるマネージャー。親切丁寧な防犯アドバイスにも定評がある。
中古マンションに移り住んだとき、鍵交換をするべきかどうかで悩んでいる人もいらっしゃるでしょう。
また、防犯のためには交換した方が良いと思いつつも、どうすればいいのか分からず、結局鍵交換せずにそのまま使用しているケースも少なくないはずです。
そこで、本記事ではそのような悩みの解消につながるように、中古マンションで鍵交換を行う場合の費用負担や注意点などについて解説していきます。
目次
中古マンションの鍵交換が必要な理由
そもそも、紛失や故障以外の理由で中古マンションの鍵を交換する必要はあると思いますか?
この段落では疑問を解消するべく、鍵を交換した方が良い理由について解説していきます。
前オーナーが鍵を持ったまま退去した可能性
中古マンションに入居する際は、前オーナーが鍵を持ったまま退去した可能性があるという点に注意しないといけません。
マンションであれ、戸建住宅であれ、物件を売却するときにはスペアキーも含めて鍵は全て買主に渡すことになっています。売主と買主で話し合って売主が事前に鍵交換することもあります。
しかし、前オーナーに悪意があり別のスペアキーを隠し持っていたなどといったケースが絶対にないとは言い切れませんし、正確に知ることもできないので鍵をそのままにしておくのはリスクが高いといえます。
たとえ何事もなかったとしても漠然とした不安を抱え続けるのであれば、鍵を交換してしまった方が安心です。
防犯性能が低い鍵が付いている可能性
築年数が古いマンションの場合は必然的に鍵のタイプも古い場合が多く、そのような鍵は最新の鍵と比べると防犯性は低い傾向にあります。
後述しますディスクシリンダーキーやピンシリンダーキーなどは、ピッキング対策が十分ではないので、容易にピッキングされてしまうことがあります。もし、入居先の鍵がそのような鍵の場合は、防犯の観点からも鍵交換をおすすめします。
付いている鍵が経年劣化している可能性
鍵の寿命はおおよそ10年といわれています。それ以上使用していると不具合が起きることがあります。例えば、鍵が回らない、挿さらないなどです。
もし、入居先の鍵に不具合を感じた際は経年劣化によるトラブルに発展する前に、交換した方が快適に長く使用できる可能性が高いです。
防犯面だけではなく、快適な生活環境のためにも異常があると感じた際はお早めに鍵交換することをおすすめします。
中古マンションの鍵交換の費用について
鍵交換の際に気になるのが費用は誰が負担するのかという点だと思います。この段落では中古マンションの鍵交換の際にかかる費用について解説します。
鍵交換の費用を負担するのは誰?
中古マンションの鍵交換の費用を負担するのは状況によって異なります。
たとえば賃貸物件として中古マンションに入居する場合に、交換する理由が鍵の経年劣化による不具合などであれば、オーナーや管理会社、管理組合などに修理や交換の費用を負担してもらえるケースもあります。
鍵の調子が悪く交換を考えている場合は、一度管理会社に相談してみましょう。
逆に経年劣化ではなく、借主側の落ち度などで鍵を壊してしまった、あるいはまだ使用可能な鍵を交換したい場合は、基本的に本人負担になるでしょう。
マンションの鍵交換をする際の費用負担については以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
▼関連ページ ▼関連ページ鍵屋に鍵交換を依頼した場合の費用相場
鍵の交換費用は、鍵の種類によって異なります。一般的に、防犯性の高い複雑な構造の鍵と交換する場合は費用も高くなります。
これは、一般的に機能性の高い鍵ほど製品代が高くなる傾向にあるためです。料金が追加されるものと考えておいた方が良いでしょう。
種類 | 料金 |
ドアノブタイプ | 11,000円~+部品代(税込) |
シリンダーのみ | 11,000円~+部品代(税込) |
引き違い戸 | 16,500円~+部品代(税込) |
鍵交換の費用や相場については以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
▼関連ページ鍵の交換に保険は使える?
マンションによっては入居者に対するさまざまなサポートを用意しており、その中には鍵の紛失時に使用できるものも含まれています。
たとえば、火災保険は住宅を守るための保険であるため、鍵の紛失や盗難による鍵交換の際にも費用を補償してくれることが多いです。
入居前には鍵の紛失に使用できる保険があるかどうかを確認しておきましょう。
特に家財保険は補償対象が多岐に渡っているため、加入している場合は鍵の扱いについての項目を見逃さないようにしましょう。
ちなみに、連絡先は賃貸マンションの場合は大家さんか管理会社、分譲マンションの場合は管理組合です。
マンションでよく使用される鍵の種類
鍵にはさまざまな種類があり、どれを選ぶかによって防犯性の高さや設置費用などが変わってきます。そこで、鍵の交換を検討している人のために、マンションでよく使用される鍵を3種類ピックアップし、それぞれのメリットやデメリットについて解説していきます。
なお、鍵の種類や名称、特徴などは以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
▼関連ページディスクシリンダー
家の鍵として昔から広く使用されているのがディスクシリンダーです。
ディスクシリンダーは鍵の形がギザギザなのが特徴で、鍵穴の内部に、外筒と内筒及び内筒の回転を防ぐためにロックする板状のディスクからなるディスクタンブラ―という仕組みが採用されていることからそう呼ばれています。
鍵を鍵穴に差し込み、ディスクがスライドしてロックが解除すれば、内筒が回転して鍵が開く仕組みです。
構造が比較的単純で修理や交換をしやすいというメリットがあるため、多くの家やマンションでこのタイプの鍵が採用されてきました。
ただ構造が単純であるが故に防犯面に関しては強くありません。道具と知識と経験があればピッキングできてしまうのです。現在はピッキング被害が多発・理論上鍵違い数が限界に達したため廃盤になっています。
その為、新築物件では使用されることはありませんが、中古物件や古い住宅ではまだ使用されています。
ピンシリンダー
シリンダーの中にピンと呼ばれる部品が入っている構造の鍵がピンシリンダーです。
長さの異なるピンをシリンダー上部に1列のみ配置されています。しかし、普段はバネの力によって全て鍵穴内部に押し出されているので、そのままの状態ではピンが邪魔をして鍵穴を回転させることができません。鍵を使ってピンを所定の位置まで押し上げて回転させ解錠する仕組みです。
それなら適当なものを鍵穴に突っ込んでピンを押し上げれば開錠できるのでは、と思うかもしれませんが、複数のピンの高さが全て定められた位置に揃わなければ鍵は回転しないようになっているので、そう簡単に開錠はできません。
ただ、それでもピンシリンダーの防犯性はあまり高いとはいえません。ディスクシリンダーと同じく、ピッキングの被害に遭いやすい鍵です。
シリンダーの部品代を抑えられてコストがかからないというメリットはあるので、防犯性をあまり求めない室内扉などにはおすすめです。
ロータリーディスクシリンダー
ロータリーディスクシリンダーは、廃盤になったディスクシリンダーの後続モデルとして開発されました。正しい鍵をさすことで、中にあるタンブラーの欠けている部分と、ロッキンバーと呼ばれる棒状の部分の位置が揃い、シリンダーを回転させることができます。このように構造が複雑化したことにより、簡単にピッキングできないように対策されています。
鍵の両方がギザギザしており、鍵穴はアルファベットのWのようになっているのが特徴です。
スペアキーの作製も比較的容易でホームセンターなどにも依頼できます。しかしズレが生じたスペアキーを使用し続けると、鍵トラブルの原因となるため技術力のある業者に依頼することが大切です。 価格も比較的安価であり、防犯性とコストのバランスがよい鍵と言えます。
ディンプルシリンダー
ディスクシリンダーやピンシリンダーなどと比べ、ピッキングによる不正開錠に強くて防犯性に優れているのがディンプルシリンダーです。とはいえ仕組みは基本的にはピンシリンダーと同じです。
ただ、ピンシリンダーはピンの列が上にしかついていないのに対して、ディンプルシリンダーは縦横斜めといった具合に、複数方向に配置されているためピッキングによる開錠は容易ではありません。
ちなみに、ディンプルシリンダーの鍵はギザギザではなく、表面がでこぼこしているのが特徴で、主に新しい住宅で使用されています。
ピッキングが絶対に不可能というわけではありませんが、ディスクシリンダー錠やピンシリンダー錠よりも難易度は遥かに高くなっており、短時間では開錠できないので安心度は高いといえます。
また、キーがリバーシブルタイプのものなので、鍵穴にキーを差し込む際に向きを気にせず挿せるので、防犯性の高さだけでなく、使いやすい鍵でもあります。
ディンプルキーについては以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
▼関連ページディンプルキーとはどんな鍵?防犯性や交換・合鍵作成・開錠にかかる費用相場を解説!
ディンプルキーは防犯性能が高い鍵と言われますが、他の鍵との違いや特徴は何なのでしょうか?本記事では、 ... 続きを読む
中古マンションの鍵交換をする際の注意点
中古マンションの鍵交換をする際はいくつかの注意点があります。知らないまま勝手に鍵交換をするとトラブルに発展する可能性があります。
この段落では中古マンションの鍵交換をする際の注意点をご紹介します。
鍵交換の前に管理会社・管理組合に連絡
中古マンションにおいて鍵交換をする際は、事前に管理会社や管理組合に連絡しましょう。
マンションによって規約が存在し、その規約に鍵交換についての項目が記載されている可能性があるからです。
規約を確認せずに勝手に鍵交換を行った場合は、退去時に原状回復を求められる可能性があります。そのようなトラブルにならないためにも、鍵交換をする際は事前に管理会社・管理組合に連絡することを覚えておきましょう。
また、管理会社や管理組合によっては、懇意にしている鍵業者がいることもあります。その場合は比較的に料金が安く鍵交換をしてくれることもあります。
玄関の鍵が共用部分やオートロックに連動するかどうか
マンションでは、部屋の鍵と玄関(エントランス)などの共用部のオートロックキーが連動しているケースがあります。
その場合、部屋の鍵を新しいものに交換してしまうと、マンションの玄関など共用部では鍵として使用できなくなります。この問題を解決する方法は大きく分けて2つです。
一つは従来の鍵をオートロック解除用としてそのまま使用し、それとは別に部屋の鍵を作成して計2本の鍵を所持するというやり方です。複数の鍵を所持することになるので手間は増えるものの、 鍵交換にかかる費用を抑えられ 、業者にシリンダーの在庫があれば即日交換も可能だというメリットがあります。
もう一つは元の鍵からオートロック解除に使用するセンサー部分のみを取り外し、それを新しい鍵に埋め込んで玄関の鍵を解錠するくぼみを作成するというやり方です。この方法を選択すれば、1本の鍵だけで玄関と部屋の両方が開錠できるので今まで通り便利に使えます。
ただしロックの開錠方式によっては、対応できない場合があるため事前の確認が必須となります。
マンションのエントランスの鍵については以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
▼関連ページマンションの鍵交換は鍵屋に依頼するのがおすすめ!
鍵交換が必要な場合は自分で何とかしようとするより、早めに業者に依頼することをおすすめします。
鍵の交換を自分で行うことは決して不可能ではありません。しかし、失敗する可能性が少なくないうえに、失敗してやり直すと費用も2倍以上かかってしまうこともあります。
その点、鍵のプロである鍵屋に依頼すれば、確実に短時間で作業を終わらせることができます。
誤った取り付け方をしてドアを破損させるなどといった心配も無用です。
それに、ドアに合う鍵を選ぶので、部品選びを間違えて買い直すといった素人にありがちな失敗も避けられます。
鍵屋に依頼するなら、まず複数の業者の相見積もりで見積もりの内容や料金を比較し、そのうえで自分のニーズにマッチした業者を選択するのが大切です。
鍵屋の選び方については以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
▼関連ページ ▼関連ページ中古マンションの鍵交換の際は調べてから検討しよう
分譲マンション・賃貸マンション、新築マンション・中古マンションに関わらず、マンションの鍵を交換する際には、手続きに気を付ける必要があります。これを間違えるとトラブルになるかもしれません。
最初に行うべきは、 管理会社や管理組合から鍵交換の許可を得ることです。なぜなら、たとえ分譲マンションであっても建物全てが自分の所有物になるわけではないからです。
次に、費用を誰が負担するのかを明確にするために、交換する理由が鍵の経年劣化によるものかどうかを明確にさせておきます。
また、保険適応の事前確認も重要です。そのうえで、業者を探して見積もりを行い、最後に鍵交換を正式に依頼しましょう。
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